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どこまで先を読めるか

エラー表示が出て間もなく切り出された記憶が砂のように崩れ去りゆく、紺7番はそれを見ながら口を覆い隠しながら呟く。


紺7番「うわ、小賢しいところがあると事前に伝わってたけど。こういうところを指すのか...確かに、いらんところで驚かしに来るな」


前髪をかきあげ、溜め息を小さくつく。そして、くるっと振り向き。超至近距離のところまで顔を近づけてくる。


紺7番「今ホッとした?

ざ~ん~ね~ん!

この異能使う為の条件が超面倒くさいけど、一旦満たすと何度でも使えるんだよ!!」


再び頭をがっしと掴まれ、記憶を探られる。


「.........ッ」

紺7番「流石に、あのままほっとくわけないだろう。3回目ないことを信じるよ」


一回見つけていたわけが、明らかに記憶の読み進み具合が加速している。


紺7番「さて、今度こそ一緒に答え合わせしよう」


新たに取り出された記憶はエラー表示のが現れたところから始まる。


"エラー!?どうしてどうして?マシンに異常はないはずだよ。ピロわかんないや"結果見てデカデカな?マークを浮かばせ、左右に揺れるピロ。

"慌てないでください、私の操作が間違っている可能性がありますね、もう一度測りましょう"と改めて異能を発動し測定する。


前回と違い何も変なことしてないから、順調に測定結果が出てきた。もちろん、温度も含まれている。


"結果保存お願いしますね"

"じゃあ、この結果で保存するよ。さあ、戻ろう!"



ここまで見て紺7番は二ターとした笑顔を浮かびながら記憶を砂の変えた。


紺7番「これでいよいよおしまいだ。今日からジェネルのステータスは俺のものだ。ちゃんと大事に扱うよ、ハハハ」


高笑いをしながらタイマーの隣りに浮遊するピロを向き、

「答えは596.38度」自信満々に答える紺7番。タイムもぴったし8分経過した。


答えを聞いて一瞬でロディーングをかけ、ピロは結果を告げた。


「不正解」


一番ありえない結果を聞かされ一気に紺7番の血相は変わり、私の方を指さしながら荒々しく異論を訴える。


紺7番「......そんなはずがない、俺はちゃんと記憶通りに小数点まで数値を言い当てた。判定がおかしい!!」

「そう?じゃあ報告するよ。


うんうん、何々?

"判定に問題はありません。挑戦失敗です。"

だってさ。

じゃあ、転送するよ」

紺7番「待ってくれ、理由は!」


ピロから伝えられた再判定にも納得いかない様子でなお食い下がる紺7番。


「ピロ、待ってください。彼とほんの少しだけここでお話しさせてください」


突如後ろから伝わる私の声に反応し、振り向く紺7番。

実は薬の効果は挑戦終了と同時にさっと消えていた。けど、妙に脱力感が抜け切れてない感じあって、ゆっくりと椅子から立ち上がる。


「ええ、どうしよう~困るよ!

ジェネルはいい友達だし、超面白いゲームもやらせてくれだし。

うううっ、わかった!あと2分あげるから。それまでにお話してね」

「ありがとうございます、ピロ」


紺7番に顔を向け、小さく拍手をささげる。

「実に素晴らしい異能をお持ちで、もう少し強ければ、正解に辿り着けれる可能性がさらに高まりますのに」

「お前はまさか記憶を捏造したとても言いたいのか!」

「いいえ、非常に惜しいことに貴方のお答えは半分正解でございます」

「半分だと?!

待って、まさかあのエラーも答えに含まれているのか!!」

「エラーも立派な結果ですよ。

本当に私の挑戦内容をちゃんと把握しました?

『部屋で測った異能の温度結果を正確に答えてください。』ときちんと宣言したのではありませんか。

何故エラーを排除したのですか?数値ではありませんですから?」


一気に形勢逆転して、私が紺7番を問い詰める。

「普通はそうなるに決まっているだろう」

「この学園に入る時点で普通や一般常識が全て通じると思います?」

「ウッ……」

「この挑戦は最初からどこまで読めるかが勝負の要です。

記憶(過去)を読めても心(未来)を読めないあなたでは最初から私に勝つはずがありません」


軽くお礼して、

「では、良い一日を」


これで挑戦の幕は閉じた。

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