運命の出会い
脳内でいつの間にかゲーム登場キャラの心理探究を始めてる自分に気付き、ぷんぷんと頭を振り思考をさっぱりする。
(ダメダメ、「心にシャワーを」読みすぎ後遺症がまた出てきた。周りにいる子の行動によく当てはまるところあるから、ついついそれでカテゴライズしてしまう。
元の世界にいた頃、小説読むのは日課ではあるけど、偶にお触り程度で心理系の本もかじることがある。その中で一押しが「心にシャワーを」だった。構成は様々な短ストーリーを同じく簡潔に心理分析しまとめた本で、とてもわかりやすくすいすいと読み進めれる。面白いことに周囲にいる人の行動が本に描かれている内容に当てはまることが多く。だから確認するためよく読み返していた。
まあ、それは置いといて。
(そういえば、この付近は確かフォンの出現ポイントあったね。せっかくだし、会えれば久しぶりに耐性付けよう)
前回の隠れ場に立ち、フォンの存在を確認する。
(あ、いる。ラッキー!
待って、隣りにいるのは誰......)
距離ある分、誰かと喋っているのは分かるけど、相手が丁度フォンの体型に隠れ、うまく見えない。
しばらく待つと、フォンが離れる動作をした瞬間。
「(小声)アイネちゃん...」
(遂に運命の出会いを果たしたのね...)
相手は意外性もなくヒロインのアイネちゃんだった。
まあ、特にアイネちゃんの行動を妨げたり、違う方向に導くこともしてないから。二人が出会うのは時間の問題。
しかし、そこに私が鉢合わせたことは偶然で片付けるには少々無理な部分を感じる。これも神の悪戯なのか。
(自分の意思で行動しているはずなのに、この仕組まれてる感じは本当に気持ち悪い)
もっと気になったのは、今までどんなに距離離れでもフォンの姿を確認した時点で上気する鼓動がびくとも反応してないことだ。まったくの無である。それが逆に怖い、けれど残っている意思が消滅する気配は今のどころないから、原因は別にある。
(単独行動する際にしか反応しないのかもしれない...
けどそこをあえて利用すれば、周りに誰かいるとき探しに行ったら、変な挙動で身バレする確率が減ってくる。実際、両親にもなんやかんやでうまく魂が別人になっていることをかくせれらたから、フォンを騙せないはずがない)
でっきり、ジェネルがフォンに向けている執着性愛情を考えれば、フォンに他の女性が近づく度、嫉妬の業火が心の中でメラメラと燃え上がると思っていたけど、何が違うみたいだ。
でも、よく考えれば嫉妬心がなければ最後の日記みたいな内容は書けないはず。
(一体どうなってるの!ジェネル、あなたの気持ちを教えてよ)
そんな風にまた考え込んでしまった私は自分が歩く度地面に無音で焦げた足跡を残していることに気づかなかった。




