健全な生活こそ
さすが、夢実現の名を付けるだけあって、要求言えばぴったりな商品を続々とリストアップされるプラスイメージ付き。旺盛な好奇心に抗えず、気になるものを片っ端からとはさすがにいかないけど、結構ポイントを惜しみなく使ってしまった。リッツ店主のセンス溢れる話術の相乗効果もあって、これ以上いたら沼りそうなので理性をフル回転させショップから離れた。
(やっぱり、ポイント使っても数字が減っているだけで無くなっている実感が一切湧かない。後でポイント残高確認するの怖いなあ。しばらくここに来るの控えよう。まあ、お目当ての物は手に入れたから、これで大抵な状況に凌げれるはず。使う時に使わないと貯めた意味がなくなる、自分への投資と思えば安いものだ!)
ここでちょっと気になったのは、イケオジも悪友の守備範囲には余裕で入っているから、リッツ店主みたいなキャラがゲームに登場すれば私に教えないはずがない。しかも、ミニゲームなどをクリアするためにショップを訪れない日がないくらい入り浸っているから、そこはやはりゲームと現実の差かなあ。
そう考えれば、ここに来れない悪友は損してるなあ。
それにしても、元々運動不足の自分が今みたいに毎日数時間運動して、睡眠時間も最低7時間保っている健全な生活をしているなんで昔の自分なら考えもしない生活を送っている。
(もうあの怠惰に満ち溢れた生活に戻ることはもはや叶わない、なんと嘆き悲しいことだ!)
しかし運動していくにつれ、呼吸の仕方や筋肉の使い方が意識せずとも調節効くようになってきた。今ならもう一度入学試験をしても息一つ乱すことなくクリアできる自信がある。
(でもこれ自分の体でこっちの世界に来たら、全力で運動もとい体を動かす場面から遠ざける情景がひしひしと浮かぶ。それこそ、さっきのアイネちゃんの様に。
ハッ!ゲームの企画チームは現実の乙女ゲーマー運動量も考慮し、代入感増す為にアイネちゃんが運動嫌いな設定を取り入れた。
やるわね...)
他にも健全すぎる生活を送れた理由はそもそもこの世界で日常的娯楽が少ない。特に学園にくれば、異能、授業とポイント稼ぎが大半のスケジュールを占めるから、時間があっという間に過ぎ去っていく。
国の方を見ても、ジェネルのぼやけた記憶によると貴族達の娯楽も主にお茶会、狩りと異能バドルの観戦だ。
(最後のなんか一気に物騒さが増したね、ジェネルは過保護な両親のおかげで一度もそういう闇部分に触れていないから、詳しい情報はないし学園でもそれ関連のイベントもないから置いとこう)
そういうことも相まって、代わり映えない生活に恋愛という強刺激なソースがパンチがドンピシャに効くわけでもある。私みたいに自ら出来事を引き起こしにいかなければ、新しく始めた学園生活においても彼らにとって順風満帆は只の文字ではない。実際レッドリストのような物が作り出されているわけだし、この言い方嫌味に聞こえるかもしれないけど、本当に持つものの悩みである。
だから、攻略対象と悪役キャラの共通点は、
誰かこの退屈な日々から"助けて"。
ということだ。




