異能を早速使ってみよう
だか、それよりももっと大事なことがある。私はそう今は“異能者”だ!
「ふふふ、ついに、我の時代が到来するのが!この異能を使い数々の冒険を乗り越え、最終的に人生の勝ち組として語り継がれる。ハハハハハ」
久々に中二病を発動させてみる。だがやはりあの日封印して以来時間が大分経っているせいがセリフもありふれた言葉になってしまう、私も衰えたもんだ。
でも異能を持っていることを知れば興奮しないわけないでしょう、非日常を代表する能力の一つで、加えて異能を異質だと感じないこの世界で、思う存分強くなれる。こんな形で夢を叶えるとは思いもしなかった。
感嘆を漏らしながら、急にふっと気付く、
「あれ、そういえばこの力どうやって使うの?」
確かに記憶を見て、使い方もその中に含めてた。でもそんな一発で内容理解してさらに使いこなせるわけないじゃん、私は天才ではない。ちょっと、さっきのビデオ巻き戻し機能どこにあるの、もう一回復習させて、今度ちゃんと見てノート取るから!!!
カムバック・メモリー!!!!!!
しかも最悪だ、もうすぐ入学しなきゃいけないのに。力使えないじゃん即ばれるやん、終わった…
(何このハードモード、イージーモードチェンジボタンとかないの?おかしいでしょう、もう嫌がらせでしかない)
「とりあえず発動できるかを確認しないと、魂変わったから発動できなかったら…もう、死亡フラグ乱立しすぎじゃない?は…」
溜息が止まらない。
まあ、ビデオでは確か初心者は異能の名前を唱えそして同時に発動させたい場所を具体的にイメージすればいいのよね。意外と簡単じゃん、これは何とかなる。早速使ってみましょう!
「カサシス・イグニス!」
右手に炎が燃えるイメージをしつつ、異能の名を唱えた。
「ごお!!!!」
目の前に起きたことに啞然とした。
幸いなことに魂関係なく異能は発動できた。問題は出力と色がおかしい!!!
手から天井近くまで火柱が噴き出す、その色は通常見るだげで穢れが慄き、邪悪なものに不快感を与える純白な炎ではなく炎心の色が髪色と同じく橙色に輝いていた。見間違いと思いたいが、無理だね。
(ここで魂の影響出なくていいよ、もう一層自分ジェネルじゃないって白状した方が早いんじゃない…ダメだ、あの溺愛両親に絶対拷問かけられそしてこの世界から抹消される。それよりも…)
「消えて、早く!!!」
手を上下に激しく振り、火を消そうとする。
初心者でも使えるというのは本当だけど、ジェネルがとっくの昔に初心者ではないことを考慮してなかったのは失敗だ。後先何も考えないで行動するのはよくないと改めて知った。まあ、次回も繰り返すでしょう、ハハハ。
それから、なんとか火を消すことが出来て、脱力感が一気に襲ってきた。
近くにある椅子に座り込み、これで入学前に解決しなきゃいけない問題は大体一通り出揃えた。
1.両親と屋敷にいる使い人達に自分がジェネルではないとバレずに学校へ向かう
2.この世界について知る
3.異能の使い方を短期間でジェネル水準まで上げる
4.異能の炎色を誤魔化す
5.残りの日記を探す
異能を手に入れたにも関わず全能感何一つ感じないってこういうことを言うのね。一つ一つ解決していくしかない、救いは“ジェネル”がフォン以外の人と接する時、記憶見る限り真似しやすいことだ。
ぐるるるる~
冷え切った朝食を眺め、鈴を鳴らす。
(お腹すいた~)