パワーワード
処理する部屋はCランクの時よりさらに10個くらい増えているけど、パッパッと片付け。最近ちょっと別のやり方でさらに効率を上げる処理方法ないかを探っていこうと考えている。
(結構紙と一緒に風で吹き飛びたいかも、めっちゃ面白そうだしね。今度やってみようかなあ、上手にできたら動画みたいなの撮りたいなあ)
倉庫から離れ、体力づくりに訓練室に向かおうとした時。ヒロインがすごい勢いでこっち向かって走ってくる。
「ジェネル、待ってください!!」
「アイネちゃん?」
思わず足を止め、首を少し傾げる。そして近づいたヒロインに両肩をガッシと掴まれ、グイっと顔を近づかせる。
「はあはあ、良かった~!また倉庫付近にいてくれて」
「そんなに慌ててどうしたのですか?」
「ジェネル、挑戦申し込まれたの?大丈夫だった!?」
「どうしてそれを知ってらっしゃるのですか?」
「たまたま、見かけない人と一緒に校舎裏に行くところを見つけ、少し気になり思わず後をつけちゃって、囲まれてましたよね、脅迫されたの?すぐ転移しちゃったから駆け寄ることが出来なくって、もし何がお手伝いできるところがあれば遠慮なく教えて!!」
(うわ~出た!ヒロインのパワーワードその1、“たまたま”。たまたま攻略キャラの隠れた一面を見てしまった。たまたま他人に知られたくない秘密を覗いてしまった。たまたま悪の組織の企みを鉢合わせたとか...本当、偶然って怖いね~)
「お気持ちありがとうございます。私は大丈夫ですよ、対応は出来てますから」
「本当に!?無茶しちゃだめだよ、戦い向きの異能ではないのに挑まれるなんで」
「ふふ、戦闘系異能に対してのみ挑戦できるわけではありませんから、私がされでもおかしくありません。それに主導権は私達が持っているのではないですか」
「それはそうだけれど、でももし相手が先に無理難題を投げつけ挑戦内容を左右しようとしたらどうするの。実際囲まれていたじゃない」
「平気です、彼女達とはきちんとお話して、双方の合意の下で挑戦をおこなっておりますので、心配することは何もありませんよ。
それより、挑戦されたことに関してはもう少しの間秘密にして頂けませんか?今広められては困りますので、特にロテムくんにはうっかりがないよう気をつけてくださいね」
「だから何でそこでロテムが出てくるの、私口は硬いよ!ぜーったい誰にも言わないから」
「分かりました、信じますね」
「任せて!」
「しかし、今後私みたいに非戦闘向きの異能生徒も挑まれる可能性が非常に高いです。アイネちゃんも事前に準備してくださいね。それこそ、もし何がありましたら遠慮なくいつでも相談や力になりますから」
「ありがとう、ジェネル。頼りにするよ」
「ぜひ!あ、良ければこの後訓練室で体力作りする予定ですけど、一緒にどうですか?」
「え、私ちょっと他に用事があるの思い出したから、先に失礼するね。誘ってくれてありがとう」と言いながらさっさと離れていくヒロイン。
(そういえば、ヒロイン設定って確か体動かすの嫌いで静かにゆっくりと休憩とれる場所を見つけるのか得意だったよね、そのため攻略キャラが一人にいる時と出会う状況が続々と出てくる)




