彼女の記憶 其の一
目を覚ますと、机と椅子があって、机上にはパソコンが置いてあった。椅子に座りパソコンの画面を見るとビデオが一つ表示されいて、スタートマークをクリックする。
時間は大体映画一本分、
大まかな内容はとてもかわいらしい女の子とその両親の生活記録だった。親が一人娘に溺愛し,生活方面で特にトラブルなく少女はすくすくと育った。ビデオが進むにつれ、最初に比べ少女自身は親の過剰な愛情表現にちょっと疲れ気味で対応しているけど、でも性格自体は明るく、わがままもあんまり言うことなく、屋敷にいる人全体から愛されている少女になっていた。少女自身屋敷にいるみんなのこともとても好いているようだ。そして、少女が8歳の誕生日が過ぎた3日後、生まれ持った異能が目覚めた。能力は浄化の炎火。暗黒属性の怪物や異能者には絶大な効果を持っている、異能の中でも強力かつ貴重な力だ。後で知った親それはもう大喜びで、集めれる限りの資源を全部少女に注いだ。ここまでして強くならないはずもなく、少女は周りから天才の一人と賞賛されていた。もちろん、少女自身も努力を惜しむことなく、訓練と勉強もあんまり苦に思わなかった。
いよいよ映画も終わりを迎える。
『ジェネル、父様のところにおいて!』
『私の最愛、お父様なんか気にせず、お母様のところへ!』
『君の最愛は隣にいる自分ではないのか』
『あらら、娘に嫉妬しているの?ふふふ
そうよ、最愛は娘よ!』
堂々と言い切る母に父は表情こそそんなに大きな変化を感じないが、明らかに落ち込んでいる。
『でも、あなたは私の唯一だよ。』
その一言で、父の機嫌が180度回転した。
スクリーン前でそのシーンを見ながら、急にレモンが食べたくなってきた。
『お父様、お母様、みんな大好きだよ!』
最後の画面に出てくる楽しそうに笑う少女が本当に天使のように見えてくる。
ここまでで目がきっぱり覚める、ちょっと見慣れた天井模様。やはりさっき見たのは体の持ち主の記憶だね。
(まさかの接触式記憶回復とか、こんなんじゃ全部の記憶をいつ集めれるの。めんどくさすぎる)
代入感一切感じない、本当に他人の物語を見てる実感をした。良い面としては、客観的に人物関係と出来事を見ることができ、もしかしたら隠れている要素とかを見つけれるかもしれない。持ち主の感情によって左右されることが少ない。悪い面としては、話し方をまねることができでも、癖や仕草の違いは短時間で埋めれるはずもなく。すぐに場をしのげれるが非常に怪しい。
(こんなに溺愛されて、性格をあんまり歪ませることないのに。マジで、なんで恋した後、あそこまで歪むの?ゲーム上設定で言っても突発すぎる、実際狂気をあらわにするのはゲーム内で毎回ルート最終編に突入してから、そうなる説明も何もない。こんなのバクでしかない、キャラデザとシナリオライター誰だよ)
溜息がこぼれる、でもこれで屋敷内の人物把握できたのは幸いだ。あとはどう臨機応変で対応するか。とにかく、この数日をくぐり抜けるればいいわけだ。