ヒロインが出迎え
あの日ヒロインと会って以来、どこかの条件を満たしたのか、ヒロインが思うよりずっと自分のそば近くにいることが分かった。マジで、先週の自分の目は節穴だったのかなあ。なんで、まったく存在が気付かないんだ。それとも単純にヒロインは今週からこの授業を選んだのかなあ。なんの授業かというと、金曜の3限にある“ビスフィデス森林生態”という選択授業だ、名の通り、ビスフィデス大陸で独自に生属している動植物の外見と習性について教わる。
ちなみに、この授業はレフィンさんも受けている。シャルルみたいに常に人が囲まれている状態になっていると思えば、どんな授業でも一人で行動していたらしい。別に近寄りがたい雰囲気醸し出しているわけじゃないのに、私が話かけてもまったくめっちゃくちゃ良対応してくれるし、不思議だ。
疑問を抱きながら、隣に座るレフィンさんを見て、ペンを動かしている手の動作が全く見えない。あっという間にページが次々と埋まっていく、しかもスケッチ付きで。逆にそこが一番大事なのだ、攻撃ポイントになりそうな所をすべてマークされていて、さらに推測狩猟難易度も書かれていた。
(このノートを見れば、私は満点をとれるじゃないかなあ)
授業が終わり、レフィンさんは用事あるそうで先に教室から離れ、私も荷物を整理して席から立ち上がる時、ミルキーピンクヘアが顔の横でふわっとなびく。
「ちょっと待ってください!」
前回登場時、緊急事態のため詳しく紹介することができなかったけれど、こちらの方こそ≪Save Me≫の絶対的中心ヒロイン“アイネ・ミルフィーナ”様だ!!
外見は編み込みハーフアップのミルキーピンクへア、つぶらな瞳はパステルグリーン。見本通りの制服、カスタム自由のこの学園でここまで手加えていない制服の方が逆に珍しい。身長は私より少し低い感じ、でも手足はすらっとしている。出身国はここヴィスフィデスだ。校舎と寮は大陸の南側に集まっていて、北側は町になっていって、学園関係者の家族が主に住まわれているヒロインもそこで生まれた。ショッピングや来客ホテルなどが完備されていて、夏休みの学生の遊び場ともなっている。
(改めて近くで見るとロイン超かわいい!!)
ジェネルも十二分にかわいいけどどっちかというと猫系よりで、ヒロインは鹿系だね。いわゆる守りたくなるような感じ?絵見た時も悪友と“ヒロインきゃわいい!”って叫んでた気がする、現実で見るとさらに鮮明感が足されて愛らしさ倍増だね。
「どうかなさいましたか?」めっちゃくちゃ知っているけど、ここは初対面という感じを全面的に押し出すしかない。
「今から少しお時間ありますか?お礼させてください!」緊張しているのが勢いよく言い放つ。
「お礼…?あの時、倒れてた方ですか?」
「恥ずかしながら、そうです」と言いながら少し頬を染め照れるヒロイン。
(あかん、これはときめくね。それとも、私がちょろいのか?)
「丁度昼休憩ですので、食堂へ行きませんか?」
「はい、ぜひ一緒にご飯食べましょう!」
異能学園でどんな授業なら、ありそうなのかを考えでたら時間があっという間に過ぎていきました。
大まかな内容は決めていますけど、細かなところは本当に毎回すごく悩みます。




