人生何とかなる…?
次の日、
「お嬢様、おはようございます。お体の調子はいかがでしょうか?昨日、めまいがすると午後から寝込まれてしまい。旦那様と奥様はとても心配していらっしゃいましたわ。」
メイドさんに優しい声で体調を尋ねられ、いつもと違う朝にすぐ目が覚めた。
「おはよう、まだ少しめまいが残っているみたい。昨夜もあんまりよく眠れなくて」
言いながら、体をゆっくり起こしこめがみを押し頭を少しうつむく角度に保ち髪の毛で顔を隠す。
「まあ、お医者さんをお呼びいたしましょうか?無理に起き上がらないでください」
「ううん、そこまでひどくないわ。朝食はここでとります、あとおさ湯を用意してもらえます?」
慌てるメイドさんをたしなめ、注意をそらすように指示出す。
「かしこまりました、すぐお持ちしますので、ご安静に」
メイドさんが離れるのを確認し、大きなため息を吐き出す。
「ふう、何とかごまかしたみたい。喋り方もこのまま続けていいかなあ、日記の内容があんまりにも偏ってなければ、参考になれたのに。そうだ、日記!!」
テーブルに置いてある日記に飛び込み、適当に上のある引き出しに入れ、再びベッドにダイブ。
「危なかった、この日記の内容ばれたら、始まってもないのにバッドエンドましっくらだよ。にしても、まるで私が来るの予想できたようにすぐバレないためにいろいろ先に用意してくれてる気がするのよね」
普段ならここまで被害妄想みたいな発想しないけど、しかし、今は特殊状況中の特殊状況だから、用心するに越したことはない。
「それよりも、仮病は短期間に使えるけど。学園行く前には何とかしないと、もしそれで行き遅れたらそれこそ詰む。他に手を打たないと、やっぱり一刻も早く情報を収集しなきゃ」
今後のことについて考えてるうちに、扉がパッと開き、とてもゴージャスな貴婦人がベットに駆け寄り。私の頭がそのあんまりにも豊満な胸に押しつけられ呼吸が瞬時に奪われた。
(やばい、息が…これが夢にみた天国なのか、あんまりにも早すぎる)
「ああ、わたくしの愛しい子。もう昨日から心配で心配ですぐ駆け寄りたかったのに、でもチェスターに止められで我慢していたの。今日は元気なあなたを見れると楽しみしていたのに、まだ回復してないなんで、なんでかわいそう。」
言葉と同時にさらにぎゅっと抱きしめられ、息する空間を奪われていく。
(このまま終わるの、私の人生。異世界に来て最速死を遂げれるじゃない。ごめんなさい、頑張って戦っている先輩たち、私が泥を塗るような真似を…)
「奥様!お嬢様が窒息してしまいます、早くお放ししてください。」
朝食を持ってきたメイドさんが私がぐったりしているのを見て、即座に状況把握し、貴婦人をたしなめる。
「あら、わたくしたら。ジェリネ、ごめんなさい。大丈夫かしら?」
「はい、お母様。まだ息出ます」
やっと“幸せ”から解放され、大きく息を吸い。生の喜びを全身で感じとる、もちろんこの時こそめまいの出番。
「うう、めまいが」
ベットに倒れこみ、苦しそうな表情を作る。
「ジェリネ、ジェリネ!」
「奥様、お嬢さまは今安静にならねばなりません。失礼ですが、お部屋から離れていただきます。」
メイドさんはあわあわしている奥様を半強制的に退室させ、扉を閉める。まるで日常茶飯事のように、その行動はとても手慣れていた。
(これは絶対前例が数え切れないくらいある感じだね)
「お嬢様、大丈夫ですか?朝食はどうなさいますか?」
「ここに置いといて、ちょっと休んでからいただくよ」
「はい、かしこまりました。では、お嬢様の休憩を邪魔しないよう、お先に失礼いたします。もし、ご要望があれば、いつでも、鈴を鳴らしてください、すぐ駆け付けます」
「うん」
メイドさんも続いて退室した後、再び静かになった部屋。
(ふう、何とかなった…?)
次の瞬間急な頭痛に襲われる、再び意識が深く落ちる。