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廃紙処理

土曜日になり、今日は掲示板で受けたCランクミッション――廃紙処理しようと予定している。事前の連絡は済ませているので、昼一時に現地集合すればいいとのこと、持ち物も特になし。


約束時間5分前きっかり辿り着いたのは見るからに倉庫の建物だった。そのまま、門前に立っていたら急にすぐ左横から声かけられた。


「今日、廃紙処理に来た生徒さんですか?」


思わず声の方向に勢いよく振り向き、一歩後ずさる。

黒の薔薇刺繍マントに包まれた小柄な女性が立っていた、見るからに呪詛属性の生徒である。


(うわ、びっくりした。この学校に長くいれば皆気配消す異能を手に入れれるのか?これは、今後気配察知も重点的に訓練していかないといけないなあ)


「はい、そうです。初めまして、私は一年のジェネルと申します、本日はよろしくお願いいたします」

「こちらこそ、初めまして、わたしは二年のシャミです。よろしくお願いいたします、こちらへどうぞ」


平行移動するように門へ近づき、学生証を認証にかざして自動的に開いていく。中に入ると、扉の多さが真っ先に目に飛び込む。1メートルおきに扉が一つ設置されていて、二階建てだから、余裕で百以上の部屋があるはず。1個1個の扉には正方形の左右スライド式の窓が設置されており、さらに無駄に広い廊下、まるで牢獄のような造りをしている。


「ここが廃紙倉庫10となっています。主に1年生から2年にあがりたての呪詛練習用の紙がここに廃棄されています。一番失敗しやすい時期である為、呪詛混合する確率も非常に低いです。だから、一番溜まりやすい…」さっきもそうだったけど、シャミ先輩何故が話が進むにつれて声がどんどん小さくなっていく。

「話の途中すみません、シャミ先輩もう少し声量大きくできませんか?ちょっと聞きづらいです」

「あ、ごめんなさい。知らない人と話すのが苦手で、気を付けますね」

「先輩、謝る必要はないですよ。話続けてください」


何回も頭を下げられ、慌てて止める。そのまま、続きを話すよう促す。


「はい、じゃあ今日ジェネルさんに浄化して頂くのが13番から18番の部屋です。一部屋大体500kgの廃紙がありまして、浄化完了するまで、新たな廃紙は増えません。出来れば、4時前に全部完了して欲しいです。皆、その時間帯から練習し始めますから、お願いします」

「わかりました、任せてください。出来るだけ早く終わらせます」

「あと、呪詛混合確率は低いけど起こりますので、対応できそうにない場合は扉の左側に赤い緊急ボダンがありますので無理せずそれを押してくださいね」

「はい、ありがとうございます」

「では、あちらで学生証に一時権限開放しますね」


門の右側壁には学生証置く空槽があって、各自自分の学生証を指定された位置に置き、シャミ先輩が画面をいくつかタップ入力した後、私の学生証が一瞬青く光った。


「これで完了しました。今日一日指定された部屋は何回も出入り可能になります。

あと注意事項として部屋に入れば、速やかに扉にある固定装置を使ってください。風が1分後に吹き出しますので、浄化終えれば風も自動的に止まります。途中退室は扉の右側にある緑のボダン押すと出れます、そちらも1分内にお願いします。終了する頃には戻りますので、浄化頑張ってください」

「はい、どうぞ」


そのまま又前向きに平行移動で倍速をかけたように退場するシャミ先輩、よほど私といるのが緊張するらしい、ちょっと傷つくなあ。


それよりさっきの注意事項で気になる箇所があったけど、尋ねる前に先輩先に行ってしまわれたので、仕方がない。

13番の部屋前に立ち、扉を開けると、山ほどある紙が部屋中に散乱していた。紙の上には数々奇怪な図形や文字が書かれており、扉を閉めると飛行機でキャビアテンダントが待機中に使うベルトが付いていた。それを身に着けてすぐ強風が吹き荒れ、紙も高速に舞い上がる。


(ぷぷぷ、髪が髪が。ちょっと待って、こんなの聞いてない!!!)


長髪が風のせいで顔にバシバシと当たる、地味に痛い。まるでジェットコースターの下り部分を延々と体験している気分になる。固定装置が無ければ、私も容易く吹き飛ばされているのに違いない。


(これをどう浄化するって言うの、何も見えない。入る前に扉に付いてた窓で先に中確認するべきたった、ここはいったん退散するしかない)

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