異能実践授業(下)
そのまま十週目走っていた時、急に地形が変わり始めた。何もない地面から突然丘が現れたり、地面も真砂土から泥道や砂利道などランダムに変わっていた。こういう大々的な変動には対応しやすいけど、面倒くさいのはどごにでもある小石や何故かバナナの皮が現れる、注意しないとすぐ転びかけそうになる。
それが続くと、自然に先頭以外はスピートが徐々に落ちていた。変化に慣れない生徒は息が乱れ始める、ここで学園来るまでの訓練量と意識の差が歴然と現れてくる。
その点ではゲーム内の主要キャラはヒロイン以外は成長過程で徹底的に英才いや天才教育を受けてきた。まさしく選ばれし者達という訳だ、全員十から百年一度に現れる天才と称されている。
(あと、ここに入る時点で自分が天才と宣言してもまったく問題ないからね)
それ故に、学園のあだ名の一つも"天才の揺り籠"になってるし、やっぱ量が増えると廉価感半端ないなあ。
ごめんごめん、またもや話が逸れた。何でここで事前教育について語っているというと、特別枠の入学方法もう分かるように、少数異能であることと金だ。実際のところ、異能さえありふれている物でなければ大体金で解決できる。入学試験に関しては落ちることの方が稀だ。だから、入学前は異能特化訓練はしてきても、それ以外をどこまで訓練するかは個人差が出る。
そして、ゲーム内で普通枠が特別枠に嫌味言う時は決まって、
"結局金の力で入って来たくせに..."
と定番ではあるけど実に正しい。
それからしばらくして、遂に最初の脱落者が出できた。そこからはまるでドミノでも倒したかの様に脱落者の数が増えていった。
「「先生、地形が急に変更することなんで聞いておりません」」脱落した何人かの生徒が先生に文句を言う。
「俺はいつ妨害はしないと言った。ただ走るだけなら授業中じゃなくでも他でいくらでも訓練できるだろう、これは実践授業なんだよ。臨機応変を常に頭に叩き込むんだ、初授業だからこれでも優し過ぎる方なんだよ」
「「そんな...」」
「文句はこれ以上受け付けない。あと、これ後でも繰り返すか、今日3分の2以上続けれなかった生徒は出来るまでやり直しだ、つまりお前達のことだ。これぐらいはクリアしないと、あとらへんで地獄をみるぞ。お前らのためだ、だから黙ってやれ」
「「......」」
先生に気圧されて黙り込んだものの、顔には明らかに"ありえない"と書かれている生徒は多く見られる。
視点を走り続けている生徒を再び向けると、
先頭集団では相変わらずラオル選手がトップを保っている。変化にまったく動揺することなく、まるで平原を走っているかのように安定感抜群!
シャル選手は動きは俊敏でありながらもイライラが隠せない様子。原因は言わずとも分かるので次。
他の先頭選手も今の所特に目立つ問題なく走っている。これは思うより数が残る感じだね。
そして、脳内で他の事を考えてる私は当然先頭から遅れをまったく取っていない。まあ、でも油断大敵だから走ることに集中するわ。
結果、チャイムが鳴るまで12人が最後まで残り、一位は意外は起きずラオルのままで終わった。




