ヒロインはどこ!?
三日間過ぎ、授業はどれも面白くって生徒の勉強意欲も高く、その雰囲気に当てられ知らず自分も集中して授業を受けていた。シャルルやほかの寮メンバーがいれば一緒に受け、そうでない場合は他クラスの子に喋りかけたりしてた。少しでもゲームキャラの情報を手に入れるためにね。だが、未だにヒロインに会えていない,いつ登場するんだよ!何またジェネルが彼女に会う時期ではないからとでも言いたいのか!!
(落ち着け自分、深呼吸、深呼吸)
一方で、ヒロインに会えないことにちょっと安堵している自分もいる。すごく会いたいのに一生会わずこのまま過ごしてもいいとさえ思えてきた。
(待って、恋する乙女が自分。なんでヒロインにこんな気持ちを抱かなきゃいけないの、正気に戻れ!)
ボケをしてくれる悪友がいないため、最近一人漫才を延々と心の中で広げている。非常にむなしい、どこかに逸材はいないのかなあ。
話題を戻して、同じ特別枠であるにも関わらず会えない原因はクラス1から5が一括りで必修授業を受ける、クラス6から10が一括りになっている。普通枠の上位10名は全員クラス10にまとめられている。そこにヒロインと幼馴染の攻略対象がいる。あと上級生の3人を除き、聖子と聖女はクラス6にいる。もう見事にこちら側から進んで傍に行かない限り、関わりを持つことがほぼない。ならば選択で会いに行くしかない。他はどうなのかわからないけど、一つの授業で必ず聖子と聖女に会えるのは次に受ける“宗教学”だ。そこにヒロイン達もいることを祈る、目立つから一発でわかるはず。
宗教だから神について話さないわけがなく、元の世界で神様の存在はあればいいなあと密かに描いてた時期はあった。この世界に来てからは切実に神はいることを強く願っている、これから信仰するとかではない、私は神に会えるなら今までの文句を全部ぶっつけたい。ゲームの世界に引っ張られる日にちと場所からあと人選まですべて討論をしたい。
だから、この授業は選択するつもりは毛頭もない。最終試験で神に対して賞賛を書く問題があれば私は0点取る自信がある。少し早めに教室へ行き、後ろ目の席を確保する。シャルルの国は神創設派ではないから、この授業は選択範囲にすら入ってなかった。
授業始まるきっかり5分前に、聖子と聖女が前の扉から教室に入る。二人とも制服は完全にハイネ聖国の白祭服に改造されている。学校の校章が無ければこれが制服だなんで誰も思わないでしょう。同じ長さのプラチナの髪と瞳、表情から歩幅まで息一つ乱れることがなく計算された動きで最前列に座っていた。そして、すぐさま周りに側近が座り。そこだけ意図的に隔離された空間が作られていた。
(うわ、まるでロボットみたい、これは逃げたくなるの理解できるわ)
誤解のないように、側近達もきちんと試験を受け学園に入った生徒である。聖国にとって、聖子と聖女誰か一人損失しても大変なことなので、守護する人達を同時期に育てるのなんでもたやすい御用である。
授業がもうすぐ始まる時間になり、周りを見渡してもヒロインの姿が見当たらない。この授業選択していないのかなあと落ち込む。
(本当にどこにいるのヒロイン!?)
まあ、気を取り直して、聖子と聖女の観察に準備万端で構えてたところ、急に後ろから肩をトントンされた。振り向くと、意外な人物がそこにいた。




