ホームルーム
講堂から出てすぐ、学生証を取り出しクラス欄にはS1-1の表示が出ていて、単純に特別の英語頭文字と1年生1組ということだと思う。そして、流れに沿って教室に向かっていた。
周りから溢れんばかりの活気とこれからの学園生活への期待を感じながら、自分が高校に入学したての頃と重なる。
(めっちゃわかる、新しい環境でこれからどんな出会いや楽しい日々待っているのがわくわくドキドキ。いいよなあ、私ももう一度感じたい)
ダメだ、いい日であるにもかかわらず、何故か気分がいまいち上がれない。本当こういう時の自分がすごく嫌になる。颯爽とすべてを片付けるには決断力かけているし、でもこのまま踊らさるのも気に食わないし。ああ~悩む。
また思想が彼方まで飛んでいたころに教室に到着した。席は学生IDで決められており、教室の窓から二列目の真ん中が自分の席だ、他の生徒達も結構集まっており。あ、ラオルとシャルルがいる。やばい、ここでこの組み合わせと同じ教室来たのが、もうつまらないとはかけ離れる学園生活を送れることを私はすぐ確信した。
(そうなるよね、わかってた。私が元の世界で単調な生活に文句を言ったのが悪い、失った時しか大切さを知ることがない。まさしく今この言葉を再認識した)
チャイムが鳴り響く、自分だけじゃなく周りの生徒たちも挨拶を交わせずに。みんなすぐ席に着く。
すぐに先生も教室に入ってくる、ダークグレイの髪をオールバックにして、白シャツと黒のスーツパンツを着こなし。存在感を無視することができないオーラを放っていた。
「もう全員そろっているな、じゃあ早速始めよう。まず自己紹介から、おれは極だ。このクラスの担任になる、他にもお前たちの実践授業の先生も担当している、一年間よろしくな」
(え、私の聞き間違い?さっき極で言わなかった。まさか、監督官!?)
「俺のこと入学試験で知っている生徒もいるだろう。まあ、入学おめでとう!だが、これから始まりだ。早速、気を引き締めれるよう何点が大事なことこれから言う。よく聞くんだ」
(やはり、顔面偏差値が平均的に高いこの学園であんな社畜感漂う恰好するのはよほど忙しかったのだろう)
「まず一つ目、制服だ。特別枠だから特別感をこれから十分に味わうでしょう、今着ているその白制服は特別枠プラス普通枠上位十名のみに最初から与えられる。けど何もせずそのまま特別でいられるとは思ってないよね。簡単に学園では生徒たちの切磋琢磨を推薦していて、普通枠から特別枠への挑戦月一回認めている。一度指定されたら断ることはできない。特別枠が負けた場合は自動的に白から紺の制服に変わり、普通枠の生徒は白制服を与えられる。だから、卒業するまでこのメンツで白制服を何人着ていられるかは未知数だ」
しょっばなから爆弾情報を落としてくる先生にみんな戸惑いを隠せない様子で一気にざわめき始めた。
「はい、静かに。挑戦権は確かに普通枠にはあるが、勝負内容は特別枠のお前らが決めれる。だから、必ずしも肉体的戦闘をする必要がない。それから、もし自分は付いていけないのと思うときは自ら放棄しても可能だ。詳しいことは校則を読め」
主導権は自分にあると聞いて、明らかにほっとした表情を見せる生徒が何人もいる。
「俺から言えるのは、どのような選択をしても自分を恥じることなかれ。これが人生の最後ではないからな」
「じゃあ、次だ。毎年勘違いするバカな子達が現れるから、これは数年前から生徒に伝えることになった。特別枠も普通枠もすべてランダムで教室に配置される、だから1組だからといって他のクラスより優れているとは全く関係ない。ちゃんと肝に銘じろうよ」
「これが最後だ、早速特別なことをしてもらう。今年のお前たちにはある技術の実験対象になってもらう。全員強制で一年間但しポイント付きで、もし問題や斬新な意見を提示でき開発側に採用されれば、さらにポイントは増える。先にポイントの重要性を知っているお前たちにとってこれはとてもお得な話だろう」
「極先生、実験内容で何ですか?」
「強制はおかしいです、もし危険があれば学園側はどのように責任を取るのですか?」
「ポイントはいくら頂けるのですか?」
ここまで聞いて、さすがに生徒たちも疑問を押し留めることはできず質問が飛び交う。
「それらの質問について、これから喋ることで全部解決するさ。おとなしく最後まで話を聞け。技術自体はすでに研究関連者全員実用して3年以上経っている、身の安全への心配はほぼないに等しい。けれど、大規模での使用が今回が初めてのため、今まで見えてこなかった問題点が発生する場合がある。だから、今回は強制という形でお前らが選ばれたわけだ」
そして、先生は指輪から大きなボックスを取り出し。蓋を開け中から一つの包を取り出す、中には腕時計みたいなものが入っていた。
「学生証はみんな持っているだろう、しかしどんなに細心な注意をかけでも無くす場合がある。学園ではそれが粉砕されない限り再発行は禁止されている。一番の理由として、技術漏洩を防ぐためだ。だから、普通では学生証無くすイコール退学だ。しかし、ここは学園であって闘技場ではない。このような残念な出来事の再発を防止するため、この腕時計は今後学生証の代わりになるよう設計されている」
「基本、学生証ができることはこの腕時計使えば同じことが出来る。説明書通りに操作すれば、簡単に使えこなせれる」
「それからお前たちが気にしてたポイントについては一年間で一人10万ポイントを与えられる。さらに、この腕時計を通し意見や質問を採用発見できた場合は1万ポイント追加される」
「以上で俺の話は終わりだ、ここから質問タイムだ。聞きたいことがあれば全部言った方がいいぞ、俺はこれから全部答えるとは限らないからね。自分から答えを探すのも勉強の一環だ」




