表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/74

悪役令嬢大集合

昨日記憶のことで疲れてるはずなのに、中々眠れなくって。朝日が昇る頃にやっと熟睡することが出来た。次に目が覚めた時はもうお昼頃だった。

身支度する途中で情報屋が最後に言った言葉を思い出し、クローゼットを開く。そこには既に改造されていた制服のコートがあった。どっちかというと半分がコートでもう半分がブレザー。色は純白で襟元に金線が施され、袖はウィング・スリーブ、左胸のポケットに校章が刺繍されていて、コート部分の裾はフレアになっている。重さはほとんど感じず手触りも心地よい、何よりもこのアンバランス感がめっちゃ好み!


(これぞゲームの世界ならではの服装、ずっと憧れてたのよね。普段のドレスもかわいかったけれど、一人で着用するわけにはいかないから、これくらいが丁度いい感じだね。でも紺では無く白は特別枠だからかなあ)


制服を着用し、部屋を出ると隣の部屋も扉が開かれた。そこから出た人を見てすぐ体が一瞬で膠着した。


乙女ゲームに出てくる典型的な悪役令嬢はまさしくこの人を指すのでしょう。黄金色でドリルヘア、吊り上がった猫目を彷彿させるダークブラウンの瞳。プライドの高さは全身から滲み出している。


(ここに住んでだの、嘘でしょう!?まさか、他も。あかんあかん、フラグや)


「あら、皆様もこれからお昼ですか?」


右側から声がして、恐る恐る振り向くと、すぐにでも寮選びしていた時の自分をひっぱたきたい。こんなところでゲームの強制力が発揮するの本当に勘弁してほしい。


(さらば、私の憩いの場)


「ええ、そうですわよ」

「もし良ければ、同行してもよろしいですか?」

「あなたはどうです?」

「え、私?もちろん、是非お供させてください」


急に自分に声をかけられ、まだショックから回復できない自分は真っ先に出たのが肯定の言葉だった。


(もうこうなったら、先手必勝!)


「皆さん、どこの食堂に行かれるがお決まりですか?」

「私さっき到着したばかりで、よくわかりません」

「自分もそうですわ」

「でしたら、私が近くの食堂にご案内いたしましょう。ちょっと早めに到着してたので、周りは一通り知っています」

「それはとても助かります」


先頭で道案内しながら、自分のうかつさに猛反省している。


(ヒロインと攻略対象に集中しすぎて、彼女達の存在を完璧に忘れてた!自分も今その一員なのに)


そう、ヒロインと攻略対象達の仲深めるために欠かせない存在、ライバルキャラだ。


「自己紹介はまたでしたよね、私はジェネルです。以後お見知りおきを、お二人とも名前のみ教えていただければいいですよ。それが校則の第一条です。」

「何故家名を名乗ってはいけないのです!?」すかさず返された質問にもう見なくても誰が不機嫌になっているのがわかる。

「さあ、私も新入生でよくわかりません。けど、私なりの解釈として学園で家名にこだわりすぎるのはよくないってことだと思います。学園にいる間、国とはしばらくお別れしている感じじゃないですか、ならばここではどこの家の誰というよりも、自分は誰であることを周りに証明する最適な場所ではないですか?それに、たとえ名乗らずとも、私たちの一挙手一投足はすでに体現してますからね。

二人共後で部屋にいる校則を確認する方がいいですよ、そこに詳しい説明も載っています」

「一理はありますね。申し遅れました、私はレフィンです。どうぞよろしくお願い致します」


レフィンはミント色のゆるふわヘアの持ち主、目じりは少し下がり気味で右目の下に美人ホクロを持っている、おしとやかそうなお嬢様である。実際悪役令嬢の中でも比較的控えめな性格をしている。


「私はシャルルよ。そう通りですわ、家名を名乗らずとも普通枠の子達と違いは歴然、簡単に埋めれるようなものではありませんわ」

「あの、別に特別枠と普通枠比べる必要はないのですよ。ほらもうすぐ、食堂に着きますから」


慌ててシャルルさんの危険発言を遮り、違う話題に持ち込む。


(なんでそこで普通枠と絡まるの、自ら破滅フラグへ進まないで)


昼食ではシャルルがバイキング形式の食事に文句言いながら、レフィンも少し眉をひそめ、私は冷や汗をかきながらポイント制の説明をして無事に済ませることが出来ました。


(そうだよね、料理は毎回凄腕のシェフ達が栄養バランス考慮した上で作っているから。肥えた舌に量産化がメインなバイキングは口に合わないのは仕方ない。私も元の世界で育っていなかったら同じ状況になっていたのかもしれない)


寮に戻れば、リビングのソファーでは背中向けで残りの入居者達が座り会話を弾ませていた。亜麻色と黒の髪色を見て最後の希望があっけなく砕け散った。


向こうも扉の開け閉めに気づき振り向き、ソファーから立ち上がり自己紹介する。


「おかえりなさいそしてはじめまして、私は戀黎、こちらはメウミ。よろしくね!」

「よろしくお願いします」


これで一人を除き、ライバルキャラは全集合した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ