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速すぎる再会と少女の恋心

その後、学園内の主要建築を見回るだけで予想以上に時間がかかり、日も暮れそろそろ寮に戻る頃。


遠くで予想しない人物が視界に入った。まだ会う準備が出来ていない。学園に入れば絶対関わるとわかっていたけれど、決して今ではない!


そうあの人だ、“フォン様”


「はあ…はあ…はあ…」


急に心臓を握り潰される感じで、息ができず視界が朦朧としてきた。ここで倒れるわけにはいかない、何とか寮に戻らないと

拙い足取りで寮へ向かう、不思議に人影があんまり見当たらない。何とか自分の住む部屋に戻り、扉を閉めた瞬間ずるずると床に滑り落ちる、そのまま気絶するように意識を離す。


《一目惚れではありませんでした。

フォン様と最初のお会いしたのは私が6歳彼が7歳の時親に付いてお茶会を参加する時でした。初印象はすごくキラキラしている子、見てて目が痛かったの。後で立ち位置と太陽の直射によるものだと気付きました。そのせいがどんな顔してたのがうろ覚えで、全く記憶に残らりませんでした。


『お初にお目にかかります、私はジェネル・エンブレ・リョウ・ソディアムと申します。』

『こちらこそお会いできて嬉しく思います。自分はフォン・リウム・ルクアイーレ・ロベルトと申します』


貴族の子女として当たり前な堅苦しい自己紹介を終え、沈黙が続きました。丁度他の令嬢達が挨拶に来てたので、それ以上の会話を交わすことなく屋敷へ戻りました。

その後も違うお茶会でフォン様は必ずいたので、次第に他愛ない話をしてちょっとずつ仲良くなりました。その時もこれからはいいお友達になれそうで止まりました。その時わたしの理想形はお父様みたいな人ではっきりしていたので、フォン様みたいな精細な外見な人に全く興味がありませんでした。


気持ちの転機は異能覚醒後、公爵から伯爵一族まで異能自然覚醒したすべての子が毎月一週間合同訓練参加することが義務付けれられています。訓練内容の初期は異能よりも主に体力づくりがメインです。何故なら一人でするより人が多い方が訓練効率が上がりやすく、それに毎回順位が訓練後に発表されるので、年齢が近い分勝負心を煽られ次の訓練までに努力を途絶えることがほぼありません。その時の自分は侯爵家の一人娘として、もちろん良い順位をとって、お父様とお母様を喜ばせたい一心でした。


実際始まった訓練は想像以上に厳しかった。異能覚醒と伴い個人差はありますけど身体能力と回復力は必ず上がります、身体測定後に個々に合わせてメニューが作られ。初めは毎日の分を最低でも三分の二をクリアしないと次の日にプラスされます。3回連続クリアできない場合訓練から永久に外されます。元々50人くらいの参加者が2、3回の訓練後一気に20人まで減りました。それからは少し訓練に慣れれば量を足される繰り返しだった、途中で格闘技も教わり、最終的に残ったのは7人だけでした。


フォン様もわたしと同じ時期に訓練に参加していました、数少ない知人であり同じく元素系の異能覚醒同士密かに競争心を燃やしていました。気付いたらトップは二人で争うようになっていで、とても充実な日々を過ごしました。けれど、フォン様逆に異能覚醒後日に日に沈んでいた、いつも浮かべている笑顔も少なくなり。逆に、訓練時は自分の体ではないかのように無茶をし続けました。傍で見ていると心配せずにいられませんでした、窘めでも全く聞く耳を持たず。とあるきかっけでその理由が分かりました、それが逆にかける言葉を無くしました。意を決して、フォン様にかけた言葉は、


『フォン様、あなたが一番望むものを与えることはできませんが、わたしはあなたの傍にいられます。だから、これ以上自分をいじめないでください、見ててこっちも気分がよくありません。』


少しぶっきらぼうに言った言葉を聞いたフォン様はちょっと驚いた顔して、すぐにそれはそれは今まで見たことがないとても美しい笑顔見せてくれました。


その瞬間だけ時間が止まってる気がした、わたしの中に何が芽生えた。


後は、言葉通り私はなるべくフォン様の傍にいて、共に食事し、共に訓練し、共に成長しました。気付いたらいつもフォン様を目線で追いかけ、フォン様が寂しそうな表情をしていると慰め笑わせたくなります。あの時の笑顔をもう一度見たい、わたししか知らない笑った顔を…


そして、婚約が決まったことをお父様から伝えられた際、気持ちにはっきりと呼び方をつけることが出来ました。


『これが恋ですね』


そう小さく呟くと、思わず笑顔がこぼれます。》


パッと目が覚める、これまでの記憶と全く違う、ジェネルの視点、ジェネルの考え方そしてジェネルの感情で記憶が押し寄せてくる。胸のドキドキが止まらない、記憶回想が終わっているにもかかわらずフォンの顔が脳内から離れない。本当に危うく自分を見失うところだったよ。


これは私の恋心ではない、“ジェネル”のだ。

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