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情報屋

しばらく、黙々と食事している間、フォーム先輩の方が先に食事を終える。


「ではさっきの話を続けよう、ジェネルさんはそのまま食事していて構いません」


「さっき二階に行くの止めた理由はとても簡単だよ、ポイントだ。二階には3000ポイント、三階には最低でも1万ポイントも持っていないと結界に足止めされるのだよ。」

「なるほど、新入生の自分には登れないわけですね」

「そういうこと、この学園で生きていくにはポイントは必要不可欠だ。けど、学園から最初に与えられるポイントはたかだか最高でも1000ポイント。食費だげでどんなに節約したところで1ヶ月ちょっとで使い切ってしまう、他の支出も考えれば到底足りないわけだ」

「何をおっしゃりたいのですか?」


含みのある言い方に食事する手を止め、フォーム先輩をじっと見つめる。


「おっかない、そんなに睨まないでよ、本当の事を教えただけではないが」

「ええ、だがちょっと調べればわかることをわざわざ新入生の自分に言うのが気になります」

「まあ、話を最後まで聞けばわかるさ、悪気はないから。では、ポイントの稼ぎ方は知ってるか?」

「校則に載っている方法であれば一通り知っています」

「それはよかった、説明する手間が大分省けれる。ジェネルさんの異能はまだ知らないが、1年生がすぐ探索に行くのは危険が高すぎる。異能供給は確かに安定した収入源になるけど、だが実りがわずかしかない、毎日続けでもたかが知れてる。そもそも供給対象外の異能はであればもう論外だ、必然的に別の形でポイントを安定かつ十分な量を得られる方法を探せなばならない」


長々と喋ることで口乾いたのが、フォーム先輩はお茶を一口飲んだ後、再び説明を始める。


「学園にはミッションボードがある、個人証明カードを持参している人であれば誰でもミッションを依頼することが出来る。ミッション難易度はDからSランクまであり、報酬はポイントもあれば相応な品物の場合もある。ミッション引き受けることはできるのは学園関係者のみとなる、普通であればそこでポイント獲得するけど」

「新入生がクリアできるミッションは少ないということですね」

「当ったり!しかし、それだけではない。新入生がこなせるミッション数自体が限られている、ジェネルさんは毎年学園に入る新入生の数は知ってる?」

「大体毎年1500人ぐらいと聞きますね」

「正解。だから、ミッション引き受けるには早い者勝ちだよ、さらに競争者は同学年だけとは限らないからね」


「情報屋」ここまでフォーム先輩の話を聞いて、ぽろりとその一言が口に出していた。


(やっと思い出した、乙女ゲームには欠かせない助けキャラ。いつも神出鬼没で情報網は幅広く、常に最前線の情報をいち早く入手出来る、通称“情報屋”。メインキャラ達とよく取引していた重要人物だ。現状では、私にとっても攻略者より大事な人物である)


そんな私のつぶやきが聞こえたのが、フォーム先輩は笑顔を崩さず目は一瞬細める。


「あれ、僕のこと知っているのか?僕の記憶が正しければ学園入る前も会ったことはないはず、こんな美人さんは一度会えば忘れられないからね」

「いいえ、私も今日が初めてフォーム先輩とお会いしています。単に、わが国ではあなたと雰囲気が似ている人を知っているだけです。その人は情報を商売にしているのです」

「そうなんだ、偶然だね。僕も情報収集と販売を生きがいにしているのだよね、それこそジェネルさんが言う”情報屋”だ」

「私に声をかけたのも情報を売るためですね」

「特別枠の生徒は大のお得意先だから、新入生とは言えどジェネルさん達のように優秀な生徒さんを見逃すわけにはいかないから」

「では、今の私にどんな情報を売りたいのですか?」

「今日は商売目的じゃない、メインは挨拶だ。ジェネルさんがかわいいからついつい話を長引かせてしまった。まあ、そろそろお暇させてもらおうか。はい、ジェネルさんこれが僕の連絡先だ。いつでも連絡して、欲しい情報は基本ポイントのみの支払いでよろしく」

「必ず連絡させて頂きます」


名刺を渡され、食器を持って立ち去るフォーム先輩。何がを思い出したのが再び私を見て一言残した。


「ジェネルさん、最後に一つ、制服のブレザーは今度忘れずに。では、良い一日を」


そう言われ、自分の服装と周りの服装を比べる。さっきの人少なさと違い、ぼちぼち席が埋まってきてる。それぞれ改造されている部分はあるけれど、全員似た紺ブレザーを着ていた。貯蔵の腕輪があるから、クローゼットを開いてなかったなあ。帰りに確認しとこう。


今日は情報屋と知り合えただけも、十分な収穫だ。お腹も膨れたし、次の目的地に向かおう。

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