学生証と寮選び
一時間全力疾走後
周囲の景色が一変する、でも今はまったく観察する気力が残ってない。息切れきれで、まじで一生分走った気がする。地面に張り付いてないのはジェネルとして保たなければならない矜持だ。
「いい見世物だったよ、この何日の疲労飛んだわ。笑いすぎて腹が痛い。」
「良かったですね」
ツッコムする気力もなく、只シャワー浴びて、休みたい~
「これで入試完了だ、おめでとう!自己紹介まだしてなかったな、俺は極だ。この学園で1年生から2年生までの異能実践教師を担当している。よろしくな」
「そうですか」
何とか息を整えることが出来で背筋を伸ばす、右横に立っている男性を見る。
「お疲れのようだなあ、これでへばてったら先が思いやられるぞ。まあ、先にこれを渡すよ」
一枚のカードを渡され、そこには既に学生番号と思われる数字の羅列とジェネルの名前が刻まれていた。
「これが個人証明カードでまあいわゆる学生証だ、絶対無くすなよ。完全粉砕されない限りいかなる理由でも再発行することがない。詳しい使い道は寮にある校則を読め、しっかり読むんだぞ。」
「寮はどうやって決めるのですか?」
「特別枠だからこのマップ上マークがある場所はどこでも一つ選べ。1回タッチすれば寮と部屋分布と説明が見える、2回タッチすれば決定となる。」
「これもすべて異能ですか?」
目の前に広がるブルーマップを見て、再び違和感を感じずにいられなかった。これじゃまるで未来技術いや正確に言えばVRMMOを遊んでいる錯覚に落ちる。
「そうだな、異能研究の副産物といったところだなあ、便利だろう」
「ええ、とても。まるで別世界の技術のようです」
「そういう風に捉えらるのも仕方がない、誰しも初見は驚いてた。すぐ慣れるさ」
「なぜ国ではこれに近い技術の研究話を全く聞くことがないのですか?侯爵家の娘である私でさえ」
「いい着目点だ。一つ覚えとけ、超越した技術は災いを起こす。成長にはプロセスも必要だ。だから、この学園に留めておくのだ。さあ、ここでゆっくりと選べ、決まれば自動で案内する仕組みだから。俺は次の生徒を迎えにいかないと」
「分かりました、ありがとうございます。」
一礼した際先生はすでにその場から転移していた、なので意識を再び展開されているマップに戻す、選択がありすぎでまるで星のように散らばっている。絞れないかなあと思いながら、いろいろ押してみたら、条件項目が出てきた。
一人部屋(施設完備)
女性のみ
校舎付近
その他 日当たりが良い
順番に選択肢をチェックし、マークが一気に減った。校舎を囲む感じでパラパラと存在を主張していた。
次どう選択すればいいのかもう最初から決まっている。さあ、悪友よ私に力を貸して!ゲーム内でのヒロインと攻略対象がそれぞれいた寮はどこだ。同じところはぜひ避けたい、日常で会えないの方が異常だからもし今後やらかした時とかあと気まずい時逃げ場くらい欲しい。
“ほら、見てこの分布図。面白くない?”
“え、これどこのゲーム地図?見おぼえないけど”
“まさか、覚えてくれてるの!?やだ、感動する~。さすが、いつも学校10位内に入る頭脳の持ち主!”
“記憶力に自信はあるからね、化学はダメダメだけど。それに毎回攻略内容を教えてくれる時、地図も合わせて結構見せてくれるから。”
“そう言われればそうだね。まあ、それよりもこれが私の最愛である《Save me》の舞台、学園寮の分布図だ。”
“《Save me》...これはまたわかりやすいタイトルだね。何を助けるの?”
“設定はまたあとでいくらでも説明するよ、今は何よりもこの分布図が先だ。もうヒロインも攻略者も住む場所見事にバラバラ、これがどういうことを意味するが分かる?”
“放課後と夜のイベントが増えるとか?”
“それは当たり前じゃない、もうもっと想像力を羽ばたこう。答えはこうだ、ヒロインと攻略者は出会うことなくエンディングまでたどり着けるルートが存在するということだ。だって、マンモス校だよ。その中で特定の6人と常に会うなんで奇跡じゃない。”
“…”
“なんで黙っているの?”
“あのさ、自分が遊んでいるゲームのカテゴリーを言ってごらん”
“乙女ゲームだけど”
“ねえ、どこの乙女ゲームが攻略者と会わずに最後まで進めるルートを作り出すの?しかも、最後超現実的な考え方になっているし。ボケるところがなくなったからといって、無理に作らなくっていいのよ”
“ばれちゃった、へへ”
あの時見た分布図とブルーマップを照会していけば、右側の真ん中から下の部分は見事に要注意人物達と交わらない。良し、ではここにしよう!




