学園へ出発
いよいよ学園に出発する日がやってきた。
「お父様お母様、いってきます!」
機動性の高い服装着て,髪も結び、必要な荷物はすでに前日で貯蔵の腕輪に入っている、入学証明を手にし、庭で両親と別れを告げる。
地図上でも分かるように学園は一つの大陸を占めていて、学生は一度入学すれば卒業もしくは退学でない限り学園から離れることを許されない。行くルートは3つ、海、空そして転移だ。学生は入学証明書を持ってすれば学園に直接転移することが出来る。
仕組みは転移の使える異能者が入学証明に学園の座標と異能を書き込み。合格者は全て名前と異能が記録され、他者が偽装して学園に入らないように、使った人がもし今後学園で本人ではないとバレた際、紙自体に掛けられた無力化の呪いが反応し、すぐさま拘束される。
偽装の一番の難点は異能だ。完璧に他人の異能を手にして使えることが出来るのは譲渡覚醒者以外全て一時限りの方法でしかない、似ている異能でも系統が違えば同じ効果が出ないため、いずれはバレる。だか、例外は必ず存在する。学園にさえ入ればいくらでも操作ができる。その為に特別枠候補になる最大の条件として異能の希少さと共に各国の将来に担う子供達であること。特権の一つとして普通枠より先に学園に入ることや異能試験も事前保護と本人確認の一環である。
「ジェネル、行く前に一つティップを教えよう。姓を心に刻め、自己紹介は名のみでいい」
「お父様、何故ですか?」
「学園に着いたら、自然にわかるさ。それから学園では安全第一だ。絶対無事に戻ってきてくれ」
「ジェネル、あなたに明るい未来が訪れることを祈っているわ」
「もう、お父様お母様…」
まるでこれが最後の別れであるような両親の言葉に少し苦笑いし、一息してはっきり言う。
「私は必ず無事に戻ってきます」
転移の触発方法は簡単だ、建物外で入学証明に書かれている文字を朗読すればいい。
「ジェネル・エンブレ・リョウ・ソディアム様
この度、ヴィスフィデス学園への入学おめでとうございます。
学園の信条は只一つ、
異能を拒むな、生まれ持つ祝福だ」
入学証明から眩しい光が放たれ、次の瞬間ジェネルの姿が庭から見当たらなくなった。それを見届け寄り添う両親、さっきまで隠していた心配げな表情を顕にする。
「ねえ、あなた…あの子は大丈夫だよね、急にいなくならないよね」
「あの子に関してはもうそう願うしかない」
「だか正直、今あの子が学園に行ってくれることはありがたい。どんな態度であの子に接すればいいが、俺にはわからない。君もそうだろう」
「ええ、いい子ではあるのよ。急にこの世界に飛ばされて、心細かったでしょうに、よく頑張っていたわ。しかし、それ以外でジェネルが呼び寄せるくらい何がを備えている風には見えなかったのよ。だから、それだけにジェネルが何も言わず私達から永遠に離れていくことを選んでたのがどうしでも納得できない」
「俺もそう思うよ、ジェネルについてはいろいろで調べなきゃいけないことは多い。だが、裏に動いてる人は誰であろうと必ず対価を払わす」




