これで解決?
あの会話後、部屋へ戻り顔を洗う、拭かず鏡に映っている少しだけ見慣れた顔を見つめる。さっきまで泣いてた目がまた赤く腫れているけど、そこにはもう前みたいに不安で焦っている感じはしない。
「これで一時は誤魔化すことが出来たかなあ、あとは学園に入れば成長のおかげという言い訳で通せば大体いける」
一息おいて、
「ジェネル・エンブレ・リョウ・ソディアム、私の魂に誓おう!あなたに成り代わることは私にはできない。けど、これからの人生は私がきちんと責任を持って生きていく!」
誓いを宣言した瞬間、体と魂の間にあったずれが修繕されていく感じがした。今までビデオ頼りに真似してきた体の動かし方や表情がもう自然とこなせる気がする、異能もまるで最初から自分のであるように使えそう。
(もうこれで本当に後戻りすることは出来ない、私はこの世界で生きていく。)
一日を振り返り、新たに気付いたことがある。
(そういえば。なんで私は最初からジェネルが“死んだ”という前提で話を進めているの?最初から記憶を受けついてるわけでもないし、集めた情報を見返しても何一つ彼女が死んだという決定的な証拠がない。いや、わたしは本能的に彼女の死を感じた。そして、それをすんなりと受け入れた。もしかして、実はどこかで生きている。もしくは死んだのではなく魂自体私と入れ替えたとかも可能性として十分にあり得るね。なんか深く考えれば怖くなってきた。
ああ~乙女ゲームのはずなのに、何で私は一人で別ゲームとして進めているの!?問題が増えていく一方じゃないか!!)
一方、
ジェネルの両親は寝室のソファーに座り、二人の表情は暗く思いつめていた。
「やはり、あの子はジェネルではないわ。今日私が名前を呼んでることに何も疑問に思わなかったのよ」
「そうだね、あの子は違う」
「二日前の占いの結果、ジェネルは自ら生を放棄しあの子を無理に呼び寄せたって出てたわね。」
「君があの子はジェネルではないと急に言い出し占いをしたいというからね。占いの内容も最初聞いた時、耳を疑ったよ」
「だって、見た目も話し方はジェネルではあるけどどうしても違和感を拭うことが出来なかったの。だから、あなたに頼んたの」
「定められた命数がすでに変化を始めている。直感でわかるの、私にはあの子の未来を占うことはできない」
それきり沈黙は続く。
「あの時…あの時占いしなければ、ジェネルに結果を何も伝えなければ…」
「自分を責めるな、これは私達二人の責任だ」
「占う際、君の意識は一時封じられることになる、占いの内容は本人が言わない限りほぼ知ることはない。」
「占った後もあの子はいつも通りだったのよ!だから何を占ったのが尋ねなかったの」
「確かに今となってあの子は何を占ったのが知ることはもうできない、でも必ずしも占いが原因ではない」
「信じたくなかった、この能力を得ることで娘の名前を呼ぶことすらできないのはずっと心痛がったけど。でも、決してこの状況で呼びたいわけではない!」
「ジェネル、ジェネル!!戻っておいて、お願いだから…」
泣き崩れるお母様をお父様は強く抱きしめる、お父様も目を閉じ涙が一筋頬から流れる。




