プロローグ 前編
「ふぁーぁ。寝みぃ。」
昼休み。いつものように、授業中から寝てた俺はそのまま机に突っ伏して寝ようとしていた。すると、
「慎吾ぉー!」
あー、うるさいのが来た。
「聞いてくれよぉ~この間さ、斉藤の奴がいきなり持ち物検査した時にスマホとられて暇なんだよぉ!」
「俺が知るか!昨日寝てなくて眠いんだ。黙って寝かせろ。」
「だからさ!お前、一昨日新しいゲーム買ったって言ってたろ?あれ、貸して欲しいなぁーって思って」
同じクラスの龍介はそう言って断りもなくそのまま隣に座って昼飯を食べ始めた。
「まーたやってるよ、龍の奴。あんないつも寝てる奴のどこが面白いんだか」
「龍介君優しいから、岡みたいな根暗に気を遣ってるだけでしょ」
「それであの態度はないよねぇ」
龍介はイケメンで運動部の部長もしてる高1C組の人気者だ。それに比べると俺は朝と授業後のHR以外はずっと寝ていて、クラスメイトから話しかけられてもスルーする、感じの悪い奴という認識を持たれている。…はずなのだが
「見てみろ慎吾!先週隣の町の女の子達と合コンした時に仲良くなってLINE交換したんだぜ!はっはっは!うらやましいか!」
こいつだけはなぜか休み時間ごとに俺をかまう。俺としては静かに寝かせて欲しいんだが…
と、そのとき
「キィィィィィィィィィィン」
いきなり高周波の音がなったと思ったら、グニャリと空気が曲がった気がした。
「なんだ、今の?」
不思議に思って顔を上げると、一瞬音が止まったような感覚の後、
「慎吾っ!上っ!」
と、龍介が叫んだのでとっさに体をバッと起こすと、蛍光灯が落ちてくるのが見えた。避けれない。当たる瞬間、咄嗟に目をつぶると、
「キィィィィィィィィィィン」
と、さっきと同じ音がして、一瞬音が止まったような感覚の後、目を開けると…
「何で急に目をつぶってんだ?ゴミでも入ったか?」
んんっ?蛍光灯が落ちてこない。
今のはなんだったのだろうと思い、さっき落ちてきた(と思った)蛍光灯を見ると留め具が外れてる。思わず体を起こすと、
「慎吾っ!上っ!」
龍介が先程と同じ口調で叫んできた。
デジャブか?混乱した頭で考えているとソレは突然起こった。|