夢遊の娯楽
なんでこれを選んだのか
わからないまま
ずっと
ずっと
抱き締めて来た
途中で見た夢なんて
最後には
何も残さずに消えてった
錆び付いた金属が
そこら中に散らばっている
一本拾って
聞こえた笑い声は
「良い思い出」なんて言葉で
片付けられていく
この間まで大切だった
あの子の夢は
両手に抱いた姿で
違う物に変わっていた
この間まで進んでいた
あの子の夢は
落ち着いた髪の色で
今は汗を流していた
達成せずに変わる
落下した夢の抜け殻
それは錆び付いていく
後悔以外の言葉を
あて字にして
慰めながら
いつまでも追いかけられないと
「良い思い出」にして行く人生
納得するしかないから
納得している人しか居ない世界だ
メディアに映る
夢を諦めなかった人は
珍しいから
みんなに知らされているのだ
夢を追いかけるって事は
珍しい存在になるって事かもしれない
珍しい存在で在り続けて
消えられたら
残る存在になるのだろう
時間は流れていく
一日は一生に例えられる
意味が有る事を作り上げては
意味が無い事を明確にする
やりたい事も
やりたくない事も
結局は同じ
やらなければならない事も
絶対やってはいけない事も
結局は同じ
表があれば裏がある事も
光があれば影がある事も
結局は同じ
全て同じ空間で
同じ物として流れていくのだ
此方側の世界と
向こう側の世界なんて
この世界には無い
北半球で冷たい空気を吸おうと
南半球で暖かい空気を吸おうと
地球上の空気だ
違いは無い
日付変更線があろうと
違いは無い
人が決めた事に
人が従っているだけだ
結局は何に帰結するのかだろう
夢の終わりを夢見ることが
僕等には重要なのだ
何かの終わりを見るだろう
それは
何かを始められる人間の
新たな娯楽になるだろう