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無口な少年の描いたセカイ  作者: 遥野 凪
プロローグ
9/26

月に独り仰ぎ、夜を転切なく

今回は汐宮裕希の家パートです

やっと1日が終わりました……


【卒業文集

6年1組 汐宮 裕希

あっという間にぼくの小学校時代は終わってしまった。

なんて格好つけたことを……と思うが言葉のとおり、ボクにとって本当にこの6年間はあっという間だった。何だかんだで、楽しかった時もある訳なんで通ってよかったと思う。

ぼくは、親の事情で何度も何度も転校をくり返したので、幼なじみという存在がいないが、ぼくには色々な学校で友達が出来たという点で得をしたと思う。

特にぼくが思い出に残ってるのは修学旅行です。

修学旅行は1泊2日でしたが本当にあれは2日間の出来事なのかと思ってしまうほどです。あんまり学校行事には乗る気が無くて、実際、修学旅行も最初は行きたくないと思っていました。行こうと思ったきっかけは、先生の一言です。

「意外と楽しいよ?」

意外と……なんてうさんくさいと思っていましたが、先生はぼくの思ってる以上に楽しい修学旅行を提供してくれました。

卒業したらクラスや学年の人と会うことは少なくなると思います。なので、どこかで会ったら仲良くしてください。

2年4ヶ月間お世話になりました。】




所詮、卒業文集というものは嘘と偽りに塗れた思い出話を書かされるもの。

恐らく多くの人は、『修学旅行楽しかった!!』とか、『2組最高!!』とか思い出に残ってることがあるから全然書けるんだろう。

もちろんそんなこと、自分にはさっぱり無いので苦戦を強いられた。




【卒業。その言葉をぼくはずっと待ち望んでいました。なのに、こんな風に文集を書いていて、ぼくはなんでこんな事してるんだろうとか思ってしまうのです。

普通なら思い出話を書くのですが、ぼくはあまり印象に残ってることはないので、他のことを書きます。知ってのとおりぼくは、友達がいません。入学した時から人付き合いがとても苦手で、上手に他の人と話せませんでした。だけど、友達がいないなんて早々言えません。なので、ぼくは母さんや父さんに友達がいるといううそをよくつきました。うそはどろぼうの始まりとか言いますが、誰かを心配させたり、不安に思われたくないから、うそをずっとつき続けました。

結果的にそれはみにくいものでしたが、間違いではなかったと思います。ただ、まともな友好関係を築けたらよかったようには今となっては少し思います。

ぼくは何度も父さんの仕事で、転校をよくしました。そして、分かったことがあります。それは、他人はあてにならないということです。転入した時、最初は優しくしてくれたり、話しかけてくれる人も結構いました。けど、それは珍しいものを見つけたような興味で接しているだけでした。次第に話す内容が無くなって、人は減っていきました。

最後に、ぼくには友達だった人はいるかも知れないが、今は分かりません。だけど、今こうして卒業出来てるならば、友達なんていなくても大丈夫だったということです。】


文集ぐらい真面目に、かつ正直にと思い書いた1回目の文集は有無を言わさずに却下された。

まぁ、1回目の文が選ばれていたとしてもその後には、同じ出来事があったのだろうけど。

たとえ、微塵も気持ちがこもっていなくともそれが彼らの……先生方の……大人達が求めるものならば。心のうちなんて無視して選ばれる。

―― 全くもって、世界はとことん不条理な様にしか出来てない。



*************



「ただいま……」

かなり空は重く暗かったのだが、結局雨は降らず帰宅できた。

そして家中はといえば驚くほど静かである。何も返事が返ってこないからもあるが、さっきの一言さえなかったかのようにしてしまう程だ。

この家で返事がある方が珍しいので気にすることでもないが。

約半日ぶりの家は、本当に自分の家かと疑ってしまう。けど、無駄に広い二階建ての一軒家の表札には【汐宮】と彫られていたし、中に入って家の持つ雰囲気、そもそも中に入れてるので家の鍵もきちんと合っている。……だから、きっと自分の家なんだろうと思う。

(ここが自分の家って証明することなんてないだろうけど……)

即座に玄関の鍵を閉め、真っ直ぐに伸びる暗い廊下を進む。すると、広い所に出る。窓から見える空は雲に覆われてなのか、日が暮れたのか分からないが、ほとんど真っ暗だ。

とりあえず、壁に備え付けられたスイッチで灯りを点ける。

灯りはLEDライトで、点けた瞬間に暗かった部屋はパッと白い光に包まれ、明るくなる。ここのスイッチをオンにすると、家中の灯りが点くのでさっきまで暗かった家は一気に眩しくなる。

「はぁ…………」

リビングのソファに適当に鞄を置いて、それからベランダに向かう。朝に干した洗濯物を取り込まなければいけないからだ。

この家、汐宮家の炊事・洗濯はほとんど自分がしている。別段、両親と喧嘩した訳でも両親が勝手に決めた訳でもない。ただ、職業的地位で1番家に居るのが自分で、いつの間にかそんな感じになった。と言うのが最もしっくりくる理由だ。

判りづらいなら、学校に毎日早く来る子が教室の鍵を取りに行くとか、眼鏡かけた子が委員長に推薦されるとかと似たような原理だと思えばいい。

誰かが言い出した訳でもないのに、自然とそうなるというよくある現象。

今となっては習慣なので違和感はないが、朝から洗濯というこの習慣は中学の頃に始めたもの。当然、それまでは母がしていたが、洗濯してるところなんて基本見ないから、やり方なんて知る由もなかった。……由はあったかも知れないが知ろうしなかったが正確か。

そう。特に自分からしようと思って始めた訳じゃない。ただ、母が3日近く帰ってこなかった時にしたのが、きっかけであり、始まり。

なので、電源の入れ方さえも理解していなかった訳であり、洗剤入れるタイミングとか、柔軟剤ってなんだ。……ってなってた。

そのことを話したにも関わらず、母は無責任なことに、じゃあこれからよろしく~♡の一言。そして、それからというもの、母はその台詞を待ってたかのように洗濯をしなくなった。

父はほとんど家にいない。母は有言実行の如くしない。兄弟も家政婦もいない。しかし、洗濯をする人いない。……という不条理な条件が並んだ結果、しないと……しなければならなくなった。

毎朝、こんな複雑な機械、使いこなせるのか……と疑問符を浮かべていたぐらい、何も分からなかったが、次第に毎朝こなしていると感覚というのが身に付いてくるもので、今となってはやり方も完璧になったし、干し方も乾きやすいように干せるようになった。

当然取り込んだ後も、誰かが畳んでくれる訳では無いので、全て1人でこなす。

そんなことを3年近く続けていればどうなるか。……大体どこの場所に誰の衣類をしまっているのか頭で分かるようになる。

畳み方も最初に比べたらかなり作業効率も上がった。……父はほとんど出張してるから基本的には母と自分の洗濯物しかないけど。

そして、今日もいつも通り黙々と洗濯物を取りこみ、一気に畳む。自分の服は制服がメインでシワにならないように伸ばして、シンメトリーになるように畳む。

「……母に頼んだらこうはならない」

さっきも言ったが、母は洗濯を任せる程の人だ。……本人曰く、私は家事が基本的に苦手なの~♡とのこと。

……だが、恐らくこれには語弊がある。それを無くすとすれば。

母は家事が根本的に大嫌いで、かつ、極度のめんどくさがり人間だ。父がほとんどいないことをいいことに、それは露見させられた。

洗濯以来、自力で何でもしようと思ったのだ。……もしかしたら、母の策略かもしれないが。

今は、どっちが親なのかさえ分からないぐらいの立ち位置で、毎日何かと自分の名前をやたら呼んでくる。大体が、あれやって~、これやって~といったような雑用だが。

最初のうちは親だからとこなしていたが、最近はそれを無視する。……はっきり言って、母に親の威厳が感じられず、構ってると無性にイライラするから。いや、構わなくても腹立たしいけど。

いつの間にか山ほどあった洗濯物はあっという間に片付いていた。

「洗濯物、完了……と」

窓を少し開け、暗めのワインレッドのカーテンで覆う。因みにこの色も母の趣味である。

その足で、キッチンへ向かい、自分の分だけの料理を用意する。

素早く米を研ぎ、急ぎモードで炊く。米だって最初は洗剤で洗うのかとか、米粒を馬鹿みたいに流したものだ。

そのまま冷蔵庫を開け、頭の中で残ってる食材で何が作れるかを計算する。

「明日、買い物しないと……」

(今あるのが、朝に作ったおひたしと、この前買ってきた、きゅうりの古漬け。あとは……軽く作るか)

多少は自分で料理が作れるようになり、一応は栄養の偏る食生活を送ってはいない。だが、これを母に一任すれば跡形も無く崩れ去りかねない。……母は料理のレパートリーが極端に少ない。ただ焼くだけ、ただ煮るだけの料理を好む母にとって、手間がかかる料理は眼中にさえ存在しない。

そんな人に任せていたら毎日、大型ショピングモールの惣菜か、コンビニの惣菜か、即席物になりかねない。

「ご飯と炊けるまでに作れる物、作ろうと……」









「……ごちそうさまでした」

結局は、食材が少なくてちょっと簡素化した八宝菜になったが、とろみが結構上手く作れたので思ったより美味しく仕上がった。

食べた後は、すぐにキッチンに行き、洗い物を手早く済ます。どれだけ綺麗に食べ終えても、そのまま洗わず残しておけばあっという間に、菌が繁殖する。そして、汚れが取れにくくなってしまう。……皿だけではなく、調理に使ったフライパンももちろん洗い済みである。

ようやく一段落ついたので、制服の上着とネクタイを外す。

「んー………」

着替えようかと思ったが自分の部屋に行くのが億劫になり、そのままリビングのソファに座る。

よくここで母が寝ているが、それが頷ける程のフカフカ感である。帰宅してほぼすぐに投げ出した鞄から教科書とノートを取り出し、続けてファイルと筆箱を取り出す。そして、スマートフォンを出し、条件反射のように電源ボタンを押す。時刻と日付、それから2つのポップアップが表示される。

【3件のメール 母 iliy9hsi_cttp……】

【LINE 新着メッセージがあります 19】

「iliy9hsi_cttp…………?」

パスワードを解除してメールから開く。どうせ、LINEはクラスの人が騒いでるだけだろうし、既読付けるだけの作業だ。

(どうせ、母のメールは……)

多少呆れ気味で開封する。そこにはいつもの6文字と大嫌いな記号がある。

【今日もお願い♡】

このメールを見て、他の人がなんと言うか……それぐらい分かる。そして、このメールをこの機械を持って少なくとも100回以上見た自分も同じことを言う。

「…………何が」

メールには返事せずに、左手でスマホを握りしめたまま、ソファにもたれかかり、全体重を預ける。そのまま反りながらなんとも言えない感情を抱きながら、顔だけを起こす。

「はぁ…………」

机に揃えられたリモコンの1つを空いた右手で取り、正面の真っ黒な画面に命令する。

静かな空間に、段々と画面の向こうのざわめきが入ってくる。たまたまつけたチャンネルでは、何人かの大人がパネルを出してはプレゼンしてるような番組。番組表で、内容を見ようとすると、司会者らしきタレントが映る。

『いやぁ~今の若者は大変なんですね』

偉そうに腰に手を当てながらも、顔からは全く同情の欠片も感じられなかった。

『今は、何かとSNSで完結されちゃってますからねぇ……』

『僕らの時代では想像出来ないですよ』

『まぁ、少子超高齢社会に成りゆく訳ですから頑張って頂くしかないんですけど』

画面の中で誰か分からない人が適当に言い合ってる。きっと、偉い人なのかジャーナリストなのか、政治家なのか評論家なのかだろうけど全く興味が無かった。ただ……

『でも、今まで大丈夫だったんできっと大丈夫でしょう!!』

『またまた~。まぁ、どうなろうと僕らには関係ないんですけど』

母のメールの後だったからかもしれないし、会話の内容からなのかもしれない。……ただ、普段抑えてる感情が出てくる。

『それ言ったら、支離滅裂じゃないっすかぁ~』

『そういうのが駄目なんですよ。』

『えーと……』

『あのですね。所詮は、苦労しなきゃいけないんですよ。最近の若者は、仕事をすぐ辞めるじゃないですか?そういうのってやっぱりダメだと思うんですよ。』

「……辞める原因があるから辞めるんだろ」

画面の向こうと会話出来ないなんてずっと昔に知っているのに、気が付いたら声に出していた。

『上司はきちんと仕事を与えてあげているのに、若者はそれを感謝せずにこなしていないだけでしょう?普通にこなせば出来る量を与えてるはずなんですから』

『それは、企業ごとに目標が違いますから……』

『自分がその企業を選んで、喜んで入ってるのに文句を言う方がおかしいんですよ』

たかがテレビなのに、凄く腹立たしい。いきなり話し出した男の手元には、羽谷重工経営取締役 宇田川 仁と書かれてある

(羽谷重工って、結構有名な企業だっけ……)

『宇田川さん、ちょっと……』

『あと最近は、何かと親が悪いってよく言いますけどね、それは無いと思いますよ?間違ったことをしてる子供を矯正してるなんて当たり前の行為じゃないですか。これのどこが間違ってるんですか?』

『それと虐待はまたべ……』

『親の育て方に文句を言ったりする方がおかしいんですよ。子供は黙って従えばいいんですよ。それなのに何故ああやって抗おうとす……』

プツンと音が無くなり、また静寂が戻ってくる……。

『従えばいいんですよ』

さっきの声が頭で響く。

「うるさい……お前に何が判るんだよ…………」

真っ黒な画面には自分しか映ってない。だけど、こうやって言ってないと鼻の奥がツンとするのだ。

夜は……静かだ。だけど、どことなく孤独だ。

まるで世界から自分1人が切り離されたような、そんな感じ。だけど、その感覚が心地よかった。

そして、この家も孤独だ。自分以外誰もいない。ならば……愚痴だろうと毒を吐いても何も言われない。

静かに口を開いて、声を発する。心の胡散を晴らす為に。そうでもしないとさっきの言葉が脳で響き続ける。精神なんて安定出来ないと言っても過言ではない。

誰かに言い聞かす訳じゃない……ただ、ちゃんと思ってる事を吐き出してるだけ。静かに。しかし、一言一言を大切に吐き捨てる。

「親とか大人とか……本当に何考えてるんだ。親の育て方に文句を言うな?……大体、自分の子供ぐらいちゃんと育てようって意識は無いのか。虐待とか色々して……無力な人間は抗う事さえ許されないってのに、それを良いように利用して…………それでも間違ってないなんて言えるのか?」

さっきの男は大人は間違ってないみたいに言ってた。それが、まだ子供な自分を憤怒させた。憤怒という言葉があってるのか分からないけど……だけど、怒ってる。激怒とかには比にならない程。

「ここの奴も……朝に散々、貴方は凄いわとか立派。的な事言ってたけど、それはあくまで結果の話であって、それも親のステータス。結局はそればっか。何も見えてない。」

母からのメールは何かと短く、そして語尾に記号……主にハートだが……を使う。自分を体のいい、召使いか何かと勘違いしてるんじゃないかと思う。

幼い頃はそんな気にしなかったけど、何も思わなかった。……ただ、あの1件以来、何かが壊れ、崩れ、消えた。

他人が求めるのは綺麗だったり、完璧だったり、才能だったり…………そんなレールの上を人間は歩かされ、優秀な人間は表舞台に立てる。逆に言えば、劣等な人間は一生…………。

「少なくとも、誰もがお前らの為なんかに頑張ってるんじゃない……」

自分の未来は切り拓こうと頑張ってる人も多い。現に若くして、天才と言われ、プロになってる中学生や高校生なんてざらにいる。だが、そんな現実と相対するように、頑張っても頑張っても認められない人間もいる。しょうがないと言えばしょうがないのかもしれないって思うけど、どうにか出来ないのかと歯痒くなる。

そうやって頑張ってる人には絶対に、傍で支えてくれる人が必要だと思う。それが友人か恋人か家族かなんて関係ない。その人の頑張るはかりになるものがあればきっと、いつかは報われるって思いたい。…………だけど、中にははなから見放したり、手放したりする人がいる。

その偶像に………………どうしても母が重なってしまう。

まだ15歳で、子供なのは分かってる。いや、分かってるつもりなだけかも知れない。本当は自分が思うより、子供なのかも知れない。本当は自分が思ってるより、大人は偉大なのかも知れない。……だけど。

「認めたくない。何かと、偉そうな大人を。何も分かってないような顔してる連中を。……母は、父の前でいつも自慢げにメールとか通話してる……けど、ろくに家事をしない。何をして、そんな事を言ってる訳なんだ。何でもかんでも全て、自分の手柄……そんな事認めない」

男のことはまだ覚えてるけど、大分落ち着いてきた。が、久々に心の声を発したからなのか、話しすぎたからなのか咳がしばらく止まらなかった。

(多少は会話しないと、そのうち会話さえもままならなくなるかも知れないな……)

あくまで会話をしてない訳ではないけど。と、思いながらソファから立ち上がる。咳がまだ出るがなんとか声は出るようになった。

「…………そういえば」

LINEとメールが届いていた。電源ボタンを押すと、再びポップアップが表示されている

【2件のメール iliy9hsi_cttp@s……】

【LINE 新着メッセージがあります 26】

(LINE増えてる……)

ポップアップのうち、LINEをタッチ。パスワード素早く入力し、LINE用のパスコードも馴染みの数字を打ちこむ。

案の定、クラスのグループが騒がしく、開くと今日 課題あった〜?というやり取りが交わされている。

(今日は、英語の本文写しと漢字プリントだけ……)

しかし、分かっていても絶対にLINEは送らない。そもそも、入った理由も委員長らしい人に今はSNSで繋がるものだ!!とか言って、その場でクラス全員にLINEを開かせ、一気に追加、グループ作成、招待をしたのだ。

(入らなくてもよかったけどあとがめんどくさそうだから入ったんだっけ)

グループに既読を付けると、残りの通知は1件になった。その人は、図書館で会った真名 カンビレード・マースさんからだった

【放課後はすみません…………良ければ明日も来て下さると幸いです】

随分、丁寧な文章だったので本当に人間違いじゃないかと思ってしまうが、直接会ってたのだから間違いは無いだろう……多分。とりあえず、明日も別件で行くことになるとだけ伝えておいた。

(後は……)

LINEを閉じ、そのままメールを開く。さっき、母のメールを開いたままだったのでそれを閉じ、見知らぬメアドのメールを開く。

【は じ め ま し て 少年】

【月 が 見 え な い 今 宵 。 空 を 仰 げ ば 見 え ゆ る も の 】

メールの真意を確かめるべく、スマホを握ったままベランダに出る。すると、部屋よりも風を強く受けた。

冷たいのに、浴びると他の時間の風に比べると特別に感じる。そして、夜はどこか孤独だ。……夜風には1人はぴったりだ。

メールに書かれた通りに、空を仰ぐ。もしかしたら何かが起きるかも知れないと少し期待したが、相変わらず、暗く重い雲しか映らない天頂だった。

(どういう事だよ…………)

何かあるかと思い、スマホを見ると同じメアドからメールが届いていた。

【明日 、 教室 で 、 君 を 待つ 】

…………どうやら、厄介なことに巻き込まれるみたいだ。

ただ、それが少し楽しみに感じた。




また、新キャラの予感です。

因みにメアドも会社名も創作です

似たようなものを使わないようにはしてます


序章は、翌日になれば終わるかな……

(序章、結構長いな まとめるかもしれないです)

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