表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無口な少年の描いたセカイ  作者: 遥野 凪
プロローグ
6/26

招かれざる者と、招く変人

汐宮は走ってます。

繰り返します、この話の中ではほとんど汐宮は走ってます。


ついに、メインヒロイン(仮)が出ます。


そろそろ序章が終わるのではないかと…思います

ほんのりとLEDライトで照らされる部屋に人影が1つ。部屋というにはとても広いが、間違いではないと思う。そして、場にいる当の本人はと言えば……。

「衣ヶ丘大学 と」

のんきに自分のスマホで調べ物をしている始末。国立だからなのかは分からないが、この学校は設備が変に整っている。いや、整いすぎている。

何せ、学校だというのにWi-Fiが飛んでるのだから。しかも、携帯会社関係なく使えるという品物……流石というのかなんというのか。当然検索までの時間は秒である。

「快適快適~!!」

もちろん、この設備使わないなんて選択肢はない。使う一択。むしろ、使わないなんて有り得ない!!

という訳で、当人もその利用者の1人である。お陰で、速度制限とは縁のない日々を過ごしている。

——サクサク検索できるなんて素晴らしいシステムに感謝しかない!!Wi-Fi最高!!ありがとう、Wi-Fi!!ありがとう、衣ヶ丘!!ありがとう、自分✩

私は私に対して馬鹿みたいに賛美歌を(うた)っている。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



教室を出てから、ずっと走り続けていた。正確には何かから逃げ出す。時間だけが流れていく世界の中で、自分の上履きの音だけが存在する。

「はぁ、……はぁ、………はぁ」

普通の学校ならもう校舎の端に着いてそうだけど全然着かない。着く気配すらない。やはり大学付属高等部というのが関係してるのだろうか。

……いや、ただ担に国立ということで敷地が比べ物にならないだけかもしれない。

(少し……休もう。……疲れた)

絶え絶えに息を切らしている。

静かな空間でただ自分の呼吸音だけが響く。さっきまでは上履きの音も響いていたが。息を整えるために、走ることを少し放棄し、ゆっくりとした歩みに変えた。

(ここは……)

こうして1人で廊下にいるのは、担任と話している時に嫌な過去を思い出してしまったからだ。そして、そそくさに教室を出て行き……今に至る。

(元は……のせい。……なのに)

いつまで経っても、過去からは解放してくれないのかと思うと正直、茫然自失だ。……元々、よく父の出張で家族で引越しすることも多かったから同じ中学の人なんてほとんどいないけど、いるかもしれないから念には念を。

そのために折角、こうして国立大学付属高等部に入学した。知り合いの誰とも被らないように推薦や受験して、この学校に。しかしながら、他人と、それも担任と関わってこうなるのだから、重症もいい所だ。

……とにかく他人と合わせる顔が分からなくなって、逃げるように教室を出て、階段を駆け降りて、この途切れを知らないような渡り廊下を駆け続けていた。

ダメだ……さっきから同じことしか考えてない。落ち着こう。その場で立ち止まり何も考えずに、ただ深呼吸した。すると、ほんの少しだけ心に余裕が出来た。

(そういえば、何時だろ……)

暫くの間、アイボリー色この廊下しか目にしていなかったし、広がる情景に変化もなくあまりに見飽きてしまったので、1時間近く走ったと思っていた……が右腕に付けた腕時計を見ると20分ぐらいしか過ぎていなかった。

(20分走って……たのか……)

人によっては短いかもしれないが、あくまで自分にとっては、長い方だ。そんなに長い時間走るのも久々だったから、息が切れたのかもしれない。そんなことをぼんやりと考えていた。大分、教室で覆われた過去は払えたっぽい。

……それにしてもずっと真っ直ぐ走っていたのに、階段を降りてからは先生とも会っていない。誰も残ってないみたいに静かで少し気味が悪い。

窓には、前見た時よりも暗い空模様が映っている。じきに雨が降るかもしれないし、既に雨が降ってるのかもしれない。

走ったおかげなのか、こんな風に他のことを考えたおかげなのか、教室の時よりかは幾分も落ち着いてきた。

だけど、まだ帰ろうとは思えなかった……。

(どうしよう……)

その時、不意に丸1日使ったガイダンスを思い出した。


そのガイダンスが行われたのは、入学式の翌日だった。そのこともあって、今でも鮮明に覚えてる。 ガイダンス当日も、多くの人が目を輝かせて聞いていた。知らないことを聞いたり教わる時は楽しいものだから。ただ、あくまで最初だけだったけど。段々、脱落者……ここでは寝てる人……は多発で、終盤には起きてる人の方が少なかったぐらいだ。

それもそのはず……。

「今日は僕の話を聞いてくれてサンキューね!!」

まず、入りからウザかった。新入生の純真な気持ちをよくも開始30秒で失くせたものだ。ある意味、尊敬である。もちろん、反面教師の意味合いを込めてだが。

「じゃあ、64ページ開いてもらっていいかな!? 」

どこか聞き覚えがある台詞……も気にはなるが今はそれよりも、このぶ厚めの紙冊子。休憩時間にページ数を数えてみたら……なんと248ページに及んだ。それも、1人1人に。後日、小耳に挟んだ話によると、スライド説明だけでは不足部分も浮き彫りになると思った担任団からの計らい、気遣いだった……らしい。

これが終われば捨てる生徒は少なくともいるだろうに。一体、作成にどれだけの労力と時間と経費をかけたのか……知らない方がいいと思う。 そもそも、生徒にはそれを知る由も知る術もない。とにかく、そこもある意味、尊敬である。今回は懺悔物としてであるが。

「僕はこうは思わないんだ……いや、こう考えるのも確かに悪くは無いんだ

が……」

そして、学年主任が永遠に1人語りしてるようなもの。多分、これが1番の原因であり、反省点であり、改善点だろう。見た目だけだが、学年主任は50半ばぐらい。先生歴は恐らく、この学年団で最年長であろう。そんな人がサンキューね!!とか、いいかな✩なんて言っていたらどう思うだろう。

……間違いなくドン引きだ。まだ、これが美人か好青年なら結果は違ったかもしれない。見た目が全てじゃないというが、そんなこと有り得ない。それか、クリアボイスか。

悲しいかな、学年主任の声は容姿からイメージできるような、年齢相応の声だった。所詮は、視覚と聴覚が支配するのだ。つまり、このおじさん……失敬、学年主任には勝ち目がなかったのだ。いや、別に誰かと勝負してるのではないけど。

しかも、内容は簡潔にいえば学校説明が9割を占めている。残りの1割はフリートークだったらしいが、聞いてる人なんていたのだろうか……というレベルの品物。それなのにテンションは前記の通りなのだ。自分も含め多くの人は、ギャップ萌えならぬギャップ疲れした。

以上……本当はもっとあるけどこれ以上は省略……の要因があったにも関わらず脱落者続出のガイダンスは避けて通ることは新入生は出来なかった。 何せ、必須のものらしい。それも卒業式級の。……そんな訳で、休めない。強制執行され、今年度入学した426名を真ん中の棟の……確か、黄央棟(きおうとう)というらしい……5階にある特別講義室に収容された。

どうも毎年そんな感じなのだから、このガイダンスに対しての学校側の熱意が凄い。まぁ、それでも4時間ほぼぶっ通しで座らせて、話を聞かせるなんて考えはおかしいと思うが。

自分自身も学校に興味があったわけでも、学年主任を敬愛しているわけでもなかったが、学校のことを理解しておいた方がいいと思ったので、一応4時間きちんと聞いていた。聞かなければ話が可哀想だし。もちろん、内容なんて殆ど覚えてないけど。

ただ1ヶ所だけきちんと聞いていた。それは……校舎についてだ。

「この学校は五つの棟があって――」


(そういえば、確か……)

あの時の退屈なガイダンスを思い出して、とある目的地に向かってまた走り出した。静まり返った廊下に再び、自分の上履きの音だけが響き始めた。ただ、さっきと違うことが2点ある。行き先があることと、少し気が楽ということだ。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「やっぱりヒット数も凄いなぁ……」

画面にはいくつかのサイトが表示されている。どうせ時間はたっぷりあるので、適当に1番上のサイトをクリックする。サイト名は……【リッタン調査団】

「なんか胡散臭いなぁ」

間違いなく、柳条湖(りゅうじょうこ)事件の時に派遣された調査団の名前からパクったんだろうな。確か、私が中学の時に歴史に習った。合ってるかは分からないけど。

表示されたホーム画面は、シンプルな白背景にピンクの字で、【ユーザーの皆さん✩調査団長のリッタンです♡あはん】と表示されている。

「あはんって……はぁ」

思わずため息が出てしまう。始まりからなんだか如何わしい雰囲気が漂っている。大丈夫なの、このサイト?

しかし、規制はされてないみたいだし、とりあえず読み進めるため、下に指でスクロールしてみる。

【高校生の皆さん✩大学進学は殆ど義務付けられていますよね?リッタン自身も一応、大学進学した身なのですが……情けない話、その時にきちんと調べなかったことを更々後悔しております――】

意外と真面目なんだ、この人。てっきりずっと最初みたいに、あはんとかを連呼してるのかと思っていた。

「偏見はダメだよね、うん」

自己反省と。更に下にスクロールするとまだ少なめだけれど、いくつかの大学名が並んでいる。【皐月大学】、【柏原大学】、【横手大学】……その中で一番下にNEW!!→という赤字と一緒に【衣ヶ丘大学】と書いてあった。大学名の横の更新日はつい2日前なのでどうやって仕入れたているのか気になる。そんなことよりは記事が大事なんだけどね。

「えーと……?」

【国立衣ヶ丘大学……ここは設立されてまだ8年目ということもあって、校舎内も外も綺麗でリッタンは驚いた。何より設置理由が、将来有望と期待される、未来の貢献者育成という学校だ。なので、勉学面だけでなく芸術や、スポーツ等で推薦された生徒も少なからずいるようで……】

基本的にはホームページから引用した雰囲気だ。一般人のまとめサイトみたいなものだからしょうがないかなぁ。そう思いつつも、下スクロールし続ける。

【いやぁ……才能があれば、リッタンも入学できたのかなぁ?……なーんて思ったけど、無理っぽかったよぉ。もう溢れ出るエリート感?凄かったです……】

少し皮肉めいた感じの自身の意見や自虐も、時折織り交ぜていたので、読んでいてとても面白かった。

【金持ちっぽそうな人が多かったような気がしました。やっぱ世界は違うね……流石、国立大学ですよね!!】

国立……その響きがあるだけで格段もグレードアップする。その分、庶民がそんな所に通ってるなんて思えなくなる。こういう所にはお嬢様とか御曹司とかが通って、そこでキャッキャッウフフしてる……みたいな感じかな?

「そういう設定、よくあるよねぇ……」

スクロールが出来なくなり私は近くのテーブルの上にスマホを放り投げる。なんとか、机の上の置き物で着地していたが、スマホに魂があれば激怒されているかも。まぁ、そんなこと私には全く興味もないけど。

「お嬢様とか御曹司とか……ねぇ」

しかし、果たして何人がそんなお嬢様や御曹司いるのかな?

私はといえば、さっきまでスマホで検索をして、フカフカの1人掛けソファでダランとしているような、一般的な庶民。上流階級者はどんな過ごし方を最高というのかは分からない。

少なくとも、私からすればなんて最高な放課後の過ごし方。

「至福の時間♡」

特にここ……衣ヶ丘大学白虎棟、別名『図書棟』はほとんど人が来ない。いわゆる学校に必ずある図書室だけど、3階建てになっているので、蔵書数は計り知れない……。もしかしたら、近所の図書館には勝ってるかもしれない。

しかしながら、現代の活字離れは今なお進行中なのか、利用者は少ないのが現状。

だから、図書棟の主がまるで自宅のように図書室でネットサーフィンに惚けていたとしても、スマホを投げたとしても、何も咎められはしない。

……もっとも、今日は閉館日なので、勝手に開けて、入っているなんて先生にバレたらめんどくさいことになるオチなのだけれど。

「ま、先生も来ないでしょ」

私はのんきに1人掛けソファで堕落しきっている。 こう見えて、図書委員長なのだからそれも驚きの事実よね。こんな奴でも出来るなんて随分、なんとか長っていうのは、名ばかりっぽいね。頑張れば生徒会長目指せたんじゃないか。とか思ってみたり、みなかったり。

もし、この光景を他の人から見れば、きっと憤怒する。しかし、誰も来ない。

もし、珍しく来客者が来たとして、この態度を見ても怒らないほど温厚か放置プレイしたとしても、さっき私に投げられたスマホの画面がある。

……そこの人、ちょっと考えてみて?自分の通っているor通っていた学校のことを調べたり、記事を読んだりする?……恐らく普通しないでしょ?まぁ、きっとスマホを見かけて、何やってるの。とか言うんでしょ?普通はそうするよ

だから、こうやって調べていることは少し変わってると思われるかも知れない。いや、少しではなくかなりかも。もっとも、いつも変わったことを好む私にとって、これぐらい日常茶飯事なんだけどね。 もっとも私は変わったことを好んでるわけじゃない。他人が私を見ていつも変わったことしてるよねーとか好きなの?とか言ってくるから私の行動は変わってるんだろうなって思うだけ。

「別に変わったことをしてる訳じゃないんだけど」

あ、また。……誰にともなく私は喋ってしまう。これは癖の1つみたいなもので、思ったことがたまに口に出てしまうことがあるみたい。

無意識の内に言葉に出ているので変なことを言っていないかいつも不安になる。無くて七癖とか言うけど、こんな厄介な癖があるなら7つもいらない。この1つで十分。あと7つもあったら何も出来なくなりそうだもの。

ソファから重い体を持ち上げて、放り投げたスマホを回収。いつもの定位置であるブレザーのポケットに突っ込む。さて……何しようかな。

「暇、……これは暇だぁ!!」

暇と叫んでも何も変わらないことは知ってる。そこまで馬鹿じゃないもの。

だけど、今日という今日はとてつもなく退屈だ。多分、私が毎日こまめに日記をつけてるような人間ならば、【〇月×日、今日は暇すぎて草生えるぅww】とか書くぐらい。まぁ、日記なんてめんどくさいことしてないけど。そもそも、さっきも言ったけど、元からこの図書棟には人の出入りは少ない。おまけに、今年度に入ってからちっとも客が来ない。

……まだ開館日が来てないから当たり前なんだけど。

「んー何しようかなぁ……」

近くのテーブルには何冊かの本が積まれている。これは、数少ない利用者や先生がリクエストした本たちだ。中にはつい先日出版されたばかりの新刊も混じっているので、よほどの本の通がいるらしい。ぜひとも、会ってお話がしてみたい!!なんて淡い期待を持っている。出来れば、黒髪の色白の文学少年辺りだと嬉しいが。まぁ、探す気になれば探せるけど。

本といっても単行本に文庫本、もちろん、少し縦長な手帳本もあってサイズはバラバラ。中身は、エッセイやミステリー、SFなどジャンルもバラバラ。私はその本を1冊ずつパラパラとめくり始める。乱丁とか中に挟まってる新刊のお知らせを抜いたり……本当は先生がするけど今日は暇だからやることにする。一応、図書委員長だし。

「こう見えて本、好きだしね♪」

結構、ペースも気分も乗ってきて手が素早く動く。今なら、光さえ越せるかもしれない。なんて馬鹿な思考もあった。

積まれた本の仕分けが結構済んだので、 隣の司書室からリクエスト表を持ってきてチェックしようと思った。折角だし、この際済ましちゃおうと。 しかし、ここにきて動くのがめんどくさくなった。多分、2つ目の癖なんだろうな……本当に不便な癖持っちゃったなぁ。1回こう思ったらもう出来ない。出来なくなる。やる気スイッチオフ。

結局、本は仕分けしたものとしてないもので分けて置くだけになった。少しは楽になったハズ。続きは……任せよう。さて……。

「今度こそ、暇だなぁ……」

まぁ、目の前に仕事があるなんて誰も言わない……うん誰も来ない。誰も……。

「あー!!今日も誰も来ないの……つまんないなぁ」

ついでに今日は春先なのに夕焼けさえ見えない……なんて不憫な日なのよ。まぁ、天気予報士さんが今日は折りたたみの準備を……とかなんとか言ってたから、天気はよくないのは知ってたけど。

「本はいいのに……楽しいし、頭良さそうに見えるし……一応は、為になるし」

今なら素敵な歌を作詞作曲して歌えそうなのに、誰も反応しない。全くつまらない!!

いや、この状況で誰か反応しても怖いかも。……と、とりあえず、ワンマンライブは遠慮する。さて、時間潰しのために何をしよう。

「久々にでも部活に行こうかなぁ♪」

でも、今更行ってもなぁ……なんか言われるオチ。私は豆腐メンタルなのに。いや、それよりも酷い有り様のものが確かスマホに……ポケットから取り出し、急いでLINEを開く。いくつかの通知があるが、部活のグループLINEを開く。

「うわぁ……」

【今週休みます☆ よろよろりーん♡】

こんなふざけた文を部活のグループLINEに送ってしまっている。これは取り返しがつかないし、顔合わせ出来ない……。

「馬鹿、私!!」

こんなの部活サボります宣言じゃない……はぁ、完全に宣戦布告しちゃってる。これはどうしようもできない。1週間謹慎しておこう。

さて、本格的にやることなくなったし、どうしようかなぁ……うわ、こんな暗い空、これは降るな。……いや、待てよ?

「水も滴るいい……」

言いかけたが……うん、風邪引くオチにしかならない未来が見えたぞ。やめておこう。わざと風邪引く程、馬鹿じゃない。というか……。

「馬鹿なら風邪引かないし!!」

あ、また……もう、不便なものだ。一番の救いは、ここが防音性質を持っていること。だから、私の声が外に聞こえてない。困る時もあるけど、忍び入ってもバレにくいので助かる。本当は遮光カーテンとかも欲しいけど、それは無理だろう。

……というか、空が結構やばい。このまま待機してたらいつの間にか止む……いや、止まなくて土砂降りの中帰るのも嫌だなぁ。

「…もう帰ろうっと」

ソファの横に乱雑に置かれたリュックサックを手に取り、肩にかける。LEDライトを消す。少しでも切れてないところがあるとすぐにバレてしまう。

私はいつも通り、手慣れた手つきで出入口の扉に手を伸ばした。

しかし、扉に私の手は触れていないのに導かれるかのように開かれた。ついに、私にも超能力ひらけごまが……はい、ありませんよね知ってました。

開かれた扉の向こうには渡り廊下のみ。いや、1人の……少年が目の前にいる。

「誰、君?」

警戒心MAXの私はそんな言葉を無機質な声でぶつけて見る。さっきまでのキャラで話しかけたら完全にアウトになりかねないからね。

「……」

しかし、返ってきたのは沈黙だけであった。どうやら相手も警戒してるらしい。ここではぁーい!!とか返ってきても困るし妥当な判断よね。

……待てよ、私。警戒していたからちゃんと相手を見てなかったけど、よく見たら顔立ちが幼い。もしかして……1年生か?こんな図書棟に1人で?珍しいにも程がある。

いや、それより以前に……なんだろうこの胸のときめきは。少し前髪にかかる黒髪、光さえも通さないような漆黒の瞳、左頬にある黒子(ほくろ)、そして、細めのフレームの黒縁眼鏡……この方は間違いなく……

「……黒縁眼鏡キター!!!!!!!!」

……文学少年だ!!

あれ?なんかミスった気がする。まさかとは思ったけど、そんなことないよね?……多分。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(黒縁眼鏡きたー……って、それ挨拶なのか)

……なんでこんな風に周りには変な人しかいないんだろう。そして、会う人も変な人しかいないのか。

心で自分を呪った。








今回の話、ボリュームあったと思う人も多いと思います……執筆していて、いつもの3~4倍近く書いてしまいました……。


一応は、出会えてよかったです。

さて、出会ったけど印象は……もう極端ですよね。


「このときめきは……!!」

(私ちゃんは馬鹿です。名前は次回までお待ちください)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ