翳りし心の主、求めるは静域
中々展開が遅くて本当にすみません…
前回まで読んでる方は分かってますが毎月2日ずつ遅れてます…
この話をざっくり説明すると…
汐宮は入学から1人…ま、俗に言うぼっちを極めていたら担任に何を目指しているのか?と聞かれたのが以前までの話ですね…
ざっくりしすぎって? これぐらいが丁度いいかと…
担任は何を言ってるんだろうか。 ついに頭でも打ったのかと思った。大の大人が何をゲームやアニメなどのキャラを引用するのだ。と
「分からないんだ…お前が何を目指してるか…」
担任との付き合いなんてたかが知れてる。増して、まだ高校1年の1学期。そして、まだ4月も上旬。4月下旬には校外研修という名の遠足などが設けられ、6月上旬には体育祭が待っている。同じことの繰り返し。それが3年間あると思うとうんざりしてしまいそうだ。
「おい、汐宮…」
そう言えば、担任から何か言われてたっけ…ふと気付かされ、笑顔を見せる
「何って…元からの性格です」
最近では、普段ほとんど笑わなくなったからなのか、久々に笑うと頬のあたりが痛む。より自然に演じ、より好青年を見せる。そうすれば、少しぐらいは抱いた印象が変わると思ったからだ。印象は中々消えない…そして、変わりにくい。
「昔から他人と関わるの、下手だし、苦手なんで 」
わざと周りから距離を取ったのも、生まれつきの性格のせいにしてしまえば楽だ。元来からならば直しようがない…そうすれば、納得するはずだ。変に干渉されるよりは自分からオープンした方がいいと思った。
「性格ね……一匹狼でもなりたいのか?」
しかし、担任にはうまく伝わらなかった。なんで、こんな人が先生になんてなれるんだろう…こんな風に感じたのはいつぶりだろう……もどかしくなりやるせない気持ちでいっぱいになっていく。
いつからか、1人になっていた。いや、いつも1人だったと言うべきなのかもしれない。例の1件…自分は【汐宮が消失された名簿事件】と呼んでいるが、その一件があってからもずっと学校に行ったけど、誰1人として話しかけようとしなかった。最初は慣れてないからしょうがないと思ってたけど、ついに夏休みに入るまでに友達は出来なかった。僕はまだ純粋で、みんなが帰るまで残って先生に聞いてみた。
「ね、先生 なんでみんな僕に話しかけないの?」
すると、先生は微かに笑いながら答えた。
「それは、みんな恥ずかしがってるからだよ」
みんなは僕以外には話しかけているしとても楽しそうだった。だから、疑問は増えた。
「じゃあ、なんで恥ずかしがるの?」
先生は少しめんどくさそうに答える
「どう話せばいいか分からないからだよ」
そんなの昨日テレビで何見た?とかそんなんでいいじゃないか…僕はそこからなんとも言えない気持ちが入り混じっていた。なんで仲良くなれないのか…僕は知りたかったのはそれだけだった。
「なんで分からないの?なんで仲良くなれないの?」
僕は少しガツガツ行き過ぎたのかもしれない…だけど、先生だって悪くは無いわけじゃない…なのに先生は、佐々木先生は…あいつは…
「汐宮―」
幼かった僕に向かって理解もできないような言葉を吐き捨てた。何を言われたのか……少なくとも人に向かっていうような言葉じゃなかった。
「ねぇ、眼鏡クン 」
目の前には屈託の笑顔を浮かべる少年がいる。 しかし、それが偽りなんて知ってる人はいない。
「久しぶりだね~☆」
「………。」
黙って睨み返す。口答えをすればどうなるかなんて馬鹿でもわかる。不憫なことにこの少年は社会的にも優位な御曹司さんなのだ。
「やだなぁ… そんな怖い顔しないでよー?」
フラットに返してくる。まだ笑顔を崩さずにいるが見る人が見ればすぐに分かるぐらい薄っぺらい微笑である。反応がつまらなかったのか次第に顔を歪め、舌打ちをしてくる。当然、そんなことするのは2人だけになった時だ。
「眼鏡クン…いや お前、なんでいんの?」
茶髪の少年はまるでこちらを醜いものを見るような目だ。
「……。」
つまらなそうに動き、窓際でわざとらしく考えてるフリをする。
「あぁ~キミ、入学できたんだ。確か頭だけは良かったしね☆」
分かったように振り返ってこんなことばかり。2回目の目はニヤリとしてる。刹那的に誰だと思った。しかし、ひとの記憶は時に不便で、嫌なことに関しては消したいと思うほど消せない。
「……相島」
「なーんか言いましたかぁ?」
コイツのことは嫌なほど覚えてるし、思い知らされている。自分を世界の中心と考えて事あるごとに周りの人を振り回す。小皇帝という言葉が存在するがある意味コイツに作られたと言っても過言ではない。
「名前を、言ったんだ」
自己嫌悪になりそうな頭の悪い男… なんでこんな奴が偉そうにしてるんだろってつくづく思う。きっと権力だの経済力だのが甘々にしてるんだって分かってるんだけど、その理不尽さが気持ち悪い。
「ねー眼鏡クン? キミ、封建制度って知ってる? いや、知らない訳ないよね☆ 頭いいもんね…頭だけね!!」
頭の悪い人は大体覚えている言葉を使いたくなるものだ。そして、自分は偉い、優れていると実感する…なんとも醜い行動である。
「僕は冴えないキミのご主人様?正味、 分かってるよね??」
偉そうに口を動かす。なんでこんな人が他人から支持されるのか全く分からない。もしかしたら、他人を動かす代表者とは実は外面だけなのかもしれない。 中身は空っぽ。コイツだってその1人なんだろう。金があったとしてもそれはコイツのものじゃない。
「…眼鏡クン、キミは僕に感謝すべきだよ?」
しかし、そんなもののせいで人生は何度も何度もグチャグチャにされる。綺麗なメレンゲが目も向けられないほどの吐瀉物みたいに。
「僕はこの学校でも、キミを1人にさせてあげるために来てあげたんだから」
「…い、………宮って」
誰かに呼ばれている気がした。ぼんやりと意識が今に存在し始める
「汐宮? 大丈夫か……」
担任は心配そうに見つめている…頭の中で何があったか整理して、そして、悟った。とりあえず、目の前の人には謝罪を済ましておく
「…すみません」
「いや、謝らなくてもいいんだけど…」
担任は、肩を竦めてどう慰めようと考えているみたいだった。
「……気にしないで大丈夫です。もう 帰って大丈夫ですか」
「あ、あぁ… 」
失礼しますと頭を下げると教室から駆けていた。担任は何も悪い事はしてない…ただ、どう顔を合わせればいいか分からなくなったし、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。何も知らないって分かってるのに、どうしても過去が、忌々しく禍々しい記憶がこびり付いて心を覆い尽くす。廊下にいた何人かの生徒が見てきたがそんなの気にしていられない。渡り廊下を抜け、階段を駆け下りる。世界は全てを分かりきっているのか、窓からは重い空模様で声をかけてくる。傘は持ってきてない…だから早く帰らなきゃ濡れる…そう思うのに、下足ロッカーには向かおうとはしなかった。そして、人気のない場所に向かっていた。この学校はとても広いから…どこかにはきっとあると信じていた。
はい…いつも通り変な終わり方ですねw
毎月毎月、インスピレーションとか現実とかと戦いながら書いてます。
今回登場した相島は、大富豪級の金持ちです。
読み方は「あいじま」「そうじま」…特に決めてませんw
さて、次回は汐宮はどこでなにがあるのか…
話の流れ的にどこに向かうか勘の鋭い人ならわかると思いますが…着々とラストは近づいてると思いますが…
私自身ラストをどこで迎えようかと思ってます…私が書ける限りは続くかもしれないのでのんびりお付き合い下さい…