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無口な少年の描いたセカイ  作者: 遥野 凪
プロローグ
25/26

中幕ブレイクタイム

大変おまたせしました!

競技の中身を書かない結果何を書こうということになりこんな遅くなりました(--;)

文章力落ちてないことを祈りたい……()

波乱の幕開けを予期させた開会式からは、案外どこの学校でもある競技が続き、特別なこともなく、ようやく昼休憩。

ペットボトルのキャップを捻りながら、教室に掛けられた時計を見ると、早いもので30分ほど経過していた。

(なんというか、疲れるな……)

お茶を飲みながら、ここまでの戦況…………競技結果を思い出す。

徒競走、綱引き前半戦、スウェーデンリレーと続いた競技だが、そこまで悪くなかったはず。

(そのおかげで麥瀬からの罵倒は、今日は聞いてない訳だし)

だが、文化系の生徒にとってはこの体育祭という行事の持つ雰囲気が、どうも苦手だ。もちろん、自分も例外ではない。

なんなら、 こういう行事の時ぐらいは、参加するか否かを選択する(すべ)があってもいいとは思う。

そんなことをしたら、参加する生徒は今の半分以下になりそうだが。

(勝敗とか別にどうでもいいんだよな…………授業よりかは確かに楽だけど)

ずっと座って先生の話を聞くのは、眠いし退屈だし。

ちなみに、自分が出た競技は、責任を持って結果は残している。まだ運動が多少出来て助かったとしみじみ思う。

これがもし、50m走のタイムが9秒台だったらと思うと、頭が痛い。

(あと残ってる競技は……)

午後の競技を確認しようと、前日に渡されたパンフレットを見ようとすると上からひょいと取られてしまった。

「……っ!?」

「午後最初は応援合戦……全く、よくもあんなこと出来るわ」

そんな言葉を投げかけながら、猫のような目つきでニヤリと笑いかけてくる。

「……九条さん」

「さっきの驚いた顔は見物(みもの)だったから、写真に収めたかったわね」

相変わらず、物音も立てずに目の前に現れる。風のようにとは、まさに彼女のことを指すだろう。

昨日とは違って、ジャージの上着は着ておらず、その証拠に華奢な腕が映る。

「あいにく、写真撮影は許可してない」

「同じ図書委員であることで、許可は頂いてると思っていたわ」

「どういう…………」

ここまで話して、ふと気づく。ここは教室であり、昼休み真っ只中。

(こんな風に喋ってると誤解がまた生まれるんじゃ……)

そう思い、急いで黙ると、彼女が笑い出した。

周りを見渡すと、彼女と自分以外は誰一人いない。

「流石にクラスメイトがいる時に、応援団のことを批判出来るほどの精神は、持ち合わしてないわ」

そう言うと、前の席の椅子を借りてこちらに向き合うように座ってくる。

「クラスメイトならここにもいるんだけど……」

「あぁ、汐宮君はクラスメイトだけど別よ」

「ああ…………」

「あ、嫌なら別の言いようを考えておくけど?」

「いや…………」

まるで次に出てくる言葉を分かってるように会話はスイスイと流れるので、どうしても返答が短くなる。

(本当に他人と会話しないとダメだな……)

心の中ではいつも反省しているが、特に彼女と話す時は意識してしまう。

「ま、汐宮君は汐宮君だし、他は他でしょ。だから、話すんだよー」

そんなことを言いながら、こちらに顔を近づける。鼻から鼻までの距離はそれこそ15cmぐらいに思うほど。

(なんで、この人はこんなにグイグイ来るんだよ………………)

自分のことを男子と思ってないと錯覚してしまいそうになり、こちらは内心ではザワついている。何に対してなのか分からないけど。

そんな心なんて彼女は読んでいるとは思う。現に、ちょっかいをかけて心底楽しそうに目元が笑っている。

彼女に翻弄されないのは無理だと、もはや諦めて、彼女の目を見ようとする。

「割と…………ここまではいい感じだな」

だが、そもそも他人と話すのが慣れてないので、やはり目を逸らしてしまう。

口は、少しでもこの状況を気にしないように、話題を振ってくれた。

他人の襲来があれば、その人と彼女が会話を始めるので、自分は空気になれるけど、こういう時に限って、襲来は無いし、思いのほか時間が経つのが遅かったりする。

今も結構言葉を交わした気がするが1分も経ってない。

「それは言えてるかも。このクラスって運動部所属少ないけど、健闘してるよね」

彼女はそんな風にこのクラスの状況を頬を緩めて話す。それは、まるで誰かと喜びを共有してる時の女子の表情によく似ていて。

(九条さんも、こんな表情するんだ…………)

表情は季節のように移り変わるなら、日々はモノトーンではなくもっと豊かな色とりどりのパレットみたいに賑やかなのだろうか。

「ーーしたの?」

「…………」

「汐宮君??」

「あ……ごめん。考え事してた」

彼女はこちらを黙って見てくるが、話す気がないことを察したのか、特段聞いてこなかった。

(九条さんは、どこまで心が読めるんだろう……)

以前に口に出そうとしたことを完璧に言い当てられてから、彼女は他人の心を読めると仮定している。現にあまり話したくないことは聞いてこないし、考えてたことを喋ってくれたりするのだから。

(いくら、勘が鋭いとはいえそこまで出来ないよな……)

そんなことを思いつつ、さっきまでの話題に続くように言葉を紡ぐ。

「まぁ……このクラス、凄い足遅い人はいないし…………多少足遅い人はリレーに組み込んで、足早い人がカバー出来るように割り振って……」

「バランスを取れるように組んでるって言いたいんでしょ」

「そう」

麥瀬は口が悪いが、クラスメイトの体力テスト結果を見て、チーム決めをしている。捨て競技なんか作らず、どれでもいい結果が取れるように。むしろ、隙あれば、1位を取れるような構成を作ったりするぐらい。しかも、出場競技数の偏りも出ないように調整もしている。

(はっきり言って難しいはずし、独断で決めた結果とは考えられない)

その証拠に、異論は認めないと言っていたからもあるかもしれないが、本当に異論は出てない。

「……本当の善人って、もしかしたら性格に難がある人だったりするのかな」

「それは私も含めてってことでいい?」

「なんでそこで九条さんが含まれるの……」

「あー違うかぁー」

「…………」

そんな容易く善人とかは分からないし、あくまでの話。過去のことだってある訳だし。

そもそも、九条の場合は何を考えてるか分からないから回答は出来ない。

「ま、いいけどね。人間の素質なんて簡単に分かるはずないんだしー」

一瞬だけ何か思い当たるような神妙な表情になったが、すぐにいつもの何を考えてるか分からない表情に戻った。

「あ、そうだ、汐宮君」

かと思ったら、何かを思い出したみたいに話題を振ってくる。

さぞかし、彼女の頭の中では物凄いスピードで、話題が速達されてそうだ。

「……何」

「つれない反応だね。そんなん女子じゃなくても構ってもらえないよ?」

決して多弁な方ではないはずなのに、自分にだけは凄い構ってくる。多くの人は、好意を抱かれてると思うだろうが、決してそうは思わない。同じ過ちは繰り返したくない。

それに、他人はきっと、自分より劣っている人を見て優越感に浸りたいものだ。

「別にいい…………」

「ふーん。私はしつこく構ってあげるけどね」

ただ、彼女の表情は過去に見た嘲笑(あざわら)ってるようには見えない。休み時間などで目につく、教室内で沈黙してる時よりかは、楽しそうに映る。

(いつも空気のようにいる彼女がこんな風に喋るなんて他人は知ってるのかな……)

「で、何」

そのせいで、柄にもなく言葉を返してしまうあたりは、きっと彼女の魅力なんだろう。

(会話をするのが苦手なのに変だよな……)

そんなことを思いながら、彼女の言葉を待つ。

「あ、そうだった。私1位取れたんだよー」

「……何の」

「徒競走だよ。ほら、開会式の直後の」

そう言いながら、パンフレットの種目を指さす。

「あぁ、アレか……」

「そう、アレだよ。汐宮君も出てた」

どの競技も、女子の後に男子なので、同じ競技に出る際は順番待ちの状態である。

しかも、徒競走は直線なので、後ろ姿しか見れないので結果がよく分からない。

「でも、私が出てること知らないのかー」

「……どういうこと」

「いや、私の番だけちょっと異常だったからさ……てっきり知ってるかと思ってた」

「異常……」

そう言われてみると確かに、あの競技の際、ゴール後に少しザワついたレースがあった気もする。

「確認だけど、どんな感じに異常だったの」

「んー走る前から、なんか視線を感じてたんだけど、走り終わったらその視線が強くなった気がした」

「何その状況……」

「あとは一部が少しザワついてような……言うならば、予測してなかった結果だったって雰囲気みたいな?競技後だったし、当事者だからほとんど覚えてないけど」

(競技後に、状況の詳細を覚えてることが十分凄いと思うけど)

「ま、調子よかったから相当早い人でも抜かせなかったのもあるかもねー」

「相当って……」

「そのおかげで1位だったんだし、結果オーライでしょ?」

「その通りだけど…………」

個人的には、相当早い人の基準が分からないので怖かったのは言うまでもない。

「他の誰かの足を引っ張るよりかもって考える団体競技より個人競技の方が楽だし。汐宮君なら分かるでしょ?」

「共感を求めるのか……」

「でも、少なくとも分からなくはないでしょ?」

こうも前のめりにこられると、首を縦に振らざるを得ない。彼女はそれを見てご満悦そうにしてる。

「分かればよろしい」

「そりゃあどうも…………」

多分、普通に友達とかがいたらこんな風に話してたのだろうか。

別に、他人と話したい欲が出てる訳でもないし、なるべくなら話したくない……はずなんだが、心の変化なのか、何かが芽生えているような気がする。

(もしくは、こんなふうに会話してみたかったのかな…………)

自分のことだと思うと、どこか違和感があるので、あくまで他人事のように思うようにして、気を紛らわせてはいるけど。

「私は、君とお話をしたいと思ったから図書委員になったんだよ」

だから、彼女がそんなことを言い出したのがあまりに、唐突だった。

「……え」

言葉を発したことは分かっている。

「だから、私は、汐宮君とお話をしたいと思ったから、図書委員になったんだよ」

そして、その言葉たちの意味も分かっている。

「そうじゃなくて…………」

しかし、その言葉を発した理由等が分かってないから、うまく理解が出来ない。そして、理解が出来るような答えを求めることすら、出来ない。

「要するに、君の存在に興味があったの」

おまけのように、同時に寂しいやつだなとも思ったけどねとからかう彼女は、珍しく年齢相応の嬉しそうな、少し紅潮させるように話していた。

「寂しいやつは余計だと思うけど」

「そうなの?」

「寂しいかどうかなんてその人にしか分からないし、現に1人でいても寂しくはなかったから」

「なかったから…………ふぅん」

どこか満足的な様子で、彼女はひょいと椅子から立ち上がり、掛け時計を見る。

「もうそろそろ戻るべきじゃない?」

そう言われて、時計を見るといつの間にか話に勢いがついたせいなのか、もう休憩が終わりかけだった。

彼女の顔に目をやると、何かを言うように口を動かしたように微かに見えた。

「じゃあ先に行くわ」

そう言い、去る彼女は教室から出るその瞬間、少し驚いた顔を見せたが、すぐに余裕振ったいつもの勝ち気な表情をしていた。



「ええ、私で間違えありませんよ」


そんな言葉が彼女の声で聞こえたけど、自分が教室を出る頃には、彼女の残り香さえもなかった。

九条さんは巻き込まれに行ってるのか……

次で体育祭編が終わります(現実ではこのぐらいの時期ですよね……体育祭)

九条さんが巻き込まれに行ったことはなんなのか、そして長田君が危惧してたことは起こるのか。

リレーの詳細ぐらいは頑張って書けるように頑張ります(足の速い人になりたかったです)

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