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シルバーバレット8

正義の味方…

その言葉を振りかざした者に何人の仲間がやられただろう…。

俺たちは悪なのか?そんな疑問を抱いたことがある。仲間に言わせればそんなもの考えたこともない、と言っていた。

考えても答えは出ないのだと俺は考えるのをやめた。それからしばらくして仲間が殺された。

俺はまだ幼かったがはっきりと覚えている。そいつは恐ろしいほどの速さで仲間を次々と葬っていく。

銀色の鎧が仲間の血で赤く染まっていた。

かろうじて俺は仲間に助けられ逃げることができた。そして後に聞かされた。仲間を殺した悪魔の名前を。今でも覚えている正義を振りかざし俺たちを殺しまくるそいつの名は…

シルバーバレット。



「この悪魔が…」


怪人は正義を睨み付ける。その目は強い憎悪が隠っているように正義は感じた。

怪人は力を振り絞り立ち上がった。フラフラしていていまにも倒れそうだ。それでも敵意は消えておらずより一層強く正義に向けられていた。


「お前らは正義を振りかざした悪魔だ。自分達を棚に上げて俺たちを……」


怪人は吐血した。正義でも分かる。こいつはもう長くない。サンライズとの戦いで深刻なダメージを受けていた上に先ほどの蹴りで勝負はついたと。


「何言ってんだよ!お前だって人質を取ったり抵抗できないやつをいたぶりやがって…お前こそ悪魔じゃないか!」

「…俺が悪魔だと…?お前に何が分かる!」


怪人は地面を蹴り一気に距離を詰め、鋭い爪を振りかざす。正義は怪人の大振りの攻撃をかわし顔面に右拳を叩き込んだ。

よろめく怪人。正義は怪人との距離をとる。


『正義くん、何をしてるの?能力をつかって一気に決めなさい』

「いや、あと30秒待って!!」


正義は能力を使ったあとに知った。この能力は続けての使用が出来ない。

しかし距離をとったことで怪人に体制を立て直す時間を与えてしまった。


「ずいぶん余裕だな!ヒーローさんよぉ!俺ならいつでも殺せるってか!?」


怪人の反撃をとっさに腕で防ぐ。怪人の手腕は防いだ手をしびれさせるほどの重さがこもったいた。

これを受け続けるのはヤバい。正義は敵との距離をとった。


「シルバーバレット…お前は俺を悪魔と呼んだな。ならお前はどうなんだ?人類の脅威になりうるなら誰でも殺していいのか?」

「一体なんの話をしているんだ!?」


言い終わる前に怪人は攻撃を仕掛けてきた。さっきよりも速くそして鋭いその攻撃が容赦なく正義を襲う。

正義はその攻撃をギリギリで避け続けた。いや、正確にはギリギリでしか避けられなかった。こちらの攻撃の隙を与えない猛攻に次第に追い詰められていく。

十、九、八…


「てめえをぶっ殺して仲間の無念を…晴らしてやる」


三、二、一…今だ!

正義は能力を発動する。スロー再生のように周りがゆっくりと動く。その中で正義は怪人に数十発もの拳を叩き込んだ。

動きが正常に戻った時、怪人は攻撃を膝を着いた。

怪人は薄れゆく意識の中で見た。シルバーバレットの姿を、そして


「くたばれ…ヒーロー…」


言い捨て崩れ落ちた。それが彼の最後の言葉となった。

正義は怪人が倒れたのを確認すると小さく「桂木さんやりましたよ」と言うと突然どっと疲れを感じ意識を失い地面に崩れ落ちた。

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