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シルバーバレット 7

一体どういうこと?

廃工場に仕掛けているカメラの映像を車のモニターで見ていたミクリは困惑した。

正義が怪人と対峙して変身した所までは何も問題ない。問題はそのあとだ。彼が身に纏った白銀の鎧。それにミクリは見覚えがあった…。だからこそ疑問を覚えたのだ。


「お父さん?」


モニターの映像に映るのは今は亡き父親の姿。命が尽きるまで人類を守りぬいた誇り高き戦士の姿だった。

その姿を目にしたとき自然涙がこぼれおちた。ミクリは涙を拭う。

瞬間、外で何かがぶつかった衝撃音がしミクリは我に帰った。

すかさずモニターを見る。するとそこに白銀の戦士の姿はなく先ほどまで彼のいた位置には怪人が立っていた。

ミクリはすぐ正義に通信を送った。



何をされた?

正義は腹に鈍い痛みを感じて悶えた。痛みに耐えながら状況を少しずつ整理する。

変身した瞬間だ。初めての変身で一瞬怪人から目を離していた。そして気づいた時には目の前にいて腹に蹴りを食らい蹴りの威力で壁まで飛ばされたのだ。


『正義くん!だいじょうぶ!?』


ミクリから通信が入る。

彼女の声音はかなり焦っているように聞こえる。


「痛いけど…やれないほどじゃない」


正義は身近にあるものに捕まりながら立ち上がるり答えた。

蹴られた箇所が悪かったのか少し息が苦しい。息を整えながら体制を立て直す。


『気をつけて、その怪人は手負いといってもかなりの実力者よ』

「確かに、今までのどの蹴りよりも痛かったよ…」


生身だったらと考えるとゾッとする。

怪人はこちらを見ている。何かを確認するように。そして言った「お前、弱いだろ?」と。


「動きで分かった、戦い慣れしてないな。おまけに実践経験も無い。そうだろ?」


正義は答えなかった。怪人はその沈黙が図星であること理解した。

正義はほぼ毎日のように不良と戦っているがいつもやられっぱなしで喧嘩にならない日も珍しくない。その原因として数の利もあるがやはり彼自身が弱いのだ。

おかげで打たれ強さだけは人一倍身に付いていると思っている。でもそれは皮肉にも人間同士での話だ。相手が人を簡単に殺せる怪人相手なら話は別である。

怪人は昨夜のと同じくゲスな笑い声をあげた。


「これは驚いた。サンライズがやられてクラウンはやけになってるのか?まさかこんな素人に討伐を任せるとはな!」


ゲスな笑い声が工場内に響く。その笑い声に正義は不快感を覚えた。


「何笑ってんだよ?そんな大口叩いて俺に負けたら格好つかないぞ?」

「あ?てめえ今なんて言った?」


怪人のゲスな笑い声が止まった。こちらを睨み付けてくる。

それでも気圧されせずに正義は続けた。


「大口叩いてると負けたときに言い訳できないって言ったんだ」


正義は怪人との戦力差を考えた。

任務開始前に桂木に渡された資料に目を通した。そこには怪人の情報が書いていた。クラウンはこいつと三度に渡り戦いを繰り広げたことがありそれによって得た戦闘データなど詳しく記載されていた。

だからだいたい分かる。こいつは俺より強い。でも負けるわけにはいかない。負ければ桂木との約束を破り仲間達をこいつと戦わせることになる。それだけはさせてはならない。それにこの戦力差を埋める方法が1つだけある。

資料に目を通していて怪人の能力をみた。蝙蝠の姿をしているだけに蝙蝠の超音波をより強力にしたようなものだ。そこで疑問を抱き桂木に聞いた。ヒーローにも能力はあるのか?と。桂木は頷いた。

ヒーローの姿というのは自分の意志や憧れがその姿となる。それは能力も同じだった。

桂木…サンライズは彼の強い意志によってあの姿になった。そして能力は彼の性格を表したかのような炎だ。あらゆる敵を焼き尽くす摂氏三千度の炎を身体に纏ったり、放出することが出来る。

正義も変身した時、不思議と能力の使い方を理解していた。

正義の場合は強い憧れによりシルバーバレットになった。ならばその能力は…


「やってみるか…」


正義は意識を集中させる。初めてでうまく出来るか分からないがやるしかない。能力を発動させた。

すると周りがまるでスロー再生のようにゆっくりになる。正義はその中で一気に怪人との距離をつめ先程蹴られた箇所と同じところを蹴り飛ばした。

瞬間、いつもと同じ早さに戻り怪人は蹴られた衝撃で壁に衝突した。

怪人はサンライズによって負わされたダメージと今の攻撃のダメージにより立つことが出来なかった。


「…一体お前はなんなんだ?…」


倒れた体で首だけを正義に向け問う。

その問いかけに正義は答えた。


「正義の味方だ!」

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