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シルバーバレット4

正義は目が覚めて机の上に置かれているバックルを見るまで昨日のことは夢だったのではないかと思っていた。

朝食を食べながらまだ寝ぼけている頭で昨日の出来事、ヒーローになるまでの経緯や桂木にした質問を思い返していた。

なぜヒーローになったのか…それは正義が特別な体質だったからだと桂木は言っていた。

どうやらヒーローには誰でもなれる訳ではないらしい。ごく稀に普通の人とは異なる体質の者がいてその人間のみがヒーローになることが出来るのだという。桂木たちは特異体質と呼んでいた。

特異体質の人間は他の仲間を見つけることが出来ると言っていた。桂木が正義にヒーローになってくれと頼んだのも納得がいく。ではなぜ正義が桂木を仲間だと分からなかったのか、正義も昨日の検査で特異体質であることが証明された。

しかし彼の場合特異体質だが残念なことにかなり微弱なのだ。何度も検査を受けさせられたのは反応が微弱ゆえなかなか結果がでなかったからである。ギリギリ特異体質で仲間を見つけることも出来ないし普通の人間となにも変わないのだがそれでも正義は「やった!俺すげえ!」とはしゃいでいた。

今になってあの時の事を思い出して恥ずかしくなったのでこれ以上考えないことにした。

次にあの怪人のことだ。桂木達は超生命体と呼んでいた。彼らは人間とは別の進化を遂げた生物であると説明された。超生命体は人間とは異なり統一した姿をしていない。今まで発見されたモノでも狼や蝙蝠など多種多様だ。そして高い戦闘能力を持っている。そして一番恐るべき事は彼らには変身能力が備わっており普段は人間に化け人間世界に溶け込んでいるということだ。

超生命体について未だ詳しいことはまだ分かっていないが彼らには1つ共通点がある。

それは人間を自分達の下だと思っていることだ。

彼らは人間を襲う。空腹を満たすため、また自らの暇潰しのために。

そんな彼らから人々を守るために作られたのが桂木やミクリのいる組織『クラウン』だ。

クラウンは政府が極秘で作った対超生命体組織である。

戦闘員と研究者を合わせて500人ほどの組織だが世間から気づかれぬように超生命体と戦うのならばこれでも多い方なのではないか。

変身装置はクラウンが開発したものだ。超生命体の存在を確認した際に彼らへの対抗策として開発されたのだという。現在その数は五つしかないが使用されているのは桂木ともう一人のヒーローそして昨日正義に託された三つだけだ。「もう一人いるなら僕がならなくてもいいのでは?」と疑問を投げつけたが桂木は「あいつは今各地を飛び回っていて連絡がつかない」と返ってきた。

正直に言うとその言葉を聞いて正義は心のそこから喜んだ。

念願のヒーローになれる事に歓喜し多忙なもう一人のヒーローに感謝した。

朝食を終え学校の仕度をし家を出ると平林と偶然出会った。


「おー、またハデにやられたなぁ」

「まだやられてねえよ!」


正義の顔には昨日やられた傷や青アザが残っている。平林はそれをからかって遊ぶのが二人で登校するときの日課になりつつあった。


「早く直せよー。(めぐみ)ちゃんが心配してたぞ。いつものことなんだからほっときゃいいのにな」

「本人に同意を求めるなよ…」

「あんな美人に心配されるなんて羨ましいすぎるぞ。俺も心配されてえ」


恵ちゃんというのは正義の幼馴染みだ。本名は天野恵(あまのめぐみ)。幼い頃はよく一緒に遊んでいたのだが今はクラスも違いあまり話さない。

名前の通り天からの恵みを受けたような女の子で勉強も運動も容姿もすべて完璧で平林的にはドストライクらしい。


「俺的にはお前が怪我するおかげであんな美少女と話せるんだから存分に傷ついて欲しいけどな」

「人をダシに使うなよ!全く…大丈夫だって伝えといてよ」

「お前も俺を使ってるじゃないか」


「おあいこだな」と笑う平林。その後も平林にからかわれたり馬鹿話をしているとあっという間に校門に着き学校へと入っていった。

学校に着いた正義はいつも通りの日常を過ごしていた。しかし頭の中には昨夜の非日常が広がっていた。

そして放課後はミクリにクラウンに来るように呼び出されている。正義は場所がわからないことを伝えると放課後迎えに来ると言っていた。

正義は秘密組織の一員になったことに興奮を隠しきれなかった。


(早く放課後にならないかなぁ)


正義は放課後が待ち遠しくて仕方なかった。

学校が終わり待ちに待った放課後、校門の前で待っていると1台のタクシーが正義の前で止まった。後部座席にはミクリが乗っている。

ドアが開くとミクリが「早く乗って!」と正義を強引につかみタクシーの中に引きずり込んだ。運転手は正義が乗ったのを確認するとドアを閉め車を走らせた。


「いきなりなにするんだよ!?」

「少し時間が押してるの我慢して」


ミクリは少しイライラしてるように見えた。何をイライラしてるのか聞こうとしたが運転手がミラーでチラチラとミクリの顔を伺っているのでやめた。さわるな危険っやつなのだろう。

正義は触らぬ神に祟りなしと我関せずの姿勢を決め込み組織までの道を覚える事にした。これから行くことになるなら覚えておいて損はない。


「あっ忘れてた」


正義が道順を懸命に覚えていると思い出したかのようにミクリに目隠しを付けられた。


「なんでだよ!!」


車内に不満の声が響いた。

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