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シルバーバレット 2

「窮屈な思いをさせてごめんね。でも規則だから許してね」


少女は正義の目隠しを外し謝罪した。


「…本当に謝る気あります?」

「もちろんあるわよ。騒動に巻き込んでしまったんだもの」


少女は淡々とした口調でそう告げ、コーヒーを飲む。正義は彼女の言葉と態度の違いに目を伏せることが出来なかった。


「だったらこれも外せよ!」


正義は椅子に縛り付けられた状態で足で地面を踏みつけながら反論した。彼がなぜこのような状況になっているかというと少し前にさかのぼる。

正義は車に乗せられて直ぐに目隠しをされた。これは了承の上での行動だったが暗闇だと車に乗っている時間が長く感じた。

車での移動間に正義は何度もテロリストの人質になった自分を連想した。

すぐ取れるからと言われて付けた目隠しが取れたのは車から降りて建物に入り取調室の椅子に縛り付けられた後だった。


「無理よ、あなたが逃げるかもしれないじゃない」

「逃げねえよ!つーか逃げれるか!」


正義は少女の両隣にいる屈強な男達を見た。サングラスをかけ、少女の頭が腕の第一関節にあるほどの体躯の持ち主だ。

絶対逃げられそうもない。もしそんな真似しようものなら3秒で殺されるかもしれん…と正義は思った。


「…まあいいわ。春屋くん早速本題に移るわよ。あなたはなぜあの場所にいたの?言っておくけどあなたの事は事前に部下に調べさせてもらったから嘘は言わない方が身のためよ」

「たまたま下校で通ったんだよ。近道しようと思ってさ」

「そう、質問を変えるわ。なぜあなたはあの場で逃げ出さなかったの?」

「それはあの怪人が許せなかったんだ。人質取ったりとかさとにかく最低なやつなんだよ」

「つまり、ヒーローを助けようとしたってこと?」


頷く正義。するた少女は彼の顔を覗きこんだ。女の子に顔を近づけられることに馴れてない正義はドキッとして顔を背けそうになる。なぜか分からないが息を止めていた。


「…どうやら嘘はついてないようね」


少女が顔を離すと正義は気づかれないように息を整えた。少女が言い終わってすぐにドアが開き男がが入ってくる。


「ミクリさん、桂木さんから伝言です」

「どうしたの?」

「そこの彼を連れてきてほしい…と言っていますがどうしますか?」


男は正義を指さしてそう告げた。ミクリは少し考えてから二人の男に正義を解放するように頼み。ついてきてと言って部屋を後にした。 正義は自由になったのも束の間ミクリの後を追いかけた。

連れてこいって言われたんじゃないのかよ…と心のなかで悪態をつきながら。



ミクリの背中を追いかけながら進むと医務室についた。そこをさらに進むと1つの個室前で止まった。ネームに目をやると『桂木勇気』と書かれている。ミクリはドアをノックし、

「ミクリです。春屋正義を連れてきました」と呼び掛けるとドアの向こうから「入れ」と男の声がした。

ドアを開くと目の前にはベッドが置かれていてその上には怪人と戦っていた男が上半身を起こした状態で待っていた。

男は正義の顔を確認すると顔を歪めた。


「まさか、あの戦いで怪我を!?」

「あっ違います。これは今朝からですから気にしないでください」

「そうなのか…よかった」


桂木は安堵の表情を浮かべる。

自分もかなりヤバイ状態だというのに人の心配をするとはやはり彼は本物のヒーローだ。と正義は感じた。


「まさか、彼を連れてきたのは怪我の確認の為ってことはないですよね?」

「ああ、君に来てもらったのは頼み事をしたいからだ」

「頼み事ですか?」


桂木は無言で頷く。そしてとんでもないことを口にした。


「私の代わりにヒーローになってほしい」

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