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ハードラック4

夜の静けさを黒いバイクが切り裂く。街をさっそうと走るそれはまるで街を吹き抜ける黒い風だ。


「……」


愛車に跨がり男、ハードラックは視線を上にずらした。視線の先には建物が並んでいる。そしてそれを飛び越えながら移動する影があった。月明かりに照らされ異形なそのシルエットが浮かび上がる。狼のような怪人だ。

男はバイクを操作しながら片手で銃を構えた。狙いを定め引き金を引くとワイヤーが飛び出し建物の壁に突き刺さる。刺さったのを確認し、もう一度引き金を引くと男の身体がワイヤーに引かれ宙に舞った。

そして一気にビルの上まで上がるともう片方の腕に銃を構え引き金を引いた。

飛び出した銃弾は異形な怪物を背後から撃ち抜き怪人を地面に倒した。撃たれた足を押さえながら声を漏らす。

その怪人にハードラックはゆっくりと近づいていった。


「くそ!人間の分際で…」


怪人はは鋭い牙をむき出しながら男を睨み付ける。しかし男が怯むことはなかった。


「言いたいことはそれだけか?」


男は銃を向ける。怪物は危険を感じ動こうとした瞬間、腕や残りの足に数発銃弾を浴びた。

怪物の表情が苦痛に歪む。


「質問がある。お前の仲間に人を操る能力を使えるやつはいるか?」

「そんなもん何でてめえに…」

「答えろ!」


男は銃を怪物の額に押しつけた。

怪人は抗えない死の恐怖を感じ息が上がる。それと同時に自分の命が見下していた人間の手の中にあるという事に強い憤りを感じていた。


「言えば見逃がしてやる」


この言葉に怪人は複雑な表情を浮かべたがすぐに質問に答えた。すべて話させたところで銃を下ろした。


「…そうか、ありがとよ」

「質問に答えたから早く解放してくれ…」

「そうだな。これでさよならだ」


ハードラックは銃を下ろし安心しきった怪人に素早く銃向け額を撃ち抜いた。

怪人は後ろに力なく倒れ地面は頭部から流れる血で赤く染まっていく。

ハードラックはそれを見届けると怪人に背を向け歩き始めると携帯が鳴った。すぐに電話を繋いだ。


「なんだ?」

『クラウンの連中につけられてるぞ。お前らしくない』

「それはちょうどよかった」

『どういうことだ??』

「少し予定が早まるだけだ」


そういうと一方的に電話を切った。彼は不適な笑みを浮かべながら銃に弾を込めた。





「やられた隊員は2名。ハードラックの尾行を任せてたメンバーよ。二人ともクラウンが誇る精鋭なんだけどね」


ミクリがメンバーを集めて説明をする。部屋の中は殺伐とした雰囲気が流れていた。


「みんなの気持ちはよく分かるわ。でも落ち着いて」


やられたのは実働部隊の隊員だ。同じ科の仲間がやられたことでみんなピリピリしている。

正義はここに来て日は浅いが実働部隊の隊員たちの団結の強さは肌で感じていた。だからこそ仲間がやられたことでこうなることは少なからず予想できた。


「仲間がやられて黙ってられるほど俺は薄情じゃないぜ」


隊員の一人がミクリに反論する。

彼はオールバックをクシで整えるながらミクリを睨んでいる。


「やられた奴はオレのダチなんだよ。なあ、仇討たせてくれよ」

「恭二さん、あなたの私情で部隊を動かすことは出来ないの。だから…」

「ふざけんな!!」


ミクリの言葉を遮るように恭二が机を叩き叫んだ。

すかさず桂木が制止にかかるがミクリは手で桂木を止めた。


「現場にやつが残していった紙にはこんなことが書いてたわ。『ヒーローはいらない』とね。これはあきからなクラウンに対する宣戦布告よ。今この件について上層部が会議を続けてるわ。会議の結果次第で敵討ちだってできるかもしれない」


ミクリは淡々と続ける。恭二や他の隊員もミクリ話を黙って聞いた。


「仲間がやられて悲しくない人なんてここにはいないわ。結果がでるまではどうなるか分からないのだから抑えてちょうだい」


反発するものはいなかった。

しばらくしてミクリの携帯が鳴りミクリと桂木そして正義が呼び出された。

正義はなぜ自分まで?と思ったが言われた通り従った。

ミクリと桂木に付いていきたどり着いたのは立派な扉の前だった。上には司令室と書かかれている。

つまりクラウンの中でもかなり偉い人物に呼び出されたという事になる。

緊張を感じたのかミクリと桂木が心配してこちらを見つめている。


「あなたはいるだけでいいわ。新ヒーローの顔を見ておきたいだけだから」

「そうなのか…ならいいんだけど」

「じゃあ入るわよ」


そういうとミクリはドアを叩いた。


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