第1章 -全ての始まり-
この作品はギャグ要素を多めにとろうと思っています。
がっつりシリアス、大恋愛な展開には持ち込まずに、
ゆるーく更新していく予定です(笑
◎主人公のキャラ設定◎
立花 陸 タチバナ リク
栗色 毛先は若干外はねでふわふわ 高校2年 テニス部
目は大きめ 中性的な顔立ち 身長162 色白
周りからの印象・・・男だけど可愛い マスコット的な存在 少し天然ドジっ子
元気で明るく運動が得意 勉強は数学と英語が苦手
正直者で隠し事が苦手 すぐ動揺する
第1章 -全ての始まり-
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7月21日 正午
ギラギラと照り付ける太陽。額には汗がじわりと滲み頬を伝う。
近くの木々からは、まるで合唱をしているようにセミの鳴き声が響いてくる。
歩くたびにアスファルトからジリジリと熱が伝わり、周囲の人々は気だるそうな足取りだ。
しかし、そんな夏の鬱陶しさは全く気にならない。
何故なら・・・・・今日から夏休みだからだ!!!!
俺、立花陸は先程終業式を終えて自宅へと向かっていた。
明日からの夏休みをどう過ごそうか、頭の中は楽しい計画でいっぱいだった。
「・・・よっと!」
近道をしようと公園の柵を乗り越えた。
そして無事に着地・・・・のハズが、何やら柔らかいものを踏んだ感触が・・・・。
「ヴニャアアアア!!!」
「うわあああああ!!!!!」
どうやら俺は、運悪く猫の尻尾に着地してしまったようだ。
低い唸り声をあげてツメで何度も引っ掻かれる。
「わああ、痛い!ごめん、ごめんよー!!!わざとじゃないんだ!!」
必死に謝り続けていると、猫は気が済んだのか攻撃を止め自分の尻尾を舐め始めた。
「猫ちゃんごめんね、もう許してくれるかな・・・?」
ほっと一息ついてゆっくりと後ずさる。
「・・・・ゴメンで済むなら警察いらんわ!
ワシのプリチーな尻尾を踏みつけておいて、生きて帰れると思うな若造が!」
「・・・・・え、ええええ!?」
目の前にいる真っ白で綺麗な毛並みの猫とは到底思えないダミ声が聞こえてきた。
「しゃ、喋った・・・しかもオッサンみたい!!!」
「誰がオッサンじゃボケー!!!ワシはこの地域の野良猫をまとめているボスじゃ!」
「あわわ、ごめんなさーい!!!!」
余計な一言を言ってしまったせいで、今度は猫パンチをくらう羽目になった。
「全く反省の色が見えないのぉ・・・こうなったらワシの魔術でお前に呪いをかけてやる!」
「え!?すごく反省してます!!!てかこの展開一体何なんだ・・・暑くて頭おかしくなってるのかな・・・・」
あまりにも現実離れしている光景に、頭を抱えてその場に座り込む。
「これはまぎれもなく現実じゃよ。さてさて、どんな呪いをかけようかのぉ・・・」
猫はニヤニヤしながらこちらを見ている。
「・・・・痛いのとか死ぬのは勘弁してください。」
自分の意見を聞いてくれるような相手じゃないなと思い、せめてもの最低条件を切りだした。
「まぁワシもそこまで鬼じゃないからのぉ。よし、お前には猫になってしまう呪いをかけてやろう!」
「ね、猫になる・・!?え、いやいやこれからの生活どうするんだよ!そんなの無理・・」
「安心せい、猶予を与えてやる。今日から1ヶ月の間に呪いを解くことが出来たら人間に戻してやる。」
「・・・・・は、はぁ・・・。ちなみに呪いを解くにはどうしたらいいの?」
「それは・・・・好きな人とキッスをする事じゃ!!!!」
猫は見ていてイラッとするようなドヤ顔をしてきた。
しかもいちいち表現が古臭い。キッスなんて今時死語だと思うのだが・・。
「好きな人か、この1ヶ月でそんな人出来るかな・・・」
「ふはは、まだ条件はあるぞ。好きな人と言っても、ちゃんと両想いになっていないと認めん。あと、その相手は男限定じゃ!」
「・・・・・は?お、男!?あの、俺も男なんですけど・・・・!!」
「そんなことは分かっとるわい!せっかくの呪いなのに女の子と両想いになるなんて
結果的に幸せな条件を出すわけなかろう。せいぜい苦しむがよい!!!」
「うわっ!?な、なんだ!?!?」
突然身体が白い光に覆われ、思わず目をつむる。
光は一瞬でおさまり、恐る恐る目を開けるが特に身体に異変はないようだ。
「・・・?」
「1ヶ月の間は猶予期間だと言ったであろう。それを過ぎたら完全に猫になってしまい、二度と人間には戻れんぞ。期間中は稀に猫の耳と尻尾が生えるくらいじゃから問題ないわい。」
「問題大アリだよ!!誰かに見られたらどうするのさ!!」
「見られたくなければ驚いたりしないことじゃな。脳に刺激を与えると反射的に出てきてしまうからのう。」
猫は実際にやってみた方が早いなと言い、いきなり飛びかかってきた。
「にゃっ!?にゃにするんだ!!!・・・って俺何言ってんの!?」
自然と口に出した恥ずかしい言葉にいたたまれなくなる。
「言葉だけじゃないぞー。自分の頭を触ってみろ。」
「え・・まさか。」
言われたとおりに頭に手を伸ばすと、明らかに人間の耳ではないものが生えていた。
「ね、猫耳・・・・!!」
どうやら尻尾は生えていないようだったが、耳だけでも十分な衝撃だった。
「では、期限の8月21日まで頑張るのじゃ!!」
「あっ、ちょっと待ってよ!!!」
猫はこちらの返事を待たずに足早に去って行った。
「うぅ、これからどうしよう・・・夢なら覚めてほしい。」
しばらくその場で落ち込んでいると猫耳は消えていった。
俺と同じ男と両想いになってキスをしなければ一生猫のまま・・・・
絶望的な状況に追い込まれ涙目になってくる。
「はぁ、ここで座っていても仕方ない・・・とりあえず家に帰るか・・」
家には兄貴もいるし、もしかしたら協力してくれるかもしれない。
俺は重い腰を上げ、ふらふらと家に帰り始めるのであった。
第2章は陸のお兄ちゃんを登場させます!
今後章が進むごとに登場人物は増えていきますのでお楽しみに!