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Story.01 突然にして偶然の出会い ~CROSS~

忘れてたけど、陽刻陰刻は午前午後ってことです。


なろうに居る人なら分かるよね………ね?

 




「………おかしい」


 王城を脱出した蘭は、外の異変に気が付いた。


「はぐれの奴らが多過ぎるぞ……」


 はぐれ龍とは帝龍王国の管理下に無い古龍や伝説龍、そしてその眷属たちを指す。

 簡単に言えば、帝龍王国の法に縛られず、人間を襲うことの出来る龍ということだ。

 龍は人間を食べることもあるが、襲う目的の大半はその備蓄にある。つまり、野生動物よりも人間を襲う方が効率が良いのだ。

 とは言ってもその実力はピンキリで、中には並の人間でも倒せる奴だって居るだろう。それが1対1なら、だが。


「しかし、なんでこんなに多いんだ……?」


 多い、と言っても蘭がここまで数時間歩いてきて2頭見かけただけ。

 ……っと、3頭目だ。強烈な光と共にはぐれ龍が姿を現す。


「……ブレス?交戦中か?」


 先程の強烈な光の正体は龍のブレスだったようだ。


「誰と戦ってやがんだ?」


 蘭はこの辺で一度ウォーミングアップ程度に戦っておきたかったのだろう。普段は関与しない他の龍の戦いに首を突っ込んだ。



  * * side-K * *



「ちょ、ちょっと、いきなり光龍系じゃないですかぁぁあ」


 同じ頃、紅葉ははぐれ龍に追われていた。

 光龍系、というのはそれぞれはぐれ龍たちの始祖に当たる古龍や伝説龍の名前を取ってそう呼んでいる。


「も、もう、こうなったらやるしかねぇですよね……」

「いい加減諦めろよ、人間風情がっ!」

「はぐれ龍って喋るの!?」


 はぐれ龍たちも、王国所属の龍たちと元を正せば変わらないので勿論喋れるのだが……どうやら紅葉は知らなかったようだ。


「は、はぁぁぁっ!? 失礼にも程があんぞコラ!」

「いやいやいやいや、喋ったの見たことなかったんですもの!………聞いたことないです、かな?」

「どっちでもいいわ!」


 何故、こんなくだらない会話をしたのか。


「その話はおいといてっと、そろそろチャージは十分ですかねぇ……」


 それは紅葉の勝利の為であった。

 紅葉の持つただの鉄剣(・・・・・)が眩いほどの光を放つ。


「これだけ魔力詰め込んだらヤれますよねぇ……?」


 普段の快活な紅葉からは想像がつかないような、仄黒い笑みを浮かべる。

 念の為言っておくと、七瀬 紅葉はビビりだ。しかし、だからこそ、敵を威嚇する。そして勝つ為なら汚い手だって使う。


「テメェ……中々やるじゃねぇか…戦乙女って奴か?」

「あなたに教える義務はありませんので」


 次の瞬間、両者間に極大の光が瞬く。



  * * side-R * *



「うわぁ……しかも光龍系じゃねぇか……」


 光龍系ははぐれ龍の中でも比較的強力で、王国でも度々討伐任務が行われる。


「ちょ、ちょちょちょちょちょっ!!誰かぁぁぁぁぁ!!!」

「イイ加減に諦めとけってぇの!」

「うるさいわっ!誰か助けやがって下さいぃぃぃぃぃ!!」


 どうやら交戦しているのは人間の少女のようだ。やたらとうるさいが。


「さぁって、ちゃちゃっと助ける(ブッ殺す)とすっか」


 裏の感情が出かけてます、蘭さん。


「ほらほらぁ!そろそろ大人しくしやが」

「邪魔するぜ」

「れ……?んだぁ?テメェ何者だ?」


 困惑し過ぎなはぐれ龍に対して蘭は右手を向ける。


「いいか?ちゃんと避けるんだぞ?」

「あぁ?意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞ人間風情が」


 この時、蘭は人間の姿をしていた。それは少女を怖がらせない為の彼なりの配慮だろう。


「おいおい、調子乗ってんじゃぁねぇよ、三下が」


 この時、はぐれ龍は本来の姿だった。それは擬態の必要がないからだろう。

 擬態とは元来2つの意味を持つ。自分より強い者から身を隠すため、そして自分より弱い者に警戒させないため。


「あぁ、避けなかった場合もれなくあの世行きだから」


 はぐれ龍はこの時大きな勘違いをしていた。つまり、擬態の意味を履き違えていた。

 蘭の右手に闇が宿る。否、光が消えたと言った方が正しいか。


「ま、そろそろ救助完了しますかね(天国までイってこい)


 “LOsT”


 刹那、音が、光が、消える。


「(あらま、やり過ぎたかね)」


 放つ声も音にならない。確かにそこにあるものが、知覚出来ない。


「(戻さないとマズいよなぁ……)」


 次の瞬間、闇が消える。


「ふぅ……」

「何しやがった……?テメェ…」


 その声の主は蘭、そしてあのはぐれ龍だった。


「あぁ、世界が消えちゃったからさ、元に戻した」


 蘭が軽く放った言葉は、計り知れないほど滅茶苦茶なものだった。


「いや、この世界全部じゃないからな?」

「いやまったく取り繕えてないから」


 曰く、この場所を世界から消去したとのこと。


おい(いやぁ)お前(お前)残念だったな(最高だよォ)1回で死ねなくて(楽しみが尽きねぇなぁ)


 これから体感時間にして15時間、実際の時間にして15秒。実に3600倍の密度ではぐれ龍は殺され続けた。

 その方法圧殺殴殺縊殺銃殺焼殺虐殺瞬殺絞殺轢殺刺殺焚殺謀殺扼殺撲殺捕殺惨殺密殺禁殺瞬殺必殺薬殺誤殺磔殺撃殺抹殺誅殺毒殺爆殺斬殺射殺……


はぁ(あれ)……やっと死んだか(もう無いの?)疲れたなぁ(クソつまんねぇよなぁ)


 ところで、本来の目的を思い出してみよう。そう、少女の救出だ。

 その少女がどうしてるかって?


「あ……えぁ…くひぅ………ぇげぉっ……く…ぇぁ?」


 白目剥いて涎垂れ流して廃人一歩手前(待ったなし)状態。


「おぉ、刺激が強すぎた、か、なっ、と」


 蘭は少女の頭に手を添え、唱える。


 “ResEt”


 蘭の掌が熱く光る。


「ひぐぅっ!?あっつぅぅぅぅぅぅぅ!!?!?」

「よぅ、おはようさん」


 すると少女は身構える。何か多大な勘違いをしているようだ。


「ひ、人型になって私を襲おうったってそうはいかないんだからっっ!!」

「おいおい……確かに俺も龍だけどさ……」


 人型でも、何になっても、龍には特徴があった。

 それは瞳。龍の瞳は一族ごとに違った綺麗な単一色に黒い十字が浮かんでいる。


「おら、俺の瞳は紅蓮だろ?」

「あ………」


 紅蓮は王国直属の龍、つまりは人間のとって害の無い龍の証である。


「こいつは失敬。私としたことが」

「まぁいいけどよ……」



  * * CROSS * *



「……緊急援助要請……20分前………?」


 紅葉が見つめているのは所謂通信デバイスというやつだ。名前は確か、エネフォン、だったか。

 魔力を通すと使えるらしい。

 作戦初日に本部で配布されて使い方がいまひとつ分かっていない。そして今回はそれが仇になった。


「こっから……3㎞ってトコか…」


 紅葉が足に力を込める。

 そして戦乙女の最大の特徴である人間離れした膂力で一気に3㎞の距離を詰める。


「ひ、人型になって私を襲おうったってそうはいかないんだからっっ!!」

「おいおい……確かに俺も龍だけどさ……」


 紅葉の耳が誰か(女の子)誰か(男の人)の会話を捉えた。


(……交戦中か…………?)


 紅葉は比較的和やかな空気(龍という存在)疑問(恐怖)を抱きつつひとまず様子を窺うことにした。


「おら、俺の瞳は紅蓮だろ?」

「あ………」


 どうやら王国の龍だったようだ。

 紅葉は握った両手を緩め再接近を開始する。


「こいつは失敬。私としたことが」

「まぁいいけどよ……」


 紅葉が近づいていくと男がこちらに顔を向けてくる。


「ん、また人間か」

「かく言うあなたは王国直属の龍のようですね」


 顔を合わせてすぐ一触即発の空気が流れる。


「あ、あああのっ!」


 そんな空気、耐えられる訳がなかった。


「ん?どした?」

「あ、大丈夫でしたか?」


 紅葉も男も根は(多分)優しいので、すぐに空気は解消される。


「ぁ、いや……なんでもないです…」

「んん?ほんとか?」

「な、なんでもないって言ってんでしょ!」


 いきなり大きな声を出されて男は不機嫌な顔をする。が、それを花蓮でなく紅葉に向ける。


「なぁ、こいつ引き取ってくんねぇ?」

「それはいいんですけど、ここに光龍系のはぐれが出たと聞いたのですが」

「あぁ、それなら消しといたよ」


 その言葉に、紅葉は困惑する。

 この男は何者なのか、戦乙女でもない癖に光龍系を倒すなんて、ありえない(認めない)


「嘘ですよね、いくら龍でも1対1では厳しいはずです」

「嘘つくメリットが見当たらねぇな」


 男と目が合う。瞳が見える。


「紅蓮の瞳に白十字……?」


 紅葉は気付いた。彼の瞳が特別だと言うことを。


「あ、あぁ、まぁ、そりゃ知ってるか……」

「逆に知らない人は居ないと思いますけど、龍王陛下」


 紅葉の言葉に、知らない人が目を見開く。


「龍王陛下!?龍王って、あの龍王ですかっ!!?」

「あぁ、その龍王陛下だぞ」


 ほへぇ、と花蓮は間の抜けた声を出し、また意識を手放した。状況について行けなかったのだろう。


「で、何故龍王がここに?」

「あー、ちょっと家出かな?」


 今代の龍王が破天荒なのは噂程度には知っていたが、まさかここまでとは知らなかったようだ。


「あ、私、七瀬紅葉と言います」

「俺は相崎蘭だ、これは知らなかったろ?」


 龍王の本名というのは実はあまり知られていない。

 それは知られてしまうと色々と面倒なのもあるが、理由の大半は蘭の性格の所為である。


「蘭様、ですね、確かに知りませんでした」

「で、七瀬とやら、こいつが目ぇ醒ます前に立ち去りたいからマジで預けちゃうな?」

「あ、了解です、炎熱様」

「おう………おう?」


 炎熱、と言うのは蘭の昔の通り名だったのだが、そんなもの200年以上も前のことである。


「お前、なんで」

「で、では、私は仕事があるので、これで」

「お、おい、ちょっと待てって」


 紅葉は戦乙女の身体で出せるトップスピードで走り出し、蘭の制止も無駄に終わる。

 1人取り残された蘭。


「なんなんだよあいつ……まぁ、炎熱は有名だからな、一応、どっかで勉強したんだろ、わかったわかったそういうことにしておこう




 こうして2人の道は交差し、すれ違った。




更新遅くなってすみませんでした……


次からはもっとペース上げていきます。



………やべぇ、分かりにくいわこの話…

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