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旅立ちの朝 〜プロローグ side-K〜

  戦乙女(ヴァルキリー)


 人間の中から数十年に1人産まれるという天才だ。まぁ龍には敵わないが。

 その名が示す通り、これは女しか存在しないらしい……






 時刻は陰刻2時。けたたましい音と共に少女が家から飛び出してきた。


「くおぉおぉぉぉぉ!!遅刻ですぅぅぅぅう!!!」


 こいつの名は七瀬(ななせ) 紅葉(こうよう)

 至って普通の人間だ。ある一点を除いては。


「すいませんっでしたぁ!」

「………遅え、5時間の遅刻」


 しかし紅葉の奴うるさいな…… ちなみに七瀬の上司に当たるこの口数少ない奴は及川(おいかわ) 零時(れいじ)という。


「でもですね及川隊長!」

「でももクソもない、働け」


 この2人が所属する組織は龍撃隊と言って、町を襲うはぐれ龍を撃退する役目を担っている。まぁ2人だけで運営しているのだが。


「……お前は戦乙女なんだからよ」


 そう、この七瀬 紅葉という少女は戦乙女だった。

 その称号は大きな期待とそれに比例する重責を背負うことを意味する。


「……それは…分かってます」

「それならいい。働け」


 紅葉は敬礼をして、満面の笑顔。


「では、行って参ります!」

「ん、いってこい」


 相変わらずうるさい奴だ。

 龍撃隊という大仰な看板を構えてる癖に普段何の仕事もないので、何でも屋を並行して営んでいた。


「今日は……うへぇ…農作業ですかぁ……」


 紅葉が凝視していたのは依頼板、町の人々はここに依頼を書いておくことになっているようだ。


「まぁ、力仕事なら得意ですし、日焼けだけ気にしときましょう……」


 この辺は、女子なんだよな……

 ちなみに移動は歩くようだ。曰く、自分の足が一番速いんです、とのこと。


「こんにちはでーっす!」

「あぁ、やっと来たか、また寝坊かい?」

「い、いやですね、もぅ……」


 どうやら嘘はつけない性格のようだな。

 とりあえず仕事だからとぎゃーぎゃーと騒ぎながらも作業を進めていくこと1時間、紅葉に連絡が入る。


『はぐれだ』

「うえぇっ!?今ですか!?」

『町の北東27ブロック』

「わ、わかりました、すぐに向かいます」


 相変わらずの端的な連絡を終え、依頼主である農家に詫びを入れてから紅葉は全力疾走で龍の許へ。


「あんま戦いたくないんですよねぇ……」


 突然だが、はっきり言って、紅葉は極度のビビりだ。

 戦いの前に深呼吸して、お守りを握り締めて、やっと戦える状態になる。そんな奴だった。


「とうちゃくっ!です、が……」


 問題の27ブロックに辿り着いた紅葉。

 彼女が戸惑った理由、それは眼前に広がる景色だった。


「な、何なんですか……」


 そこで紅葉が見たのは巨大な龍の頭。

 その頭は実に27ブロックの半分を埋め尽くしていた。龍族にしても大きい部類に入るサイズだ。


「あ、あぁあ、ありえないですよ、こんなの……」


 数分だっただろうか、紅葉が呆然としていると龍が動き始めた。

 この町には元々興味がなかったのか、立ち去って行くようだ。龍が居なくなった景色は凄惨な被害が見て取れるのみだった。


『七瀬』

「ひゃいっ!?」


 突然の連絡に奇声を上げる紅葉。


『話がある』


 どこかいつも以上に真剣味を帯びた及川の言葉に紅葉も何か感じたのか、走って龍撃隊の本部へ向かう。



「ただいま戻りました七瀬 紅葉です」

「あぁ、七瀬、最近の龍のことなんだけどな」


 それから及川は近頃はぐれ龍の出現頻度が上がっていること。

 他の町と共同ではぐれ龍の一斉掃討作戦が行われること。

 そして、その作戦で紅葉に召集がかかっていることを話した。


「及川隊長……これは、実現可能なのですか?」

「はぐれを相手にする場合帝龍王国の支援を受けれないからな……正直わからない、が、やるしかない」


 紅葉は両手を身体の前で握る。悩んでいる時にとってしまう癖なのだ。


「………わかりました。参加します」


 依然として、両手は強く握られたままだった。

 しかし及川はそれを分かっていながらも、その選択を拒むことが出来なかった。


「及川隊長」


 紅葉は、いつも通りの笑顔を見せる。


「では、行って参ります」






 戦乙女(天才)の旅はこんな形で始まりを告げた。

なんか……文章力欲しいなぁ…


次話から文章量増やしたいと思ってます。

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