神と行動と
遅れました。12/3修正加筆しました。
12/10改定しました。
悠斗とバーツは悠斗式ボーリング(悠斗命名)で作った道を歩き続けていた。
歩き続けること30分弱。森もそろそろ終りに近づく中、バーツはふいに悠斗に言った。
「なあ、ユート。」
少し小汗をかきながら悠斗は顔の向きも変えずに返答する。
「いやあ…別に俺だってやりすぎたって思ってるよ。俺が出来ることがあるのかなって思ったんだ。その結果がこれだよ。人生、やりすぎのほうがいいんだよ。…多分。」
しゃべりまくる悠斗に少しあきれながらバーツ言った。
「なに人生語ってんだ、責めてる訳じゃないんだが。ともかく吹っ飛ばした醜悪な猪見つからないな。」
責めてるんじゃと悠斗は思ったがバーツの真剣な顔に圧倒されてすぐに心を切り替えた。
「そうだけど。どうかしたのか。」
今度はバーツが小汗をかきつつバーツは言った。
「さすがに5~6分も歩けば見つかるだろうと思ってたんだ。だが予想が違った、もう森が終わる。」
悠斗が正面を見る。確かに森が終わっており、200メートルもない距離に建物の集落のようなものがある。あれが村だろう。
しかし様子がおかしい。明らかに人だかりが出来ている。
悠斗は直感した。これは目立ちそうだと。
もともと前世から目立ったら良いことはないと見ていいという持論を持っている悠斗はこの状況をいかに回避するか模索し始めた。
バーツにはもう知られている。ここで適当に事情を話してバーツには黙ってもらうのもありだと悠斗は考えた。
「待てよ。」
ほとんど声になってないが悠斗は声を漏らした。
バーツはどう考えてもうっかりというより当然のごとくしゃべってしまうだろう。いや違いない。
ここは走って逃げるという考えに悠斗は到った。
逃げるのは目立ってしまうがあそこに向かうよりかは大分ましだとも思った悠斗は早速逃げる準備を始めた。
一応、悠斗のために言っておくが悠斗はパニックに陥っている。悠斗がバーツにばれないように準備を進めていると、
―称号覆させない運命を適応しました。―
もう聞きなれつつあるこの声を聞き流そうとする悠斗。
―覆せない運命の権限により神による自由行動が起動しました。―
いやな予感。一瞬、悠斗から寒気がはしった。そこで悠斗の心の中から再びあの声を聞こえた。
「ふむ。この状況私からしてみたら面白くて仕方がないので、好き勝手やらせて貰いますね。」
ここで悠斗の体に変化が起きた。体が少しも、いや全くというほど動かなくなったのだ。
急に黙りこんだ悠斗に変に思ったバーツは悠斗に話しかけた。
「おい。どうした。」
「行きましょう。」
いつもとは口調が違う悠斗に驚くバーツ。が、驚くよりも早く悠斗は走り出した。
「待てよ!」
慌てて駆け出すバーツ。しかし、称号『忘却武術』によって強化された悠斗には、(この世界の)一般人レベル並みのバーツには無理があった。
土煙を出しながら走りながら悠斗は段々はっきりしてきた人だかりを見つめる。
「やはり、ありますね。」
人だかりの中心の中には10数メートルはあろうかという肉の塊があった。醜悪な猪だ。
200メートル余りある距離を8秒という驚異的なスピードで悠斗は走破した。
人だかりの中心の外側の悠斗が1番近い農夫らしき人に声をかけた。
「すごい人だかりですね。一体どうされたのですか。」
農夫は振り向き興奮しているのか、かなりの早口で答えた。
「おっ。あんちゃん。知らないのか。ここらの森の主の死骸がゴロゴロ転がってこの村の柵に激突したんだ。すげえよな一体誰がやったんだろうな。」
悠斗は一息つき、次をしゃべろうとした、農夫に、遮るようにしゃべった。
「ええ。それを倒したの私ですし、ふっとばしたのも私ですし。」
さらっと言ってのける悠斗。それに対し農夫はむせこんだ。
「やっぱり知らなかっただろってゲホッ…!おい。」
その言葉の続きを悠斗は聞かなかった。
なぜなら悠斗は空中を飛んだからだ。
人だかりを軽く通り越し死骸のほんの数センチばかり手前の張り出した柵の上に難なく着地した。
「皆様。この魔獣ランクE―醜悪な猪を討伐したのは私、蒼野裏・悠斗。いや悠斗・蒼野裏のほうが正しいですね以後お見知りおきを。」
周囲の人々はお互いに顔を見合わせてざわめいた。
「いや、そんなわけないだろう。」「ありえるかも。だってとんでもない速さでこっちに来たのよ。」「でもなぁ。」
悠斗はこの群集を無視してある称号をアップロードした。
「めんどくさいですね。―称号 |設定無視しかありえない《ノブランテ》を適合しました。―っとこれは選別ですかね。」
悠斗は指を鳴らす。急に悠斗の周りの人々が倒れる。
「あとは記憶操作ですね。」
5秒でささっと記憶操作を悠斗は終わらした。そして今度は抹消をする
―覆せない運命を消去。これにより『神による自由行動』を解
除。―
「ではまた会いましょう。」
悠斗がそう言うと急に悠斗が首をかしげた。
なんでこんなところに柵の上に居るのだろうか。記憶があやふやになっていたがまあいいだろう。と悠斗は思い直した。
「どうせ目立ってないだろうし…うわっ!」
しかしその考えはあっという間に崩れ去った。
悠斗の周りに農夫(農婦含む)たちが集まってきて次々に悠斗を褒め称えてきた。
これは揺さぶられ押されもみくちゃにされ悠斗は酔う一歩手前になりつつある。
やっとやって来て、この異常な風景に気付いたバーツが声をかけようとしたがもう手遅れだった。
「ぎゃああああああああああ!吐くっ!吐いちゃうから!」
悠斗の悲鳴が夕方になるまで続いたとか続いていないとか。
この話に意味不明な人がいるかも知れないのでこの追記をご覧ください。
新獲得称号
覆せない運命/アナザーデステニー
だいたい気付いている人もいるかも知れないですが一様説明。
神による自由行動/フリーオートを内蔵しこの称号を持っている人物が神のコントロール下に置く。
完全なる支配です。どう足掻こうと無駄という仕様。
これで悠斗を操っていました。悠斗の口調がおかしいのもこのせい。
あまりの鬼畜っぷりにこれを作った天使(いつか出るかも?)が封印を施していたとかいなかったとか。でもこれを持っていった神も神ですけどね。これは神も使ったあと消去しました。
設定無視しかありえない/ノブランテ
効果は概念の一定時間作成ですね。
簡単に言えば新たな規則をこの世界に作らせることが出来るということです。ぶっちゃければ重力を無視して走りたいとか作っちゃうことができる称号です。ただしこれにはある程度制限があったりするので戦闘には向かないタイプ。最大継続時間が5分だったりしますが、これも作った概念によってまちまちになりますね。
これにより神は指を鳴らしたら周囲の人が倒れるというとんでもない設定にしました。
次回はこの話の神サイドの後日談にする予定です。