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バーツと驀進と

第四話投稿です。

12/10改定しました。

 少しの間、悠斗は巨大猪の亡骸を見つめていると、猟師(仮)が興奮したらしく悠斗のところまで走ってやってきた。息を荒らげながら猟師(仮)は勢いよく喋りだした。


「あんた、すげえな!ここの主を一撃で倒しちまうんだな。」


あまりの勢いに少し下がりながら、悠斗は質問を投げかけてみる。


「ああ。で、主っていうのは、何?」


今度は、猟師(仮)が驚いたようだがその質問に答える。


「おいおい、知らないのか。さっきお前が倒した。あの大きな猪だよ。ランクG―醜悪な猪(バイス・ボア)だ。この森の中にいるんだから少しくらい知ってるだろ。」


 いや知らないけど。と言いそうになったがここで話すと更に興奮して質問攻めにあいそうなので心の中に留めておく。そのまま、猟師(仮)は話し続ける。


「そういや、お前、ここらじゃ見かけない顔だな。名前はなんつうんだ?」


 見かけるも何も転生してまだ30分程度しか経ってないので見てる人いないだろうと悠斗は思った。ここはそれとなくごまかせばいいかと思った悠斗は、それが悟られないように表情を変えずに答える。


「まあ旅人だからな。名前は蒼野裏…いや悠斗・蒼野裏っていうんだ。」


「へえ。ユートっていうのか。俺の名前はバーツ・クロイツっていうんだ。よろしくな。」


発音が若干違うようだがそこは気にしない。服はラフな格好だが、緑色の帽子から金髪が覗き、肌もけっこう日に焼けているがそれでもまだ白く、目も緑色だ。いかにも外国人っぽい(正確には異世界人?いや転生したのでそこは違う)。


 猟師(仮)改めバーツは先ほどまでの経緯を語りだした。狩りをしていたらしい。


「いやな。いつもなら朝の2~3時間で引き上げるんだけどな。だけど今日は神様が乗り移ったかのごとく獲物を仕留めたんだ。それで今日はこんなに時間を喰っちまった。」


バーツは指で弓を構えるまねをした。話の最後あたりは笑いながらだった。よく見ると腰にある弓の他にやけにでかい袋がぎっしり詰まっていた。あれが獲物なのだろう。


とここでバーツは話を変えてきた。


「ここであったのも何かの縁ってやつだ。どうだ。俺の村に来ないか、歓迎するぞ。」


悠斗は断る理由も道理もそこまでなかったのでそのままゆっくりうなずいた。


「にしても…」


バーツは醜悪な猪(バイス・ボア)の近くまで寄ると腹あたりを軽く叩いた。


「こいつどうやって運ぶんだ。」


悠斗はそれを聞いて、バーツの方に向かって言った。


「持っていけるか?」


バーツは首を振りながら言う。


「絶対無理だ。こんな大物を運ぶほうがばかげているぐらいだ。でかすぎる。」


悠斗も駆け寄ってみる。たしかに全長15メートル程もあるこの猪だ。とても人間には運べそうにも無い。


試しに少し持ち上げてみる。猪はびくともしない。ここで疑問に思ったことを言ってみる。


「じゃあ、このままおいて後から取りにくるってのは。」


「それは俺も思ったんだが、こいつはランク付きの大物だ。当然、村長のほうにもいち早く、言っとかなきゃならんだろうし…?待てよ。」


とここでバーツは黙り込んだ。不思議に思った悠斗だがなんとなくじゃましちゃいけない感じがしたのでそのままにしておくことにした。




5分ほど経っただろうか。悠斗が暇つぶしに木々ばかりの空を見ていると不意に、


「よしこれならいけるはずだ。」

 

 といって悠斗の方に向いて言い放った。


「このデカブツ(バイス・ボア)を吹っ飛ばしてくれ。」


 悠斗はワンテンポの間を置き、


「へ?」


となんとも間抜けな声をもらした。





「いいか。」


 とバーツは座って言った。


「なんだよ。」


ちょうど、反対側に座り返事をする悠斗。バーツは地面に拾った木の枝で描きながら言う。


「まずは…」


作戦はこうだ。


・悠斗が猪に向かってさっきの一撃で沈めた技(鉄鋼)を使う


・すると猪は転がりつつ吹っ飛ぶ(はず)


・木にひっかかった場合はバーツが持っている斧で切り落とす


・上を繰り返せばいずれは村につく


「…というわけだ。」


地面にはもうぐちゃぐちゃで何がなんだか分からない絵が広がっていた。悠斗は必要なかった、とつい思ってしまう。が、この作戦以外、妙案もないので悠斗はやってみることにした。バーツに教えてもらった村がある方角へ向きながらしゃべる。


「これ失敗したらどうする?」


バーツがそれを不満に思いながら言う。


「何を言ってんだ信じろ。俺の計算に間違いはないはずだ。たぶん…」


 そんなことを言ってるのだから信用できないのだが。と悠斗は思った。とはいえ悠斗は猪の方をじっとみる。大きいが太っていて若干丸い、なんとなく転がりそうだなと思う。 息を整え、目を瞑る。とりあえず吹っ飛ばす事だけを考えたほうがいいだろう。

 悠斗は先程のイメージのまま右手の軽く力を込め足を踏ん張る。動きをゆっくりにしてもいいからとにかく破壊力を重視で。考えはまとまった。悠斗はゆっくり目を開くそして足を蹴りながら放つ。


「『鉄鋼―重(テッコウ ジュウ)』。」


先程とは別格の手応え、悠斗は一気に振りぬく。


「あれ?」


あれほど手を中心にズシリという感じていた重みも消え去り、猪はボーリングのごとく木を薙ぎ払いながら、驀進していった。


「はは…結果オーライってやつ?」


バーツの呆れた視線が悠斗の心に深く食い込んだ。

悠斗式ボーリング発動な回でした。

新獲得称号

忘却武術/ロスト・アーツ

数は少ないが強力な技を扱うことができる。身体能力大幅アップ。

悠斗が適応する称号のなかで唯一の攻撃系(の予定)です。

実際は結構覚えづらかったりします。この世界では使える人は悠斗しかいないので、ほぼ気合で出すことが必要です。まあ緊急判断があるのであまり関係なかったりします。

1度覚えた技は結構応用が効くので手数も多い、みたいな感じにする予定。

実際今回、鉄鋼の発展系出しましたしね。

さて次回は村での話が始まる予定。

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