ベル・サンテ、稼働開始
その日、王都の、北の、川沿い。
白い、二階建ての、病院、ベル・サンテが、
ついに、
正式に、
開院した。
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「セレスティーヌ嬢、おめでとう」
ラファエルが、隣に、立っていた。
紺色の、長衣、銀の刺繍。
セレスティーヌは、白い、エプロンドレス、
ベル・サンテの、医師の制服。
「ラファエル様、感謝、ですわ」
「お互いさま、です」
二人は、テープを、切った。
集まった、職人、看護師、産婆、薬師、そして、ベル・エトワールの、ロザリーと、マチルダ、シャティヨン伯爵、サン・ジュスト公爵、マルゴ、王太子妃殿下からの、代理人、ヴェリエール子爵——その、全員が、拍手を、送った。
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最初の、患者は、その日の、午後、運ばれてきた。
平民の、女性、初産、子癇発作。
「セレスティーヌ嬢」
ラファエルが、彼女に、囁いた。
「お任せ、します」
「ラファエル様、お力、お貸し、いただけますか」
「もちろん、です」
ベル・サンテの、新しい、手術室で。
セレスティーヌが、執刀。
ラファエルが、傍らで、光属性治癒で、出血の、最小化を、補助。
産婆ギルドから、派遣された、ベテラン、マルタ・ラビニエが、看護を。
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三時間、後。
母と、子、
両方、
救命。
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「お見事で、ございます、お嬢様」
マルタが、深く、頭を、垂れた。
「私も、五十年、現場で、産科を、見てきましたが、本日のような、執刀、初めて、見ました」
「マルタ様、私一人では、できなかった。ラファエル様の、治癒、マルタ様の、ご経験、合算で、初めて、できたのです」
「ふふ、ふふ、ふふ」
マルタが、軽く、笑った。
「お嬢様、私、これから、五十年、もう、生きませんが、残された、時間、すべて、お嬢様の、お側で、若い、産婆たちに、新しい、知識を、伝えるのに、使わせて、いただきます」
「マルタ様、共に、参りましょう」
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その夜、
ベル・サンテの、屋上で。
セレスティーヌは、王都の、夜景を、見ていた。
ラファエルが、隣に、来た。
「セレスティーヌ嬢」
「うむ」
「これ、私の、母にも、見せたかった」
「ええ。私の、夫と、子供たちにも、見せたい、ですわ」
二人の、視線が、夜景に、向かった。
無数の、ろうそく、無数の、家、無数の、命。
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——、これ、
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——、緒方真理子の、
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——、二度目の、
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——、人生の、
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——、ようやく、
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——、本番の、
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——、
——、始まり。
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ベル・サンテの、第一号患者の、
母子救命の、
その夜、
王都の、
最も、
清らかな、
風が、
病院の、
屋上を、
抜けて、いった。




