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祭【味園ユニバース】

 2016年4月28日、夜。

 私は駅前の喫茶店で、テーブルを指で叩いていた。

 翌4月29日に大阪で行われる『KSB』への前乗りをするための待ち合わせをしていたのだ。

 KSBは数多くの格闘ゲームの大会が開催されるお祭りで、前年私は頭痛で行けなかったため、そのリベンジを果たそうとしていた。

 待ち合わせの相手はカオル。

 最近岐阜に越してきて、アリババに顔を見せるようになった『楽進』使いだ。

 DMが来て、仕事で少し遅れるから待っていてほしいとのことだったが、なんと私はそこから四時間も待たされることになった。

 ようやく現れたカオルの車に乗り込むと、そいつは謝罪もそこそこに、まだ仕事が残っているので職場の駐車場で待機してほしいとのたまった。

 その職場とは小学校である。カオルは教師だった。世も末だ。

 警備員に声を掛けられまいかと怯えながら、計五時間も待たされたが、行先はお祭りである。私は無理やりテンションを上げて、大阪までの車内を楽しもうと切り替えた。

 ところがカオルは車にエンジンを掛けるや否や

「じゃあ、等価交換なんで」

 と私にガソリン代を請求してきた。

 もちろん払うが、それは今か?

 などとごたごたしながら大阪に着くと、私は私が予約していたカプセルホテルで、明日に備えてとっとと寝てしまった。時刻は12時を回っていた。

 翌2016年2月29日。

 味園ユニバースは巨大な地下空間だった。

 そこらじゅうに様々なゲームのブースが設営されていて、まさに格ゲーの祭典といった具合だった。

 イラストコーナーやコスプレイヤーに目を奪われながら、恋姫のブースに行き、トーナメント票を確認すると、一回戦の相手は竜司。関東の名に聞く趙雲使いだ。

 今度は趙雲! 私は頭を抱えながらソファーに座り、時間を待った。

 途中、鍵さんが話しかけてくれたので、緊張がほぐれた。

 鍵さんは私の隣に座っていたプレイヤーとも知り合いなようで、和やかに会話をしていた。

「次、はきわさんと竜司さん」

 メガホンで呼び出しを受けて立ち上がると、同時に隣に座っていた男も立ち上がった。私たちは顔を見合わせ、そうなんですか? と確認すると鍵さんを含めて三人で笑った。

 さて、緊張は完全にほぐれたが、試合ではいいところなく完敗してしまった。キャラクターの相性もあるが、こればかりは実力の差だ。

 ルーザーズでは二回ほど勝ったが三回戦で負け、私のKSBは終わった。

 長い待ち時間のあと、ベスト4が壇上に上がった。

 彼らは会場中の視線を浴びながら恋姫をやった。

 私はうれしかった。

 他ゲーマーの人たちにもこのゲームを見てもらえることがだ。

 ちょっとでも興味を持ってもらって、一人でも人口が増えますように。そして願わくば一社に来てくれますように。

 誰が勝とうとどうでもよかった。

 私はただただそう祈った。

 なお帰りの車は、カオルが最初のパーキングエリアで根を上げたため、ほとんど私が運転することになった。


 岐阜に戻ると私たちはシドの家に寄った。

 ストリートファイター5のロケテストに誘われたのだ。

 一緒に恋姫をする機会はずいぶん減ってしまったが、こうして交流が続いていることに喜びと感謝を感じだ。

 なおカオルは貧乏ゆすりがうるさいとシドにキレられていた。


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