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冬の時代【ゲームハウスアリババ】

 家庭用『恋姫†演武』の発売は、普段ゲームセンターへ来ない層や、雑食の格ゲーマーにも広がり、その人口は爆発的に増えた。

 ランクマッチを選択すればすぐに誰かとマッチングするし、プレイヤーマッチの部屋を立てればすぐに誰かが入ってくる。

 いいことばかりのように感じるし、現に私もアリババへは車で40分、一社へは一時間半と走らなくても気軽に対戦できる環境に感謝し、喜んでいた。

 しかし、それは恋姫シリーズにと関わって12年、その間何度も経験してきた、冬の時代の訪れでもあった。

 異変はまず一社で起きた。当初10人近くいた対戦会の参加者が、日に日に減って言って3、4人が平常運航となってしまった。

 原因の一つとして単に飽きが来たというのもあるだろうが、家庭用でできるからわざわざゲームセンターに通わなくてよくなったというのが大きい。

 カジュアルな層は特にそうだった。

 一度負けただけで100円を失うゲーセンよりも、家庭用で延々楽しむほうがいい。

 私はゲーセンで他のプレイヤーと会話しながら、知識を深めたり、そのやり取りそのものに楽しさを見出していたのでそうはならなかった。

 それに家庭用でプレイしているとどうしても温まってしまう。勝てないことや、自分のミスを許せず、良くない気分になる。ゲーセンはそれを笑い飛ばせる場所だったのだ。

 そしてプレイヤーの減少はキャラクターの減少でもある。

 みながメインキャラばかり使い、少ない人数で高回転で回していたら、おのずと煮詰まってくる。実力が拮抗していたなら、まだそれもいいが、当時の一社にははっきりと序列めいたものがあった。

 なによりガチな空気感が楽しさを軽減させてしまう。

 私たちはその打開策として、各々様々なキャラクターを使って対戦した。

 自分が対戦していて苦手なキャラを自分が使えば対策にもなるし、わちゃわちゃとした空気を維持できる。

 異変は同時にアリババでも起こり始めていた。

 アリババ勢のみんなはそれぞれ他のゲームに夢中になり、対戦の頻度が激減していた。最後の方はただ一人やる気のある私のために、付き合ってくれていた形だった。

 私たちは仲が良く、すでに恋姫がなくても集まって酒を交わしたり、旅行に行ったり、コンパをしたりしていたので、ゲームセンターに集合する必要がなかったのだ。

 確かにPS4を起動すれば、無限に対戦が出来た。

 当時はニコニコ動画が流行っていたので配信者が多く、オンライン大会や対戦会などにも参加する機会が増えた。

 しかし、私は満たされなかった。

 私の心のありどころはボロボロの両替機であり、品ぞろえの悪い自販機であり、デモ画面を垂れ流すAPM2筐体にあったのだ。

 だが皮肉にも、家庭用で様々なプレイヤーと戦えることや、ゲーセンに残った猛者ばかりと連戦できたことは私にとってプラスで、この冬の時代は私を着実に実力者へと押し上げようとしていた。

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