第2話「情報収集」
異形の怪物の体が少しずつ溶け、高身長の白髪の老婆が段々と現れてくる。
「帰ったか...老いってのは厄介なもんだぜ。全く......遐ヲ縺ィ繧医kいるか?!」
人間には知覚できない発音で、虚空に向かい喋りかける。
周囲は崩壊中である。
数秒経ったあと若い赤毛のメイド服姿の女性が空間の歪みから現れた。
「はい...ここに。」
「あのクソガキを見張っとけ」
「必要なのですか...?あのものには力の一切を感じませんでしたが...?」
そう言いながらメイドは首を若干傾げる。
「まあな。でもあの頭は危険すぎる」
「確かに賢くはありましたが...」
「違う。あれの一番ヤバい所は賢しさじゃねえ。」
「......?」
若い赤毛のメイドはよく理解できていない様子だ。
「イカレてんのさ。そもそも、あの魔法は本気でこの世界について作られてると確信しなきゃ発動しねえ。確信だ。寸分の狂いも無い確信。私に気づいた奴でも心の底から確信なんて得れるはずが無ねえ。なのにあいつは来たんだぜ。紛れもない怪物さ」
「そうですねえ...どこかの誰かさんみたいですねぇ...」
赤毛のメイドは少し微笑んだ。
白髪の老婆は少し笑う。
すると何かに気づいたような動作をし、周囲を見回した。
「この世界。何か軽く無いか?」
「......?」
メイドは理解していない。
「ああ...なるほどな。つくづく......怪物め。」
「どうなさいましたか...?」
「盗まれたのさ」
そう言って老婆は笑った。
――――
俺はゆっくりと目を開ける。
戻って来たのか...。
情報をまとめよう。
俺は手の中にある物を見る。
そこには白い砂のような物があった。
俺はあの机に手を伸ばした瞬間あの世界の物質を回収したのだ。
適当な袋にでも後で入れて置こう。
あの神は怒っているだろうか?
まあ俺に激痛を与えた慰謝料という事で勘弁願おう。
それに怒っていたとしてもどうせ俺に関与出来ないんじゃないか?。
うーん...どうにかしてこれを解析したい所なんだが...。
そんな事を考えながら俺は自分の顔をまさぐる。
顔の血は止まっている......と言うより血なんて最初から出ていなかったようだ。
もちろん痛みは無い。何だったんだ?気になる点が多い。
世界大戦や俺をクルト・モウアにした事など...。
いや、今考えても仕方ないか...。
「ふう......」
俺は一息つく。
正直今思い返すと、中々恐ろしい事をしたもんだ。
あの世界特有の安堵感もあったのだろう。
気が大きくなってしまったのかもしれない。
まあ...今でも負ける気はしないんだが...少しやり過ぎた気もする。
いや、やってしまった物は仕方ないか。
そう思う事にしよう。
そして世界大戦云々だが...。
とりあえずあの神を信じることにしよう。
嘘つく意味もなさそうだしな。
嘘だったとしても何か問題があるわけじゃない。
神曰くこの世界は世界大戦が起こるようだ。
これはいい、いや全くよくないのだが今はどうしようもない。
一時保留とする。
俺は神との話を思い返す。
なんだろう...。
変だ。
話す気が無かったのか全く話は通じていなかったが、それでも情報は得られた...。
これは勘だが、あの神は俺に情報を伝えたかったんじゃないだろうか。
それも隠しつつ。
そうで無ければ俺と直接会った理由が思いつかない。
直接言えない理由でもあるのだろうか?うーむ分からん...情報をくれるなら、箇条書きでメモに書いてほしい...。
まあでも、目的は決まったな。
俺は平和に安らかに暮らすそのために世界大戦を防ぐ。
それ道はきっと平和とは程遠いだろう。
しかし、世界大戦の事を知っているのは多分多くない。
俺だけの可能性すらある。
俺なんだ、俺が何とかしなければならない。
自分のために。
俺はざっと世界大戦を止めるための方法を考えて見る。
まず、相手は政治家、この世界で言う所の貴族相手の影響力を得なければいけない。
その方法はいくらかある。
まず金。
金を大量に稼いで賄賂なり、なんなりで言う事を聞かせようという作戦だ。
俺には前世の知識がある。
金その物は稼げるだろうが、時間がかかり過ぎる。
もし金を稼いでいる時に世界大戦が起きたらお話にならない。
これはダメだ。
次に仲間。
まあ...仲間というと対等な感じがでるが...。
端的に言うと、貴族に擦り寄って裏からそれとなく操ろうという作戦だな。
一番可能性があると個人的には思う。
仲間......少なくとも対等になりたいところだが、貴族は往々にしてプライドが高く、俺は平民。
つまり対等は無理という事だ。
諦めよう。
どちらの作戦にしても今は無理か...。
よし。
俺は今後の方針を決めた。
一旦はあの神が言っていた、時と言うのを待とう。
時が来たら西へ行けと言っていた、逆に言うと時が来るまではここにいた方がいいとも考えられる。
そして、タイミングを狙って貴族に擦り寄る、または金を稼ぐ。
良く言えばケースバイケース。
悪く言えば受動的な作戦だな。
言い訳をさせてもらうと、やる事のスケールがデカすぎで、明確な方法など立てようがないのだ。
だが、今はこれでいい。
それまではこの世界について情報を集めよう。
俺は知らなさすぎる。
そうして俺はある程度の筋道を立て、自分が寝室に居る事を思いだし、眠った。
――――
そんなこんなで神との邂逅から二年の月日が流れた。
現在六歳である。
俺は父さんの読み聞かせと家にあった本で何とか情報を得ることができていた。
喋れると書けるの難易度の違いを思い知らされた二年間だったな...。
と言うかこの本が難しすぎるのだ。
論文を読んでいる感覚に近かったぞ...。
しかも読めたところでこの世界の常識が無いため訳が分から無いと言う...。
父さんと母さんは
「モウアは勉強家だねえ...ミシーナ、君も見習うべきだと思うよ」
「わたしにはリドが居るから必要ないわ!」
「ミシーナ...」
と言っていたラブラブである。
ああいうのは子供の教育上よくないと思うのだが...平和でなによりだね。
本の内容をまとめてみると、まず魔法の種類は、
1魔法の種類
・攻撃魔法
・結界魔法
・固有魔法
この三つだった。
回復魔法のようなものはないらしい。
攻撃魔法は文字道理、火を飛ばしたり、水を飛ばしたり、攻撃をする魔法だ。
単に魔法と言われたら、大体これを指している。
ちなみに属性のような物があり、
火、水、土、風、の四つだそうだ。
結界魔法も文字道理であり、結界を構築する。
結界にも等級があり、等級が上がると複雑な効果や効果自体が強くなるそうだ。
そして固有魔法、選ばれた人間にしか使用できない。
その人独自の魔法らしい。
それは一般的な魔法より効果が優れていたり、使用する魔力量が低かったりするそうだ。
ちなみに第四等級以上の魔法は全て固有魔法だ。
つまり、努力で会得出来るのは第五等級の魔法までと。
固有魔法は選ばれた人間でも一つ、稀に二つ持つ人間もいるらしい。
ギフテットって奴なのかもしれないな。
俺も前世はそう呼ばれてた気がする。
2発動方法 ・詠唱のみ
基本詠唱が必要だそうだ。
等級が上がるほど詠唱が複雑になるらしい、詠唱は理論上イメージで行けるという説もあるみたいだ。
まあこれはほとんど都市伝説レベルらしいが...。
一応、長年同じ魔法を使用しつつけたり、ずば抜けて魔法を使う感覚が高ければ、詠唱の短縮と言うものが出来るが、それでも完全に詠唱を無視することは出来ない。
ちなみにこの本には現在発見されている魔法すべてと、魔法の詠唱は暗記済みである。
暇だったからね。
そしてさっきの固有魔法には詠唱がない。
だから普通の人は使えないということだそうだ。
3魔力について
魔力は大気中に存在して、生物は常に吸収しており、その量は人間が格段に多い。
現段階で魔法を使える生物は人間だけなんだそうだ。
生きているだけで魔力を使用できる最大値のような物が減っていくんだそう。
100の魔力量を持った人間は40年経過すれば、60の魔力量を持つイメージか?
そして使用可能容量が減っていくと最終的に衰弱死...つまり老衰に成るんだと...。
まあ真偽は不明である。
諸説ありって奴だ。
4魔物について
魔物とは簡単に言うと異形の獣、一応は生命体らしいが、食事を必要とせず、人間に対して異常なほどの憎悪を持っているそうで、しかも人間を見た事無いはずの魔物でも同様らしい。
魔物は一般に魔力が溜まっている場所。
つまり人間の往来が少ないところほど強力な魔物がうまれるらしく、森の最奥や山の山頂、海底などは、どうやら人間が住めないほど危険領域となってしまっている。
なんとも不思議だ。
まあここまでは問題ない。
問題は等級ごとに重篤な精神汚染を与えるのだ。
しかも見ただけで。
これには個人差や経験による差がある。
ちなみに第八等級から第一等級に近いほどその精神汚染の度合いは強くなるらしい...。
魔物と精神汚染のつながりが分からない...父さんに聞いてみたが、的を射た回答は得られなかった。
あの神は何か知っているのだろうか...。
これは捕捉だが、低い等級の魔物に出会うと目鼻から出血したり、等級の差が大きすぎた場合ショック死のような事も起きるらしい。
それは精神汚染の範疇を超えている気がするが...。
詳しくは分からない。
あの神なら知っているだろうか。
そして、ここからは予想だが、俺が神と出会った時の出血はそれが原因だと思う。
もしかすると、あれは分類上魔物に位置するのかもしれない。
魔物の特性だけを持った神...みたいな......。
我ながら荒唐無稽だな。
まあ魔法についてはこれくらいだ。
そして家にはあと二つ、植物図鑑と魔物大全と言う本あった。
ちなみに全部覚えた。
覚えるのはかなり得意...というか一度見た物や情報は基本的に忘れない。
前世の教育のおかげなのか、単純に才能なのか、前世で物心ついた時から出来ていた。
そして植物図鑑だが、人を痺れさせたり眠らせたりする花など、地球では考えられなかった生物や植物があり興味深かった。
いやもしかすると前世にもあったのかもしれないが...。
さて、どうしてこうやって本の内容をまとめているかと言うと、今日は父さんが俺の魔法を見てくれることになっているのだ。
その前に、改めてこの二年間で本から得た情報を整理しているという訳である。
俺は魔法を使ったことは無い。
なぜか?自分の魔力以上の魔力を使うと灰になって死ぬのだ。
魔力=生命力という事らしい。
具体的に言うと魔力を使い過ぎた場合生命活動に支障が無い部位から灰になっていくそうだ。
怖すぎないだろうか...。
正直魔法なんて使いたくないんだが...。
そういう訳にも行かないか。
ちなみに一部の達人は、ギリギリ生命を脅かさない程度に体の一部を触媒のような形にして、自分の持つ魔力以上の魔法を行使するそうだ。
例えば髪などを伸ばした状態で、自分の持つ魔力のほんの少し上の魔法を使う事で、髪のみが灰になる。
そうして自身の魔力より少しばかり強力な魔法を使うらしい。
俺はそれを見習って髪をすこし伸ばして、後ろで括っている。
年齢も相まって女性らしいシルエットになってしまったな。
もちろん自分の肉体を使いたくはない。
怖いし...。
だが備えあれば憂いなしとも言う。
やっていて損は無いだろう。
そんな事を考えていた時だった。
「モウア準備ができたからおいでー!」
外からリドロフが話しかけてくる。
「はーい!」
俺は庭に出た。
見ると二人がおり、そして地面にぶっさした棒に丸太が括りつけられた物が数個ある。
庭自体は、よく整備された土に、小さな花壇がある。
リドロフは几帳面だ。
多分彼がやっているのだろうな。
俺がそんな事思って居ると、リドロフは膝をおり、俺に目線を合わせると口を開いた。
「おはよう。モウア。言って居た通り今から魔法の練習だけど......怖くないか?」
「大丈夫!」
「そっか......。僕は最初使う時は怖かったなあ...」
リドロフはボソリと言った。
彼はいつもそうだ。
俺に目線を合わせてくれる。
嬉しい。
「じゃあ今から魔法を使うね、よく見ているんだよモウア」
「うん!」
そう言うとリドロフは構える。
「火の神アグニよ穢れなき火を生み出したまえ、ファイヤーボール」
30㎝ぐらいの火が生成され、丸太に飛んで行ったボッ!と音とを立て着弾した。
丸太は少し焦げているようだ。
すごいな、人に当たったらひとたまりもないんじゃないか...?
「ゆっくりでいいからやってごらん?」
「わかった、ちなみに第八等級ファイヤーボールって言うのも詠唱なの?」
「そうだねぇ、これは集団で戦うと時用の癖みたいなものかな。魔法名でどんな魔法が来るか前衛が気づいて連携をとることができるのさ、魔術師は基本後衛だからね...」
確かに戦ってるとき後ろから火の玉飛んで来たら怖いよな...。
「まあいいじゃないか、詠唱は覚えたね、ゆっくりでいいからやってみて」
リドロフは軽く言う。
正直かなり緊張するな。
俺に出来るだろうか...。
俺は頭脳なら相当の自信があるのだが、それ以外はからっきしダメだ。
「わかった、やってみるよ。失敗しても怒らないでね?」
俺がそう言うとリドロフは少し笑う。
「怒らないよ。絶対ね」
「そっか...分かった。じゃあやってみるよ。火の神アグニよ穢れなき火を生み出したまえ、第八等級、ファイヤーボール!」
俺はリドロフの見様見真似でやってみる。
すると俺の手に火が生成された。
数十センチぐらいだろうか。
俺は思わず息呑む。
なんたって手から火出ているのだ。
少し熱い...か?。
想像道理と言えば想像道理だが、やはり自分で魔法を使うのは興奮するな。
これを飛ばっ...! と...! 飛ばない...。
そもそもリドロフのよりちっさくないか?目算10㎝といった程度だ。
すると俺の手の中の火はゆっくりと無くなった。
「んー?そうだねぇ、モウアは魔法の適正が無いねえ」
「ッ...!」
マジかよ...この世界で魔法がどれ程の物かは、わからないが、もしかすると相当な問題なのかもしれない。
魔法を使えない奴は息子じゃ無いとか言わないよな...?
「ごめん、父さん...」
出来るだけ同情を誘う顔で言ってみる。
いま捨てられるのはまずい。
この村周辺は結構寒い。
死にかねないのだ。
「大丈夫だよモウア、魔法の適正がある人は多くはないし、それに適性が無くても第八等級くらいなら使えるようになるからね」
そう言うとリドロフは俺の頭をゆっくりと撫でた。
そうなのか、ひとまずよかった...のか?
まあ少なくともリドロフから落胆に近しい感情は感じなかった。
そもそも両親から俺に対するマイナスな感情を感じたことはないのだがな。
「ちなみに、魔力を使い続けると、魔力量が増えたり...?」
「しないね...」
しないんだ...つまり俺は第八等級のみで、大した回数も使えないと...。
まあいい魔法がダメなら剣だまだ俺には剣がある。
「じゃあ母さん剣を教えて?」
ミシーナなら了承してくれるはずだ。
するとミシーナの顔がキラキラして、すぐに暗い顔になった、何か嫌な事でも思い出したのだろうか。
「うーん、そうねえ...ダメよ...速心流はだめ...」
しおらしい声だ。
ミシーナのそんな声は初めて聞いたかもしれない。
速心流というのはミシーナが使っている剣の流派だ。
良くない流派なのだろうか。
剣自体には興味を持ってほしいらしいが...。
「わ、わかったよ」
まあいいか、俺の目的は平和に生きるため世界大戦を止めるんだ。
直接戦う訳じゃない。
戦うとしても誰か雇えばいい。
「いいじゃないか、魔法が使えなくても、モウアは賢いんだから」
「...そうね!」
ミシーナのバカでかい声が響く。
こういう時、彼女の声はすごく心強い。
「ありがとう、頑張るよ!」
そうだな。
よし取り合えずできることからやっていこう。
せめて第八等級の魔法ぐらい使えるようにならなければ。
もしかすると第七等級以上の魔法も使って見れば意外と出来てしまうかもしれないし。
「あ!そうだモウア...第七等級の魔法は使っちゃダメだよ、死んじゃうからね...」
見透かしたように優しい声で父さんがそう言った。
「ッ...!、はい...」
やっぱり死ぬんだ...本でそう書いてあったが面と向かって言われると急に現実感がある。
第七等級の魔法を使うのは辞めよう...絶対に...。
そう俺は誓った。
――――
俺は今日記を書いている。
この二年間で得た知識と、出来れば昨日やった事や今日やろうとしていたことなど、出来るだけ詳細に...。
情報を詰め込むように...。
神は人間には予測できないような事を起こせることが分かった。
前は記憶を消したりはされなかったはずだが...そういった事が出来たとしても不思議はない。
しかしもし記憶を部分的に消したのならなにか違和感を感じるはずだ。
その違和感を手繰り寄せるのにこの日記は使える。
そう思い書き出したのだ。
まあ...理由としては暇だったからというのが大きいかもしれない。
それに神に対してなんの対抗策もないのは少し不安だ。
余り意味は無いかもしれしれないが、それでも日記を書くことで少しでも対策がしたいのだ。
やらないよりはましである。
ちなみにだが、紙は皮を使う羊皮紙ではなく、前世でも見た紙だ。
これでこの世界の文明を推定しようとし...推定15世紀~16世紀辺りと結論は出たのだが、よく考えれば俺の前世に魔法は無かった。
つまり、この世界にはこの世界の文化と文明がある。
俺の前世に当てはめるのは危険だろう。
よく考えれば当たり前だったか。
なんなら一部、俺の前世の文化が混じっているように感じる。
滅茶苦茶だ。
歴史学者とかが見れば泡を吹いて倒れるかもしれない。
まあ...ゆっくり、気長にやって行こう。
スケールの大きさ的に俺が焦った所で何も変わらんだろうしな。
―――
そうこうしている内に数か月程が経過した、現在第八等級の魔法をリドロフと練習中である。
この数か月間は特に代わり映えしない。
暇だ。
そんな事を思って居るとリドロフが思いついたように口を開いた。
「そうだ、そろそろモウアも学校に行ってみないか?少し早いけどモウアは賢いから大丈夫だと思うんだ」
学校か...この村には無いと思い込んでいたな。
たしかにこの世界の基本的な常識を学ぶのにはちょうどいいか...。
「ヘルネス聖王国から派遣された教会の人達が学校を開いてくれているんだよ」
ほう...へルネス聖王国ねえ...聖王国と言うからには宗教国家なのだろうが...。
まあ後で調べよう。
あれ?ちょっとまて、俺まだ6歳だぜ?
学校なんて行けるのか?
「そうなんだ!大体何歳ぐらいで通いだすの?」
「そうだなぁ、十歳くらいからかなぁ...」
ええ...それって小学5年生ぐらいだよな?父さんは俺の賢さを評価しすぎではないだろうか...。
「モーちゃんいじめられたら言いなさい!住んでる家ごと消し飛ばしてあげるわ!」
いつの間にか庭に出ていた母さんがそう言う。
怪獣かな?
「うん...それは別にいいかな...」
そうして魔法の練習を終えて自室に戻った。
数か月程の練習のおかげで第八等級の魔法ならおおよそ使えるようになった。
父さんからは
「簡単な魔法を覚える才能があるよ!」
と言われた。
適正が無いらしいが、覚える才能はあるね...。
あんまり嬉しくはない。
そしてなし崩し的に一か月後に学校に行くことに決まった訳だが、どうやら学校と言っても日本で言う塾見たいな形で経営スタイルで、まあほぼボランティアみたいなものらしい。
割とどこの村でもあるようで、治安維持と義務教育の役割を担っているそうで、それらを行う代わり布教させろというのが基本的なスタンスのようだ。
戒律は
神を愛し尊重しなければならない。
父母を敬わなければならない。
殺しをしてはならない。
姦淫(男女間の倫理の無い肉体関係)をしてはならない。
盗みをしてはならない。
嘘をついてはならない。
己以外を己と同様に愛さなければならない。
魔物を許してはならない。
信仰を押し付けてはならない。
など。
地域によってある程度戒律に差はある物のとりあえず、今の戒律を守っておけば大丈夫らしい。
まあ...印象としては普通というか...割と当たり前というか...よく考えれば国単位で信仰されている宗教にトンチキな戒律などある訳ないか。
まあ、この宗教には概ね納得したのだが、子供の時から教会で祈りを捧げ信者を増やす。
ここに少し恐怖感というか、それやっていいの?とツッコミたくなるのは俺が無宗教なのが原因か、もしくは俺の前世が関係しているのかもしれない。
まあ一応、信仰を押し付けてはいけないという戒律があるため露骨な布教はしてこないが...実情は微妙なところである。
ちなみに聖王国では国王を神に最も近い存在、神の使いとして扱い尊重しているらしい。
中々宗教を上手い事政治に利用したもんだな。
実際聖王国は治安が良いそうだ。
ちなみに聖王国で信仰されている宗教は聖教というらしい。
そのまんまだな。
そんなこんなで、俺が学校に行くことは決まったのだが...一か月ほど空白期間が出来てしまった。
魔法はもう使えるようになってしまったし、家にある読み物は大体読んだ。
さて、どうしようか...。
そんな事を思って居るとふと窓が目に入った。
外...出てみるか?
もし良ければ☆☆☆☆☆から評価。
感想をお願いいたします。
作者が喜びます。




