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過酷な世界で生きる  作者: バトルマスター幸恵
第一章 過疎村編
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第1話「転生と邂逅」

俺が産まれてから約半年間の月日が流れた。

俺はこの女と男の子供だったようだ。

名前はクルト・モウアである。


ちなみに両親も俺もアジア系の顔つきでは無い。

ここは一体どこなんだろうか...。困惑はある物の、少し慣れて来た。


俺は精神年齢が約24歳なことを除けば元気な元気な黒髪の男の子である。

女性、いや母さんはクルト・ミシーナ。

二十台前半といったところか。

父さんことクルト・リドロフはもう少し老けている。


そしてどうやら俺には前世の記憶と言うべきものが残っているようだ。

俺がある種二度目の人生を謳歌出来るというのは幸運なのかもしれない。

今度は失敗しないように、満足いくように生きなければ...。


まあそれについては特に問題はないのだが、問題にすべきなのはこの体の元で生まれるはずだった。

本当のクルト・モウアだろう。


もし人格を乗っ取ってしまっていたのであれば正直かなり罪悪感がある。

本来であれば三人家族で幸せな暮らしをしていただろうに生まれてきたのは歪み切った自意識のクソガキだ。

ちなみに俺の前世の記憶はかなり鮮明なのだが、自分の名前やなぜ死んだかなど、少し抜けがあるようだ。



俺は周囲を今一度見回す。

家はしっかりしている物の木製であり、電気、ガスも無い。

今住んでいるのが後進国なのかまだ発明されてないのか...。

まあ、恐らく後者だろう。


まあ...薄々感じていたがここはきっと日本では無い。

というか、地球では無いらしい。

正直余り驚きは無い。

いや、違うか。

俺には未練が無いのだろう。

家族はみんな死んでいる。

悲しむ人も居ない。


さて、目標でも決めるか。そうだな...。

この世界についての情報集めそのための言語習得としようか。

早くこの世界全体の文明レベルと文化を知りたい所である。


前世の記憶のせいか余り言葉を習得できていない。

もしかすると脳のリソースを前世の記憶が埋めてしまっている可能性もあるな...。


俺としては、ハイハイによって情報収集としゃれこみたいがまだ若干首が座っていない。

高速でハイハイをかますとヘドバンみたいになるのだ。

痛いし。


それにほぼすべての時間母さんことミシーナに抱っこされている。

まあ言語の習得はゆっくりでいいだろう、時間があるのは赤子の特権だな。



――――



そうこうしている内に4年間の月日が流れた。

俺の脳みそが物理的に大きくなったおかげか、ある程度この世界の言語を喋れるようになってきた。

ちなみに今は俺とミシーナとお勉強中だ。

彼女は俺に『数』を教えている。


「見て!これが1でふたつで2になるでしょ?!」

ミシーナの怒号が飛ぶ。


怒号と言っても怒っている訳では無い。

ただただ声がデカいのだ。

俺以外なら確実に泣いているぞ。


「うん。わかったー!」


俺は四歳の振りをしながら返事をする。

俺の実年齢など言える訳が無い。


両親の性格は典型的な善人だ。

実際両親から感じるのは、心配と愛情。

なので余り不信感を抱かせたくない。

それは余りにも不義理が過ぎるし、これが本来のクルト・モウアの人格を奪ってしまった

可能性がある俺の義務だとも思う。


「二つが二つあれば四つになるでしょ?!」

そう言ってミシーナは指を立てる。


「そうなのー?」

「そうよ!!」

「そっかー」


ミシーナは教えるのに向かないらしい。

とは言ってもある程度分かった事もある。


まずここがとてつもなく田舎だという事。

家は30数軒、広い草原に遠くだが森も見えるな。

森を超えると少し大きめの町があるらしく、そことの取引で村は成り立っているようだ。


ここの土地は土壌が素晴らしいそうで取引は主に農業製品である。

そして森の反対側には山脈があるようだ。

控えめに言ってすごく好みの立地である。

正直こういう田舎憧れてたんだよなぁ...。


そしてリドロフが農家だという事。

家の横の農地で農業をしている。

俺の前世ではこのぐらいの文明で農家と言えば大体奴隷の仕事だった。所謂農奴という奴だ。

重税で自由が無く、疫病による死亡率も高い。


だが、この世界はそうでも無いらしく、200年程前に大飢饉が同時に起こったそうで

農民が死に絶えたそうだ。

そこから地位と税は緩和傾向になったのだと。


疫病は...まあ......。

一応気候的に水が取りやすくためか俺の知っている時代より疫病のリスクは低いようだが。

まあ......どうしようもないよな。こればっかりは...。


ちなみにペンダントは結婚の印だったらしい。

こういう所を見るとこの世界が俺の住んでいたとこ場所では無いと気づかされるな。


そんな事を考えてながら、ミシーナとの勉強に興じていた時。

玄関がゆっくりと開いた。


「おーい、ミシーナ! 帰ったぞー」

リドロフが農場から帰ったようだ


「リド!私そろそろ魔物を狩に行くわ!剣もなまっちゃうし!」


「だめだよ...モウアだってまだ4歳なんだぞ?、家に一人で置いておけないだろう?それにね...それに君は余り魔法が得意ではないんだし、魔物を狩に行くとしても体を慣らすとかだな...」


「リドは心配性なのよ!大丈夫よ何とかなるわ!私にはリドがいるもの!」


「ミシーナ...」


リドロフの口角があがる。

嬉しそうだ。ラブラブだな。


というか4歳の子供を家に一人にするのはおよそ正気ではないと思うのだが...。

まあいい、そんなことよりも気づいたことがある。


というかうすうす感付いていたがこの世界、いわゆる剣と魔法の世界なのだ。

剣はミシーナが振り回しているし、リドロフが魔法を使っているのを遠くから見たことがある。

よし。ここらへんか。

俺はタイミングを計って口を開く。


「魔法ってなにー?」


そう、こうやって会話を深堀するこで情報を収集するのだ。

あくまでも俺は四歳という事になっているからな。

俺のためにも彼らのためのにも、演じなければ。


「おー!モウアは魔法に興味があるのかぁ、今日寝る前に僕の魔導書を読み聞かせてあげるからねぇ」


「わーい!」


へえ...魔導書。

そんな物があるのか...。

娯楽はほとんど触れてこなかったが魔法と言うのはやはりテンションが上がる。

これはもはや宇宙の法則と言っていいだろう。


「魔法なんて必要ないわよ!相手が動く前にぶった切ればいいのよ!」


ミシーナの大声が響いた。


無茶苦茶すぎる。

なんだそのスパーストロングスタイルは...。

リドロフもこれには思わずだんまりだ。


「ぼく魔導書みたーい」


「クッ...」


ミシーナがしぼんだ風船のようになってしまった。

反対にリドロフは少し嬉しそうだ。


「分かった。じゃあ読み聞かせの前に、魔法の基本だけ説明するね。まず生き物はみんな魔力というものををもっているんだよ。特定の言葉を言うことによって魔力で不思議なことを起こすことができるんだ。弱い方から順番に第8等級~第1等級まである」



ほう...等級か、具体的なレベル感が知りたいところだな...。


「どんな魔法があるの?」

「そうだね、やってみるから見ててね、水の神へケトよ穢れなき純水を生み出したまえ、ウォータボール」


大気から水をかき集めるように水が生成していく。


凄い...。

父さんの手のひらに水が集まって玉みたいになっている。

両手サイズだ。するとボトリと水の玉が落ちた。


「みたかい?、これがウォーターボールだ」


この魔法はウォーターボールと言うのか。

ウォーターボール...ウォーターボールねえ......。

なにか言葉に引っ掛かりを感じる。

なんだ?それはおかしくないか?


その時、俺の中に嫌な仮説が浮かぶ。

俺はこの瞬間もっとも気づいてはいけないことに気づいたのかもしれない。


「なんでウォーターボールなの?」

恐る恐る聞いてみる。


「それは...確かに何でだろうな...考えた事無かったよ」


リドロフは言う。

疑問が確信に変わった音がした


「そうなんだ...眠くなってきたから先に部屋に行くね、読み聞かせは明日でお願い」


「?、おお...わかった...」


リドロフは困惑している。

ああ、少し流暢に話過ぎた。

怪しまれたかな?まあそれは後でいい。

今はそれどころでは無いのだ。


俺は逃げるように寝室に移動する。

なるほどこの世界はおかしいということが今ので分かった。


まず水を生み出したという事である。

大体成人男性の両手分の水。大気の水を集めたにしては量が多すぎはしないか...?


概算と目視で正確性は余り無いが、計算すると、大体あの部屋は十五畳程度。

面積にすると約24平方メートル、高さ2,7メートル、つまり体積は約65立方メートルだ。

気温10度ぐらいとすると空気中の飽和水蒸気量(大気に存在出来る水の量)は一立法メートルあたり、大体10グラム程度...。

だった気がする。


正直ここら辺は余り自身が無い。

小学生の時、化学の資料集で見た記憶を何とか引っ張ってきているだけだからな。


まあ...ここまでの仮定が合っているとすると、計算結果としては、あの部屋の水分は約550グラム程度。

つまりリビングの湿度が仮に100パーセントだったとしても、ペットボトル一本分しか大気に水は含まれていないのだ。


あの水は成人男性両手分。目算で2キロはありそうだった。

つまり大気中から水を集めているように見えて、実際は水を作りだしているのだ。


水を作り出すのはおかしくないか?

俺に高度な科学知識が無いので正確な事は言えないが、魔力というのがどう作用しても水を作りだす。

そんな結果にはならないはずだ。


一応水素(H2)と酸素(O2)の化合は有り得るだろうが、そんなスムーズに反応する訳では無い。

加熱や触媒が要る。つまり、物理的におかしいのだ。


二つ目に、ウォータボールという名前だ。

これは当然英語を知る者からの知識。

偶然英語に似たとは考えにくい。


つまり、

英語を知っている物が魔法を作ったという事になる。

魔法の発明だぞ?世紀の大発見だったろうに、語源はもっと有名になるはずだ。


知らないなんて事あるだろうか。

仮にあったとしても、リドロフは考えた事が無いと言ったのだ。

そんな事あるだろうか。

まるで意図的に隠されているようだ。


そして三つ目に、特定の文言で魔法が使えるという点だ。

ここは根拠があるわけではないが既視感がある。

ゲームのプログラミングに似ているのだ。


特定のコードを入力し、特定の結果を得る。

コードにはもちろんだが作成者がいるよな。


そうして以上三つから導いた俺の結論はこうだ。

『この世界は誰かに作られている。』

俺がその結論に至った、その瞬間だった。


「グッアアアア!!!」

俺の口から自然に漏れる。


頭が痛い!なんだ...何が起こっている...?

意味が分からない...!

俺が生涯で感じた事のないような激痛を感じる。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

目の裏側がチカチカする。

ものすごい耳鳴り...頭をゆっくりとつぶされているような...


この痛みのトリガーはこの世界の神について気づくことか!

クソ...!俺の意識は落ちかける。

その瞬間。

白い大きい何かが、視界の端に映った気がした。


そうして俺は耐え難い激痛の中倒れた。





――――


何が起きた?俺はゆっくりと目を開ける。

どうやら俺は床で気絶していたらしい。

痛みはもうない...なんだろう...村全体がものすごく静かだ。

まるで時が止まったみたいに...


「ふう...」


俺は深呼吸をする。

状況を整理しよう。

俺は寝室でこの世界の事に気づいて、感じたことのないレベルの痛みを感じて、倒れて...なるほど、何も分からん。


その時、俺は口の中の違和感に気づく。

何かが入っている...?手を入れて取り出してみると、それは俺の欠けた歯だった。

まだ乳歯であるため脆いのか、俺が歯を食いしばったタイミングで欠けてしまったらしい。


「まあ...いいか...」


とりあえず俺は寝室の扉を開けてみることにした。

その瞬間俺の目に飛び込んで来たのは階段である。


先が見えないほどの長い階段。

左右は木製の壁、天井は見えないほど高い...

これは...流石に行けないよな。

俺はそう考え扉を閉め、後ろを振り返ってみると


「...は?」


階段があった。

これまた先が見えないほどの下り階段だ。

ふと前を向く。

そこにはどこまでも続く上り階段があった。

扉は無くなっている。

そもそもこの家は一階建てで、階段は無い。


そしてここに来て気づいた事がある。

俺は前世からビビり寄りの人間だった。

しかしここは不思議なほどに嫌悪感や恐怖感がない。

安らぎに近いだろう。

ベットの上でウトウトしているような...そんな感じだ。



とりあえず上るか...理由はない。

しいて言うならなぜか感覚的に登った方が良いと感じるのだ。


そして自分でも何分か分からいほどの時間が経った。

いったい何分経ったのだろうか、数でも数えておくべきだったか。

そんな一抹の後悔を抱えながら俺は歩く。


階段はドンドンと古ぼけた風貌に変わっていき、ある場所には苔が、ある場所には謎のシミがあるようだ。

まあいつか着くだろ。




――――


歩き続けてかなりの時間が経った気がする。

多分この世界では疲れを感じないのだと思う。

ノンストップでずっと階段を歩けているし...。

そのせいか時間の感覚が分からない。


俺が階段を上るごとに生えている苔の量が増えているようだ。

数本の花も見える


「これは...トリカブト......?」

言わずと知れた猛毒の花。球根に毒があり、成人男性も死に至らしめる程のものだ。

今の俺が食べたら死は免れないだろう。

もちろん食べないが...。どうしてこんなところに?



俺がそんな疑問を感じていた時だった。

「なんだ...?」

遠方に行き止まりが見えた。

俺は早足で駆け上がる。


「ッ...!」その行き止まりで俺が見つけたのはドアだった。


ついたんだ...俺はすこし安堵ような物を覚えた。

いくらこの場が安らぐとは言え、そろそろ流石に心配が勝ってきた所だったのだ。


ドアを開けてみる。

そこは寝室だった。

最初に居た寝室。

そこにつながっているようだ。

なるほど、意味が分からん。

そんな事を思いながら部屋を確認した時。俺は気づく。


そこには化け物が居た。


それは白色の髪を肩までたらした二足歩行の生命体。

特筆すべきは指だ。

胴体が本来ある位置にとても大きな親指が生えている。

そしてその親指から本来生える位置に足が二本。

手が二本と、さらに背中から数えきれない程の手が生えていた。


まるで触手。身長は190㎝くらいだろうか。

でかいな...そして異形の姿なのに何ら不快感が無い。

神秘的なのだ、引き込まれそうに、跪きそうになる程。



「ああ...よく、歩いたな」

目の前の化け物が喋る。

いや、正確には喋ってはいないのだろう。

口が全く動いていない。


そして重大なことがもう一つある。

感情が読めないのだ。

落ち着け。大丈夫。情報を繋げていくんだ。俺は自分に言い聞かせる。


目の前の生命体はきっと神、またはそれに準ずる物なのだろう。

俺がクルト・モウアになったのは、こいつのせいなのか?あの階段は何の意味があったんだ?頭の中で疑問が渦巻いている。

落ち着け...落ち着け...自分に言い聞かせる。


こいつが人間と同じ価値観を持っているとは考えにくい。

意味など考えてはダメなのかもしれない。ともかく俺が今できる事はできるだけこいつから情報を引きだすことだ。

神から話を聞けるなんてまたとないチャンス。

そう考えるんだ。


「僕をこの世界に呼んだのは貴方ですか?」


一番聞きたかったことをできるだけ冷静を装って声をかける。


「戦争が起きるぜ、三大国を巻き込んだ人類初の世界大戦だ、お前は戦争に参加することになるだろう、ただ生きているだけで、だ」


なるほど、まったく会話のキャッチボールができない。

俺の苦手なタイプだ。


「僕は戦争なんて参加しませんよ」

「種を撒き芽吹いた毒虫達と、神格は戦いあい、そうして一人を献上するんだ、未知とお前は消えさる事になる」


...なんだこいつは、意味の分からない世界に読んだ挙句激痛を与え意味の分からないことを喋り続けている...俺の中に何とも言えないイライラが募っているのが分かる。


「戦争は炎だ、淀んだ血涙を勝利に捧げるんだ」



本当に何を言っているのか分からない。

さて、どうしたもんか...そんな事を考えていた瞬間だった

。俺の中に一つの言葉が浮かぶ。藪蛇か...?

いや、こいつだって無茶苦茶言って居るんだ。

少しくらい良いだろう。



「戦争は僕が止めますよ」

俺は一言そう言った。



世界大戦...この世界だと第一次に当たるのか?

世界大戦とはは、軍事力、技術力、工業力、経済力、そしてすべての国民、文字道理すべてをかけた人類史上初めての総力戦だ。

たくさんの人が死ぬ。

戦争に悪人も勝者もいない、みんな死んで、すべてが壊れてそれで終わりだ。

起こっていいはずがない。

まあそれは建前だな。


世界大戦とは総力戦、どこに居ても必ず影響があるのだ。

平和で安らかな生活は望めない。

俺は平和に安らかに生きたいのだ。


開戦したのを止めるんじゃない。

起こさなければいい。

ある程度の政界への影響直と相手の心情を読み切ることができるなら可能性はあるはずだ。

頭脳だけなら誰にも負けない。

そして心情を完全に読みきるとは俺の得意分野だ。

自信はある。

まあ、世界大戦云々がこいつの嘘って線もあるが...。


「「............」」


少し沈黙が生まれる

まずかったか?

そんな事を考えている時だった。

神はこちらを向いた。

いやずっとこっちを向いていたが、真の意味で俺はこの神と初めて目線があった気がした。


初めて俺は自分が神と邂逅している事を強く意識した。

胸が鳴る、手先が痺れる、鼻息が荒くなる。

恐怖は無い。ただただ神秘的で、俺は心の底から安堵して、しかし体はこわばっていく。

体は恐怖しているのに、精神は安らぎそのものだ。



「私たちは誰かに寄りかかって生きてる。寒さを耐えしのぐように集まって生きている」


神は俺の顔を覗き込むように顔だけを近づけて言う


「私達は一人だ。」


それは俺への警告にも、己への自戒のような物にも聞こえた。



「...ッ!」俺は自分の顔をまさぐって確認する。

手に泥のような血液が大量に付着してのだ。

俺は顔から出血しているようで、目からは血涙、鼻からは鼻血が流れていた。

痛みは無い、何をされた?



ふと意識が落ちそうになる。

その瞬間だった。

世界がゆっくりと崩壊していく。

目の前の半分崩壊した壁に咄嗟に手を伸ばしたが空を切った。


「お別れだ、さようなら」

神は言う


ああ、クソ意識が落ちそうだ。

全く。俺は明らかな化け物の動向を窺っていた。

だが、こうなればもうお終いだ。

俺をここに呼んだのが失敗だったな。

もういいだろう...攻守交代だ。



「あなたの事を暴露しますよ」


俺はボソリと言った。

落ちそうだった意識が元に戻る。


「ッ...!」



初めて人間的な動揺が見える。

やっと俺と話す気になったようだ。



そもそもおかしいのだ。

魔法の語源を父さんは知らなかった。

それはつまり意図的に隠されていたのである。

自分の事をあまり公にしたくない、出来ないと俺は予測した訳だ。

ではなぜ神に気づくと痛みなんだ?記憶をなくすなりやりようはあるはずだ。なぜやらない?

答え。


【出来ない】




そんな事出来ないのだ。

実際どういう経緯でそれが出来ないのか。

今は情報が無さ過ぎて予測も立てれないが、それでも何かしらのルールによって、記憶の消去は出来ないのだ。

恐らくこの姿も言葉に説得力や威圧感を持たせるための物だろう。

精神が人間で思考をしているなら...頭脳で戦えるなら、負けは無い。




「なぜ...僕をこの世界に呼んだんですかね?」


少し語気を強めて言う。

今は情報が欲しい。

揺するならここだ。



「西だ、時が来たなら西の砂漠に行け、神を頼るといい...道中でブルグの町に滞在しろ、町を救え、戦争を止める足掛かりになるはずだ」


んんー?結局何で俺を呼んだのか答えてもらってないのだが...もしかしたらこの神?では無いのかもしれない。


「そうですか。戦争を止めるには...ズバリどうすれば良いと思いますか?」


戦争とは一つの原因から生まれる訳では無い。

複合的な要因から生まれるのだ。

故にこの質問は無意味である。

もちろんそんな事は分かっている。



だが、この質問への反応が俺は知りたい。

この質問に答えられると言う事は、戦争は一つの原因から発生する。

ないし【誰かが意図的に起こそうとしている】という事だ。

すると意外な答えが返ってきた。



「未知の...黒い神を殺せ。」


なるほど。恐らくそいつだ。

そいつが戦争を起こそうとしている。

俺がそんな事を考えていた瞬間。



俺の意識がまた落ちそうになる。

俺はこの世界の事についてよく知らない、何の情報を盗れば俺の利益になるかすら、まだ情報が欲しいが、まあここらが潮時だな。

別に俺はこの神と敵対しい訳ではなのだ。

ここらでいいだろう。



すると俺の耳に神の声が聞えて来た。

「怪物が来たな。」その一言を聞いて、完全に俺の意識は落ちた。



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