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# 97. リージョンを超えて

この度はご愛読ありがとうございます。


お陰様で、5000PVを突破することができました。

引き続き、一生懸命執筆していきますので、もしよろしければ、ブックマーク・★★★★★・リアクション・評価などをいただけますと嬉しいです。

少しずつ面白くなっていく…と思います!(精進します)

一日目が過ぎた頃だろうか、アナウンスが流れる。


「ポーン!

 まもなく、イースタン・リージョンからゲヘナ・リージョンに入ります。ポーン!」


遂にみっつめのリージョンに突入である。

ビッグフットから移動距離にして10,000キロ以上は移動したであろうか。

しかし、これはまだ地上のほんの数%しか探索していないのだ。

地上は広く、険しく、そして時には残酷だ。

その全てを探索するには、何十年…いや、生きているうちにできるかどうかもわからない。


まずはイーグルアイに行こう。

キャシーがそこのコネフィックス・アーケードで買い物をしたいと言っていた。

その後は…そのときになってから考えれば良い。

全リージョン制覇でもいいし、リンカーンの全ての停留所をホームポジションに記録するのでも良い。

ベルダにはしないと言っていたが、ドミニオン・シンジケート本部を潰して世の中を少しでも明るくするのもいいだろう。ツェンの様に賞金首を狙ってみるのも良いかもしれない。

ただ、引退は考えていない。スパークルスプリングスのメンバーが5名になり、自分の勝手で動くことはできないからだ。今後もまだ増えていくであろう。


外を見てもずっと真っ暗なので、いまいち時間がわからない。

潜航フェリーに乗ってからというものの、お腹が空けば食べ、眠くなったら寝るという生活を続けているのもその理由のひとつだ。


ゲヘナ・リージョンに入ってもこれといった変化はない。

駆動系はあるか後方で、スクリュー音すら聞こえてこない。

本当に超えたのかという猜疑心さえ浮かんでくる。


と思っていたところに、わずかだがガッシリとした衝撃が船を襲う。


「…なんだ?」


「デッキから見えるよ!

 大きな触手だった!」


ここは深海800メートルに位置しており、海面表層とは違う潮の流れがあるようだった。

それに乗って来る感じで、巨大な生物がテンペスト・ノーチラスに絡みついたのだ。


「これは、クラーケンね。

 深海に済んでいて、餌を捕食するために浮上してくるらしいわ」


「こんな鉄の塊が餌なのかよー!」


ミシミシと圧迫する音が聞こえる。

触手には発光器官があるのか、虹色に輝いて見える。


「クラーケンは、体内に蓄積した電気エネルギーを使って餌を麻痺させるわ。

 ただ、その蓄積エネルギー総量には限界があって、過剰に電力を受けると暴走し、自滅するらしいのよ。

 この船のクルーがそれを知らないはずがないわ」


ブォォォンという鈍い音が船体を駆け巡る。

何度かフラッシュも起こり、船体に張り付いていた触手が一本、また一本と外れていく。


「過剰電流を流したようね」


そして音も無く、クラーケンは深海の底へと戻っていくのであった。


「びっくりしたぜー!」


「あんな生き物がいるとはねー!」


ほっと安堵し、ある者は食事に戻り、またある者は眠るために寝室へ行くのであった。


ネイトは一人、ホロシネマを観に来ていた。

この時代の映画はホログラム投影されていて、360度どこからでも見ることができる。

ある男の一生を描いたその作品は、あらゆるところにカメラが仕掛けられていて、男に見つからないように収録が行われ編集され一本の映画として公開されていた。話が反れないようにするため、その男以外の登場人物は全て役者ではあるが、男自身はヤラセのない100%本物のドキュメンタリーだ。

シリーズ化され今ではパート7まで上映されているようだ。スピンオフの映画もあり、結構人気のあるホロシネマらしい。


また、旧現代文明時代の映画も公開されていた。

こちらは主人公がヒーローとして目覚めて力が覚醒、敵を次々となぎ倒して敵対勢力を蹂躙する内容だ。目覚める前は生体電池として管理されていたというのが面白いストーリだった。


その後ネイトは、パーソナルハンドコンピューターでゲヘナ・リージョンのことを調べ始めた。

最近はドクターに任せっきりで自分で調べることはしていなかったからだ。

できる限りのコロニーやキャンプの位置、規模を調べた。

ドミニオン・シンジケートの情勢や、それに抵抗するためのレジスタンスも存在しているらしいということも調べた。

噂レベルではあるものの、ドミニオン・シンジケートの本部はコロニーになっているらしいとも、ゴシップ記事で見つけることができた。

ルートをいくつかに絞り、疲れたのか、やがて眠りについた。


ベルダは、シミュレーターに入りびたっていた。

遊具があるとは聞いていたが、まさかシミュレーターがあるとは思ってもいなかったのだ。

彼女は、一度の戦闘における行動時間は5分が限界だ。実際の戦闘において、その5分は短い。

クールダウンの時間は行動1分に対して10分かかる。5分間目一杯活動した後は50分のクールダウンタイムが必要になる計算だ。

今ベルダが考えているのは「戦闘効率化」と「クールダウンタイムの短縮」だ。いくら5分間集中して動けるからとはいえ、まだまだ行動に無駄がある。倒す順番も最適化されておらず、その辺りを調整すると7分…いや10分行動分を活動限界の5分間に凝縮することができるはずだ。

クールダウンタイムの短縮については、「ATP再生システム(Adenosine Triphosphate Regeneration System)」の促進化で縮められると考えている。クールダウンタイムが長い理由は、おそらくATPの枯渇や疲労物質の蓄積によるものだ。そのため、ATP再生システムを導入できれば再生スピードを上げることができるはずだ。上手く行けば50分が30分くらいにまでの短縮が見込める。これは自分だけではどうにもならず、ドクターに話してみるしか無い。


シミュレーターから出たベルダはドクターのもとへ向かった。


「ドクター、ちょっと相談があるんだ」


「どうしたの?」


「私のクールダウンタイムを短縮させたい。

 そのため、ATP再生システムを導入したいんだ」


「ATP再生システムね…。

 今の私達じゃビークルにそれを積むことは難しいけど、似たようなことならできるわよ」


「そうか!

 で、どうやるんだ?」


「クレアチンリン酸(CrP)を投与して、ATPを瞬時に再合成するのよ。

 活動限界後に摂取することにより、ATP再生システムと似たような効果を得られるわ。

 CrPなら私も持っているし、ジェットスプレーで体内に直接投与できるわよ」


「それは助かる!

 ありがとう、ドクター!」


「良いのよ」


エヴィは、がむしゃらに食事を摂っていたわけではない。

様々な料理を食べ、その味を記憶していたのだ。

それを再現できれば、コックとしての腕前も上がるはずだ。


「フードディスペンサーだと味がちょっと違うんだよな…」


やはり、本物とフードディスペンサーでは同じ料理でも味が異なるようだ。


「良い素材を揃えるのも大切なんだがよ、調味料も揃えないとな!」


そうひとりでブツブツと言いながら、味の研究をしていたのだった。


キャシーは展望デッキでひとり過ごしていた。

真っ暗な深海を見つめながら、時折光る何かを目で追っていた。


「あ、光った!

 …またあそこでも光った!」


真っ暗な深海は、まるで深夜の夜空を見ているようだった。

光る何かは、星の瞬きと似ていたからだ。


「テント泊してるみたいね!」


とキャシーは楽しんでいた。



読んでいただき、ありがとうございます!


拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。

もしよろしければ、ブックマーク・★★★★★・リアクション・評価などをいただけますと嬉しいです。


みなさまからの応援が、私の何よりのモチベーション維持となります。

頑張って書きますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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