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# 90. 北東へ

二日後の朝、スパークルスプリングスのメンバーはドクターの家に集合した。


「準備はいいな?」


全員が大丈夫というフィンガーサインを出す。


「よし、行こう」


カポカーに乗って、スフィアエントランスに移動開始した。


一ヶ月ぶりの大移動だ、とネイトは思った。

搬入出力用のパレットに乗り込み、地上へと上昇する。


その移動時間を使って簡単な説明を行う。


「地上に出たら、まずは半島の根本付近にあるコロニーを目指す。

 距離にしてここから北東方向、1,000キロ先に位置している。

 山岳地帯をきるだけ平らなところを進み、4泊5日…掛かっても一週間以内には到着する計算だ。

 途中、レイダーやドミニオン・シンジケートの残党と出くわすかもしれない。

 警戒しながら気をつけて進もう。

 エヴィ、道中の食料は大丈夫か?」


「問題ないぜ!」


「キャシー、装備の点検は?」


「大丈夫。

 怠っていないよー!」


「ドクター、ヤマトからコロニーまでの周辺の情報は?」


「ええ、だいたい把握できたわ」


問題ありでも、既にエレベーターは動き始めているので戻ることはできない。

それはわかっていたが、確認せずにはいられなかった。


30分後、エレベーターは地上へ到着してゲートが開く。


「やっぱり眩しいよー!」


メタルセル内の太陽光ライトと地上の自然の太陽では明るさがかなり違うのだ。

比率で言うと、自然の太陽を10とした場合、太陽光ライトは昼間は6~7程度、夜間は1ほどである。

管理部が意図的にそのような比率にしているらしいが、理由まではわからなかった。


「よし、進もう」


ネイトたちの車列が北東へ向かって進み始める。

大規模掃討作戦があった直後だからだろうか、レイダー達は姿を見せない。

現れるのはサバイバーだが、彼らに構う暇も、与える物資も無いので無視して先へ進んだ。


途中、何度かベルノイドとの交戦があったが、ランドクロウラーの副砲と、キャシーのジェットハンマーで難なく撃退することができた。


移動を続け、100キロ地点に差し掛かったあたりで日が落ちて暗くなった。


「このあたりでテントを張ろう。

 ドクター、頼む。

 エヴィは食事の用意をしてくれ」


M.A.C.S.を警戒モードにして、ドクターのバギーから簡易コロニーが展開される。

そして、エヴィは食材をストライカーから降ろして簡易コロニーに運ぶ。

クッキングライセンスを取得したことによるサブクラスがコックの…修業の成果を見せる時が来たのだ。


「ようし、皆待ってるんだぜ!

 修行先で一番練習した料理を振る舞うぜ!」


エヴィはフラックスヒートから発せられる熱源を利用して、鍋を振るい、ライスや肉の細切れ、野菜とスパイスなどを順番に混ぜていく。

当たりに香ばしい匂いが立ち込めて、皆のお腹はそれに答えるかのようにぐぅと鳴るのだった。


「できたぜ!

 これが青龍チャーハンだ!

 レンゲっていうやつを使って食ってくれ!」


ライスが調味料などでこげ茶色になっている、ところどころに見える肉片や野菜がアクセントになっていて視覚的にも楽しめる。


「あと、これな!」


何かスープのようなものも出された。


「コンソメスープって言ってな。

 これがチャーハンに合うんだぜ!」


レンゲでライスを掬い、一口食べる。

口の中が香ばしい匂いで一層満たされる。


「これは…」


「美味しいねー!」


「上手にできたわね」


皆口々に感想を言ってはチャーハンを頬張っていた。


「おかわりはまだまだあるからよ!

 遠慮しないで言ってくれ!」


エヴィも満足げにチャーハンを食べる。


「…なかなかうまくできたぜ!」


と呟いた。

サブクラスとはいえ、流石コックだ。

本場での修行の経験が十分に発揮されている。


食後のキュリィを飲んで一言、


「やりきったぜ…!」


そう言うと、食器を洗い始めた。

食器は、ストライカーのキッチン用に改造したスペースにあるハイドロナノシャワーと似た原理の食洗機があり、それを使うことで簡単に洗うことができるのだ。


一通り落ち着いた後、ネイトは言った。


「皆聞いてくれ、今日は100キロほど走破した。

 全体行程の1/10だ。このままではあと9日も掛かってしまうことになるので、明日からはちょっとペースを上げる。

 一日あたり150~180キロほどの走破を目標とする。日が落ちて完全に暗くなるまで進むつもりだ。

 エネミーはできるだけエスケープして先へ進む。振り切れなかったエネミーのみ、倒す感じでいこう」


そして移動一日目が終わり、皆次々とシュラフに潜って眠りについた。


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