# 9. アシストグループ
ビッグフットのエレベーターを下り、クエストの目的であったボーキサイトを納め、報酬をもらうためにHoMEに向かった。
2回目ともなれば手慣れたもので、すぐに報酬を貰うことができた。
「クエスト報酬の800ヴェルと、ベルノイド3体討伐で900ヴェル、合計1700ヴェルになります。お疲れ様でした。
また、クエストを達成されたので、次回の活動報告の期限は今日より1ヶ月後となります」
「わかった、ありがとう」
「エクスプローラーズ・オブリュージュ!」
日雇い時代では到底手に入れることのできなかった金額を一日で得た。
ネイトは少し喜びつつも、生活が確実に変わっていることを実感していた。
このまま体が老いるまで探索者を続けてもいいと思っていところだった。
しかし、M.A.C.S.を購入するためにはまだまだお金が足りない。
もっと稼がないとならない。
ふと、キャシーから提案があった。
「ねぇ、アシストグループ作らない?」
アシストグループとは、ある目的を共にするグループの総称で、同じく所属している他の探索者と、どんなに距離が離れていても会話できるシステムのことだ。
今までは二人だけで距離が近いこともあり、通信周波数を合わせるだけで対応できたが、今後もしかしたら仲間が増えるかもしれない。その時のためにアシストグループを作っておこうということだ。
「ふむ・・・」
キャシーの言う事は最もだった。
自分たちは今ふたりだが、一人でアシストグループを作ることも珍しくはない。
というよりも、アシストグループに属していない探索者は珍しいとも言える。
「よし、作るか!」
「やったー!」
そうとなれば話は早い。
アシストグループはHoMEで作る。今彼らはHoMEにいるので、すぐにアシストグループを作ることが可能だ。
「だけど・・・」
「だけど・・・?」
ネイトは少し困った顔をした。
「どうしたの?」
「うーん、アシストグループの名前、どうする?」
「あ・・・」
そう、アシストグループには名前が必要で、その名前はアシストグループの顔と言っても良いくらい重要な要素である。
結成した後の名前の変更はできないため、安易に名前をつけてしまうとあとでとても後悔する羽目になる。
二人は、あーでもない、こーでもないと、名前の候補を挙げ、それは違う、なんか違う、と何度も振り出しに戻っていた。
名前をつけることがこんなに難しいとは・・・。
「あ、そうだ!あれにしようよ!」
「あれというと?」
「私達がいつも集合に使ってた場所!」
「というと、『きらめき泉の水遊び場』か?」
「そうそう、そこから名を取って、『スパークルスプリングス(Sparkle Springs)』、略して『ダブルエス』ね!」
「原点回帰ってやつか」
「うん、私達にぴったりでしょ?」
「そうだな、それにしよう」
二人は、アシストグループ受付に急いだ。
名前を決めるだけで3時間も経過していたからだ。
「いらっしゃいませ、アシストグループの結成ですね。
こちらのタブレットより、アシストグループ名と、リーダーの名前を入力してください」
「リーダー?」
「はい。アシストグループを統べるリーダーの名前が必要になります」
「どうする?」
「リーダーはネイトでいいよ!」
「そうか、わかった・・・」
あっさりとリーダーが決まり、アシストグループ名の入力も終えて係に提出した。
「シストグループ名『スパークルスプリングス』、リーダーはネイサン・バーグウェルさんでよろしいですね?」
「間違いない」
「では、バーグウェルさんのライセンスカードを提出してください。
アシストグループ機能を付与します」
「わかった」
ライセンスカードを渡すと、手慣れた手つきで登録を終え、数分でアシストグループが作成された。
「これでアシストグループが結成されました。加入したい方には、パーソナルハンドヘルドコンピューター経由で参加できるようになっています」
「わかった、ありがとう」
「エクスプローラーズ・オブリュージュ!」
ネイトはどれどれと、パーソナルハンドヘルドコンピューターに登録されたアシストグループの機能を調べた。
「パーソナルハンドヘルドコンピューターに内蔵されている資料を読むと、ライセンスカードのスキャンで簡単に加入・脱退・除名ができるようだ。
早速、キャシーを加入させよう」
「わかったよー!」
キャシーはライセンスカードをネイトに渡し、カードをスキャンした。
「アシストグループ登録人数、2名、と」
「やったね!」
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
もしよろしければ、ブックマーク・リアクション・評価などをいただけますと嬉しいです。
みなさまからの応援が、私の何よりのモチベーション維持となります。
頑張って書きますのでよろしくお願いしますm(_ _)m