# 8. 初クエスト
次の日の朝、ネイトは集合場所に向かった。
しかし、キャシーはまだ来ていなかったようだ。いつもなら一足早く到着していて、
「おっそーい!」と言ってきていたのだが、遅刻とは珍しい。
待つこと十数分、
「お待たせっ!」
と、景気の良い声でキャシーが来た。
昨日は何をしに言っていたのか詮索するかしまいか迷っていたところに、キャシーから、
「じゃじゃーん!これ買ってきたよ!」
とバッグから取り出したものはバイノクス(Binocs。双眼鏡のこと)だった。
この時代のバイノクスのスペックは凄まじく、サーマルセンサーや動態反応を検知できることはもちろん、ナイトアイに、オービタルサイト、パストレーサーが搭載されている。それらがコンパクトに纏まっているのだ。
バイノクスをバイクに取り付ければ、別売りのゴーグルにそれら情報と、現在位置のミニマップを表示することができるのであった。
それが眼球の動きにリンクしており、欲しい情報を的確に得ることが可能だ。
「この前、人間装備屋に行って、買おうかどうか迷っていたんだー。
報酬が入ったから思い切って買ったんだよ」
と、キャシー。
洋服や化粧品でないところが根っからのファイタータイプっぽい。
「簡単にだけど、化粧はしているからね!これでも女の子だから!」
ネイトの顔色を見てわかったのだろうか、女の子アピールをしてきた。
でも、遅れてきた理由は、夜明けまでバイノクスで遊んでいたに違いない。
メタルセルに住んでるだけだと必要のない装備だからだ。
「それじゃ行こうか」
「うん!」
二人はスフィアエントランスに向かった。
二度目の「外」である。
「今回は、遠くまでいかずに、近くにある廃棄場に行くだけだから、戦闘は無いかもしれないぞ」
「わかってるよー!」
エレベーターに乗り、再び30分。
「外」に出た。
キャシーはさっそくバイノクスをバイクに取り付け、ゴーグルを装着した。
「色々見えるよ!ビッグフットまでの距離も分かる!」
おそらく、ホームポジションを設定したのであろう。
ネイトは、便利そうだと確認しながら、廃棄場までの方向と距離を算出した。
「6時の方向に約3キロだ」
「オッケー!」
ドラゴンフライとバイクの姿が、ビッグフットの南部へ向かっていった。
6分後、二人は廃棄場についた。他に人影はなく、静まり返っており、ただ、廃棄物を捨てるためのバケットが忙しなく動いているだけだった。
この廃棄場から使えそうな廃棄物を取り出して、炉で加熱して溶かし、インゴットにする施設が併設されているが、廃棄のほうが多く、供給過多になっており、それを補う形で初級探索者のクエストになっていた。
しかし、今日は他に探索者は居ない。
それもそのはず、この手のランクの低いクエストは、他のクエストと同時に受けることが多く、またペナルティーもないため、帰りに時間があったらやっていくというスタンスがほとんどだからだ。
今はまだ午前中、多くの探索者は討伐クエストやより上級のクエストを進めているだろう。
混むのは戻って来る夕方以降の暗くなる直前になる。
「よし、今のうちにボーキサイトを集めよう。
集めるのはM.A.C.S.にやらせるから、キャシーは周辺の警戒を頼む」
「わかったよー!まぁかせて!」
キャシーはバイクに跨って、周囲を走り出した。
動態反応検知があるとはいえ、バイノクスの視界内に収めないと検知できない。
ネイトは、空いているバケットを利用してボーキサイトのみを選別し、
次々とM.A.C.S.に積んでいった。
と、キャシーから連絡。
「ベルノイドを3体発見したよ!5分後にこちらとインターセクト(交戦)しそう!」
「わかった!こっちはそろそろ終わる。戦闘準備をして迎え撃とう」
本来、メタルセルの周囲数キロは、防御機構が働いて外敵は侵入できないようになっているが、小さい外敵は検出することができずに見逃してしまうことが多々ある。
メタルセルの出入り口であるエレーベーターゲートは非常に厳重に作られているため、この辺に出没するベルノイド程度の攻撃はびくともしないし、そもそもタレットがあるので、ゲートに近づく前に撃破される。
しかし、今回のベルノイドは外に出ている二人を狙っているようだった。
ネイトとキャシーは合流し、ベルノイドとの戦闘準備を進めた。
程なくして交戦状態になる。
まずは、ネイトのM.A.C.S.で遠隔攻撃をしてダメージを与え、続いてキャシーのジェットハンマーで決定打を与える。
本来ならM.A.C.S.の主砲か特殊弾で倒したいところだが、ドラゴンフライには副砲があるだけで、主砲も特殊弾も装備することはできない。
昨日と同じように、ドラゴンフライの副砲による遠隔攻撃。
近づいてきた敵をキャシーのジェットハンマーで追撃。
現状打てる最善手で望んだ。
二人には損害はなく、無事に戦闘が終了した。
「ベルノイド 3タイ トウバツ シマシタ」
「追加報酬だね!」
「そうだな!」
「ビッグフットに戻ろうか!」
「うん!」
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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