# 77. 鳳凰衆
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ヤマトのトーラス部は、天井まで伸びる高層ビルが立ち並ぶ未来的な都市でありながら、地上を失った人々の影が色濃く場所である。
通路にはネオンが輝き、雑踏の中には様々な人種が行き交っている。
だが、その華やかさの裏には治安の悪いスラムも広がっている。
ネイト達はカポカーでHoMEにたどり着いた。
ドクターの家に行く前に情報収集をしたかったからである。
HoMEは相変わらずの賑わいで、列に並んでいたり、椅子に座って何かを話していたりする探索者で溢れかえっていた。
その中でも、ある一団の存在が異彩を放っていた。
場違いなほど整った装備を繕い、威圧感を放つその集団にいたひとりが、ネイトたちに歩み寄ってきた。
「お前たち、新顔か?」
鳳凰の紋章が刻まれた防具を身につけた男が話しかけてくる。
「この前ビッグフットから来たばかりだ。
しばらくここに滞在する予定だ」
「そうか…。
俺はアシストグループ『鳳凰衆』のリーダーをやっているカグラという。ランクはシルバーランクだ」
鳳凰衆…。
聞いたことがある。確かドクターが在籍していたアシストグループだ。
「俺はアシストグループ『スパークルスプリングス』のリーダーをやっているネイサン・バーグウェルだ。ランクはブロンズランクだ」
「バーグウェルさんね。
今後とも宜しく。
ビッグフットからここまで来られるってことは、それなりの腕があるんだろうな」
「ああ…。それなりな」
ネイトはカグラの視線を受け止めながら応じた。
その瞬間、周囲の空気が張り詰める。
だが、カグラはすぐに口元をわずかに緩め、姿勢を崩した。
「まぁ、力のない奴がここまでで来れるわけ無いか…。
俺達はメンバー全員が人間装備でね。M.A.C.S.には乗らないんだ。
だから、怪我が多くてね…」
と呟く。
その高圧的な態度に若干の嫌悪感を感じていたが、カグラは続ける。
「昔、俺のアシストグループに医者がいたんだよ。
誰よりも仲間を見捨てることができない奴だった」
おそらく、ドクターのことだろう。
脱退して結構経つのに、未だに根に持っているのだろうか。
「どんな状況でも最後まで治療しようとするが…、結局、全員を救うことはできなかった。
その事件の後、そいつは探索者を辞めて、キャンプを転々と回るようになったらしい」
「そいつの名前は?」
「…ドクター、ドクターマッセイと呼ばれていたな」
やはり、かつてのドクターの仲間だった。
しかも、探索者を辞めるほどの事態を起こしたアシストグループである。
自分たちのアシストグループにドクターがいることは秘密にしておこうとネイトは考えた。
「今どこで何をしているかは知らないが、もしどこかで会うことがあったら…伝えてくれ。
まだ借りを返せねぇってな」
「わかった、見つけたら伝えよう」
それでは頼むといった感じで、鳳凰衆は去っていった。
「嫌な感じだったねー!」
「あんまり好きじゃないぜ!」
出直そうということで、ネイトらはHoMEから出て、カポカーでドクターの家へ向かった。
車内で、
「ドクターに話すの?」
少し沈黙が続いた後、ネイトは首を横に振る。
「今はまだいいだろう」
鳳凰衆が、まだ根に持っているってことは、ドクターもまだ彼らには会いたくないということだろう。
ドクターの心のケアも考えて、ネイト達はドクターの家に到着した。
「ドクター、戻ったぜー!」
「あら、早かったのね」
「まぁ、ちょっとな!
それより腹減ったぜ!」
「わかったわ、ご飯にしましょう」
ドクターは、タブレットで何かを読んでいたが、それをテーブルの上に置いてキッチンへと向かった。
「これにしようかしら…」
フードディスペンサーのメニューを見ながらドクターは呟く。
フードディスペンサーは、選択した料理をフードパックから3Dプリンターの要領でプリントアウトしていくものだ。
温かいものやスープなどの液体にも対応していて、これ1台で食は満たされる。
食器はプリントアウトされないので、最初にセットしておく必要がある。
食べ終わったら、ハイドロナノシャワーと同じ原理で食器を洗うことができるのだ。
「さぁ、できたわよ。
ヤマトでの標準的な食事よ」
テーブルに並べられたのは、焼き魚だった。
「シャドウ・マカレル(Shadow Mackerel。サンマの一種)の塩焼きよ。
ライスといっしょに食べるのが習わしよ」
「うまそうだな!」
皆、「箸」の使い方に手間取ったが、ドクターの丁寧な説明によって、なんとか使えるようになり、楽しい食事を送ることができた。
そして、それぞれの部屋に入り、ヤマトでの一日目を終えることができた。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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