# 68. 三鼎(みつがなえ)・キャンプ
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襲撃があった日から数日後。
アクア・クルセイダーの前方に陸地が見えてきた。
あと2時間もあれば入港できるだろう。
実に1,700キロ、日数にして5日の長旅であった。
上陸前に、船での最後の食事をしようと、4人は集まる。
皆それぞれ注文を行い、温かい食事が運ばれてくる。
「この揺れさえなければ最高なんだがよ!」
「こんなに乗ってもまだ慣れないのね…」
「どうもオレは船だけはダメらしいぜ!」
などと会話しながら、食事を進める。
食べ終わりそうになったくらいだろうか、アナウンスが流れる。
「ポーン!
当船は、まもなく三鼎・キャンプに入港いたします。
お忘れ物など無いようにお願いいたします。
アクア・クルセイダーをご利用いただき、誠にありがとうございました。
またのご乗船をお待ちしております。ポーン!」
「ようやく到着か」
「長かったね―!」
食事を済まし、車両デッキに移動する。
久しぶりに乗るビークルは冷え切っていた。
それぞれのビークルに搭乗し、搬入ゲートが開くのをじっと待つ。
接岸する軽い振動を感じた後に、ゴゴゴ…という音とともにゲートが開き始める。
雨季だからだろうか、空気にかすかな湿り気を感じる。
アクア・クルセイダーには、ネームドモンスターに襲われた跡が残っていた。
故障などはしていないようだが、窓ガラスが割れているなど、見てくれが悪いので、ここのキャンプで修復するのだろう。
三鼎・キャンプは、ネイトたちの乗っていたアクア・クルセイダーの航路である南航路、北東方面へ向かう航路、西へ向かう航路のみっつの航路の交わる地理的に重要な拠点となっている。
「久しぶりだわ…」
とドクター。
ドクターはヤマト生まれで、この付近は古巣である。
彼女は南進してサハル・リージョンに渡ったが、ネイト達はその逆で北進してイースタン・リージョンへやってきたのだ。
キャンプ内は活気に満ちていた。
各方面から集まった技術者や探索者たちが、互いに情報を交換し合い、様々な計画を練っていた。
キャンプの広場には、みっつの航路を示す大きなモニュメントが飾られていて、過酷な海上を乗り越えた者たちを称えていた。
そこに、ある男が声を掛けてくる。
「やあ、君たち。
見かけない顔だね。探索者かい?」
「そうだ、サハル・リージョンから来た」
「サハル・リージョンから!遠いところを、それはご苦労さま。
俺はアシストグループ『灰色の心臓(Ashen Heart)』のリーダーをやっている、プロ―ネル(Pronel)だ。イースタン・リージョンを中心に探索している。ランクはシルバーランクだ」
「ご丁寧にどうも。
俺はアシストグループ『スパークルスプリングス』のリーダーをやっている、ネイサン・バーグウェルだ。先程も言った通りサハル・リージョン…ビッグフットから来た。ランクはブロンズだ」
「そうか、バーグウェルさんね。今後とも宜しく。
ヤマトに向かっているのか?」
「そうだ。うちのドクターの生まれ故郷でね…」
「ドクターがいるのか!羨ましいな!
ヤマトへ向かうなら、途中にあるコロニーにも寄っていくと良い。
北東へ20キロほど行ったところにある。ビークルならすぐだろう。
リンカーンの停留所にもなっているから、ホームポジションを登録しておくんだ。
ヤマトに次ぐくらいの重要な拠点だぞ」
「情報ありがとう、感謝する」
「それと、今は雨季だ。
わかっていると思うが普通の雨より酸性が強い。
ビークルに耐酸性コーティングをかけておくと良い。
キャンプの出口あたりにあるドッグでやってくれるぞ」
「なるほど、わかった。
ありがとう」
この時代の雨は、昔の戦争などの影響で、雨季になると酸性の強い、いわゆる酸性雨が降る。
何も対策をしないままでいると、ビークルの装甲が腐食してしまい、動作不良のもとになってしまう。
なので雨季になるとビークルに耐酸性コーティングをかけるのが通例となっている。
「コーティングをかけおわったらすぐにでも出発したいが、他になにかここでしておきたいのはいるか?」
「ちょ、ちょっとオレ行ってくる!
ドッグで待っててくれ―!」
と、エヴィはそう言うと雑踏の中に消えていった。
「何しに行ったんだろうねー?」
「さぁ、な…」
エヴィはメカニックだ。だが、大食漢でもある。
ここのキャンプではドッグはあるがM.A.C.S.パーツは売っていないし、修理と補給はできるがドッグがないため改造はできない。
とすれば、食料の確保に向かったのだろうか。ここじゃなくてもヤマトに行けば沢山手に入ると思うが、エヴィのことだ。我慢できなかったのだろう。
「俺達はドッグへ向かおう」
ランドクロウラーでストライカーを牽引し、その後にバギーがついていく。
ここのキャンプは、外周がバギー用道路になっていて、ダーファス・コロニーの様に道の中でも人々であふれかえるようなことはない。
安全に港からドッグへ移動することができるのである。
「耐酸性コーティングをお願いしたい」
「あいよー!1台1,400ヴェルね」
コーティングは、いくつものノズルからスプレーのように車体全体に吹き付ける。
それを吸ってしまうと呼吸器系に異常が出るため、強化ガラス越しにその作業を見ていた。
プシャーという音とともに、あっという間に3台のビークルに耐酸性コーティングが吹きかけられた。
「これで今シーズンは持つよ!」
コーティングをかけ終えたところで、タイミングよくエヴィも戻ってきた。
「なにしてたんだ?」
「ちょっと、な!
レーションだけじゃ味気なくてよ!」
エヴィはなにか大きな麻袋を担いでいた。
それをストライカーの荷台に詰め込む。
「まー、野営したときの夜の楽しみだな!」
「よし行こう」
一行は三鼎・キャンプを後にして出発したのであった。
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