# 61. サバイバー
次の日の朝。
皆はコロニーのエントランスゲートに集合した。
出発準備に問題がないことを確認すると、それぞれのビークルに搭乗し、北にあるキャンプを目指して進み始める。
「目指すは、バンダル・ラウ・キャンプだ。
北400キロほど進んだところにあるので、2泊3日で到着予定だ」
「了解だぜ!」
「わかったよー!」
「了解よ」
M.A.C.S.とバギーは、荒れ果てた大地を進んでいく。
初めは順調に見えたが、数時間経過したら道が途切れてしまっていた。
クレパスも見える。
「迂回するしか無いな」
とネイトがつぶやき、迂回を始める。
途中、荒れ果てた土地に点在する廃墟を発見した。
「なんだろう?
何か反応あるよー!」
キャシーのバイノクスが何かを捉える。
突然、前方に人影が現れる。
「山賊か…?
いや、なんか違うな」
その人影は両手を上に上げて、戦闘の意思がないことを示していた。
一行は停止して、話を聞くことにした。
「俺達はサバイバーなんだ。
行くところがないし、食料も尽きかけている。
もしよければ、水と食料を少し分けてくれないか?」
サバイバーとは、かつて探索者だったが、その任務に耐えることができずに、HoMEへ戻ることも諦めて廃墟や廃屋などに住んでいる人のことを言う。
多くはアイアンランクだが、既に登録抹消されており、キャンプからは怪しまれ、手数料も払えないからコロニーにも入ることができないのだ。
彼らは、荒れた大地を一生懸命耕して、小さな農耕をしている。
ただ、それだけではどうにも生活していけないので、たまに訪れる探索者に物乞いをしているのだった。
「悪い奴らじゃないんだけどよ、こういつもなにか貰えると思っている態度が気に食わないぜ!」
エヴィの言うことは最もだった。
ネイトはしばし考え、こう言った。
「食料はあげられないが、もし探索者に戻りたいならコロニーへ入る手伝いをすることはできる。
その後は好きにすれば良い」
サバイバー達は相談し始めた。
探索者に戻ることはできる。でも、また耐えきれずに逃げ出してしまったら…。
サバイバーの意思は弱かった。
「申し出はありがたいが、探索者に戻ってもまた逃げ出してしまうと思う。
探索者なんてならなければよかった。あんなに辛いんだなんて…。
ここで一生を過ごすほうが遥かにマシだ」
「そうか…」
とネイトは言い、一行はその場を後にした。
「俺達はあんなふう(サバイバー)になりたくはない。
そうならないためにも、しっかりとひとつずつ実績を上げていこう」
ネイトは心に誓ったのである。
サバイバーたちと出会ってから3時間くらい経っただろうか。
日が傾いてきて、夜になり始めた。
「よし、ここら辺でテントを張ろう」
M.A.C.S.を警戒モードにする。
それぞれテントを展開して、その中央で焚き火を始める。
バンダル・ラウ・キャンプまでは、食事はすべてレーションだ。
「サバイバーって初めてみたよー」
「オレもだな!話には聞いていたけどよ、まさかあそこまでクズとは思ってなかったぜ!」
「キャンプを転々としてると、たまに見かけるわよ。
相手にせずにスルーしたけどね!」
あの後、ネイトはサバイバーについてパーソナルハンドヘルドコンピューターで調べていた。
多くは探索者に戻れずに廃墟などに住んでいるが、中には徒党を組んでキャンプなどを襲うことがあるらしい。
そういう輩は、「レイダー(raider)」と呼ばれていてこれにも大小さまざまな規模があり、その行動にはHoMEも頭を悩ませているとのことだ。
近年はその数が増えており、HoMEによってはレイダーを討伐するクエストを発注しているところもあるという…。
そういえば、サハル・リージョンの峠で出会った山賊、あれももしかしたらレイダーだったのかもしれない。
吐き気がするほど気分の悪い連中だった。
次にレイダーと遭遇したら、容赦はしないだろう。
焚き火を囲み、レーションを食べる。
皆口々に、今日起こったことを話していた。
「こういうときに、吟遊詩人がいると盛り上がるわね」
「吟遊詩人か…」
ネイトは、ダーファス・コロニーで出会ったキホリのことを思い出していた。
キホリは吟遊詩人であり、コロニーやキャンプを転々として酒場で詩を歌って日銭を稼いでいるのだった。
時にはアシストグループに付いていき、こういった夜の宴で詩を披露するらしい。
彼の詩は、そういった経験から綴られる。だから、吟遊詩人の詩として歌われるということは名誉なことなのだ。
彼がいなければドクターを見つけることはできなかっただろう。
吟遊詩人は、その行動特性から、多くの情報を持っていることが多い。
以前のドクター探索のときもそうだったが、特に人探しにおいては吟遊詩人というクラスは最適と言える。
問題は、HoMEのあるコロニーよりキャンプを転々とするので、なかなか会えないということだ。
その点については、ネイト達はツイていたと言える。
今彼はどこで何をしているのだろうか、元気にしているだろうか、思いは尽きない。
いつの間にか、皆はそれぞれのテントに入り睡眠を取るのだった。
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