# 59. 報告
昼食を食べた4人は、再びそれぞれのビークルに搭乗し、一路トランヴィニア・コロニーまで向かった。
時間にしてあと30分程である。
順調に移動を続け、時間通り30分後にはトランヴィニア・コロニーに到着した。
ゲートキーパーにライセンスカードを見せたあと、エントランスゲートをくぐり、駐車スペースにビーグルを停める。
「着いたな。
早速HoMEへ行って報酬をもらおう」
一行は雑踏をかき分け、HoMEへ向かった。
そして、クエストカウンターに着いた。
「いらっしゃいませ、クエスト完遂の報告ですね。
ライセンスカードをお願いします」
ネイト達はライセンスカードを見せる。
「エコーナインのブラックボックス回収。
確かに確認いたしました。
報酬は82,000ヴェルになります。
続いてフォッグ・ウォーカー討伐ですが、
こちらは報酬600,000ヴェルと、M.A.C.S.パーツである『ディスラプターキャノン(Disruptor Cannon)』が追加報酬となります。
それでは、エクスプローラーズ・オブリュージュ!」
「おお!ディスラプターキャノンか!
これは結構上玉の特殊砲だぜ!
俺のストライカーに積んでいいか?」
「ああ、構わない」
ネイトらは、合計682,000ヴェルを受け取り、まずはM.A.C.S.ドッグへ向かった。
「いらっしゃい!どんな用かね?」
「ラジオを聞けるパーツがほしい。あるか?」
「もちろんありますぜ!
ひとつ12,000ヴェルになりますぜ!」
「よし、それをふたつ買おう」
「毎度あり!
品物はどこへ運びますか?」
「ドッグを借りれるか?」
「へい!
駐車スペースに併設されてますぜ」
「わかった、そこに運んでくれ」
「へい!
かしこまり!」
「エヴィ、特殊砲の装備とラジオの取り付けとビークルの補給を任してもいいか?」
「おう、任しとけー!」
「エヴィの作業が終わったらダイナーへ集合しよう。
それまで自由時間だ」
エヴィはドッグへ向かい、残りの3名はコロニー探索をすることにした。
――エヴィ
エヴィはドッグに行き、パーツの取り付けを開始する。
久しぶりのM.A.C.S.の改造に意気揚々としていた。
「ランドクロウラーちゃんにラジオを取り付けて…、
ストライカーちゃんにもラジオを取り付けて…、
特殊砲をディスラプター・キャノンに付け替えて…、
3時間もあればできそうだぜ!」
エヴィは手慣れた手つきで工具や装置を操る。
ひとりのときは、M.A.C.S.に「ちゃん」を付けて呼ぶようだ。
M.A.C.S.パーツの分解、組み立ては、まるでプラモデルのように簡単に行える。
そのため、故障したM.A.C.S.パーツのみを交換するということも非常に簡単に行えるのだ。
だが、それはメカニックライセンスを持っているエヴィのような技術を持っている人間が対応することにより可能となるわけであり、誰もができるというわけではない。
「ついでに洗車もしていくぜ!
ずっと砂地ばかりだったから、詰まってる砂を取り除かないとならないからな!」
エヴィは3台のビークルを手際よく洗い流し、ワックスもかけた。
「こんなもんだろう!
きれいになったぜ!」
――ネイトとキャシー
ネイトとキャシーは、道端で展開されている「フリーマーケット」を見て回っていた。
特産品だろうか、木の彫り物や、ネックレス、何に使うのかわからないが、球体の石などが売られていた。
あとは、果物だったり、日用品…石鹸などが売られている。
「見て、ネイト!この指輪、色が変わるんだって!」
キャシーは、小さな屋台で売られている銀の指輪を手に取った。
「姉ちゃん、目の付け所が良いね!
そいつは、持ち主の感情によって色が変わるんだ」
「感情で色が変わるの?」
「そうだ。
種明かししちまえば、脈拍や体温、微弱な生体パルスなどを見て色を変えているんだが、不思議だろう?」
キャシーが指にはめると、青から淡いピンクへと変化した。
「その色は、姉ちゃんが今楽しんでいる証拠さ」
「私、これ気に入っちゃった!
おじさん、これ買うね!」
「毎度あり!
そいつは、『ニューラリング(NeuraRing)』っていうんだ。
2,400ヴェルだよ!」
「ふふ、ありがとう!」
「おう、またな!」
――ドクター
ドクターは医療センターの自動ドアをくぐり、白く整頓された空間に足を踏み入れた。消毒液の香りがほのかに漂い、カウンターの奥では数人の医療スタッフが忙しく働いている。
「いらっしゃいませ、どのようなご用件でしょう?」
受付に座る女性が、にこやかに声をかけた。
「医療器具を見せてもらいたいの。
持ち運びしやすくて実用的なものがあれば、購入も考えているわ」
ドクターがそう伝えると、受付の女性は奥に向かって手を振り、白衣を着た中年の男性を呼び寄せた。
「私が案内しよう。こちらへ」
彼女は案内されるまま、奥の医療器具室へと進んだ。ガラス棚には滅菌された手術道具や応急処置キット、最新型のバイオスキャナーなどが並んでいる。
「これはどうだ?」
医療技師が取り出したのは、小型のポータブル診断機だった。手のひらサイズながら、傷の深さや骨のひび割れまで即座に解析できるという。
「なるほど、便利ね。でも電力消費はどれくらい?」
「圧縮水素電池で連続200時間稼働可能だ。持ち運びにも適している」
ドクターは試しに機械を手に取り、起動させてみた。青白い光が彼女の手をスキャンし、瞬時に血流データを表示する。
「……悪くないわね。トリリウムを使っていないから重砂でも使えるわね」
次に彼女の目を引いたのは、ナノセル自己修復シートだった。これは傷口に貼ると、微細なナノマシンが組織を補修し、治癒を促進するというものだ。
「でも、これは高いんじゃない?」
「確かに通常品よりも高価だが、戦場では貴重な時間を節約できる。止血と縫合の手間が省けるからな。ヒールパッドよりも効果はあるぞ」
「なるほどね…」
とドクターは少し考えて、ポータブル診断機とナノセル自己修復シートを数枚購入することにした。




