# 57. 砂嵐の亡霊
ヌサンタラ大陸の「ファントム・デューンズ(Phantom Dunes。幻影砂漠)」には、夜になると霧のような砂嵐が発生する。この砂嵐の中を「フォッグ・ウォーカー」が歩いているという目撃証言があったのだ。
夜になる前に現地へ赴き、砂嵐を待ってフォッグ・ウォーカーの出現を待たなくてはならない。
「今回は、出現条件が特殊だ。
本来、暗くなってからの活動はしないことにしているが、フォッグ・ウォーカーは夜にならないと出現しないらしい。
厳しいだろうが、倒したらそこでテントを張って休もう」
一行は、フォッグ・ウォーカーがいるとされている領域、ファントム・デューンズへ進路を定めた。
2時間後、出現領域に到着。
日は沈みかけていた。
寒暖差で発生するのだろうか、少し砂が舞い始めた。
「そろそろか…」
砂が一段と舞うようになり、やがて砂嵐になった。
「キャシーはバギーの中にいてくれ。M.A.C.S.で応戦する」
「わかったよー!」
しばらくして、
「ピピピピピッ…!」
警告音がこだまする。
「レーダーに反応あり。6時の方向より接近中、距離200メートル!
インターセクトまで13秒!
タイプはドルサニアン、個体数1!」
ドルサニアンとは、機械生命体の一種で、完全機械を指すものから、動物とのハイブリッドもドルサニアンと呼ぶことがある。
砂嵐から黒い影が現れ、その巨体が姿を表した。
「フォッグ・ウォーカーと交戦開始。
エヴィ、副砲で攻撃だ!」
「了解だぜ!」
ランドクロウラーの主砲が炸裂する。
続いてストライカーの副砲がフォッグ・ウォーカーにヒットする。
ギィギィと機械のこすれる音がする。
「よし、チャージアタックだ。
炸裂する大砲の震撃!」
「俺も行くぜ!
荒ぶる弾薬の連砲」
強力な攻撃がフォッグ・ウォーカーにスマッシュヒット。
ビービービーとエラー音らしき音をたて、フォッグ・ウォーカーの巨体は倒れて動作音が停止した。
「ピピッ…ドルサニアン 1タイ トウバツ シマシタ」
「よし!」
「やったぜ!」
一行は砂嵐を避けてキャンプを張るため、岩場まで移動した。
夜の移動は危険を伴う。
最小限の移動を行い、M.A.C.S.を警戒モードにして、テントを張った。
砂嵐はいつの間にか収まっていた。
もしかしたら、フォッグ・ウォーカーが起こしていた砂嵐だったのかもしれない。
「久しぶりのキャンプだねー!」
「あたしは、スパークルスプリングスに入ってから初めてだよ!」
「今日の晩御飯はこれにしてくれ!」
とエヴィが、なにやら透明な袋に入ったペースト状のものを取り出す。
「これは、北カラブールでビークルを修理しただろ?
その御礼としてもらったんだ!
美味しいらしいぜ!」
エヴィは、焚き火に鍋をかけ、水を入れてお湯を沸かし始めた。
「このペーストを一口大に取り出して、お湯に通すらしいぜ!」
「ああ、それは『つみれ』ね!
あたしの生まれたヤマトでの伝統的な料理だよ。
魚の身をすりつぶしてペースト状にして、いくつかの調味料を加えて、お湯にくぐらせて調理するんだよ。
専用のタレがあるともっと美味しくなるんだが、ここでそれを望むのは無理だねぇ」
「つみれっていうのか。楽しみだぜ!」
エヴィは、ペーストから一口大ずつ取り出して、鍋に入れていく。
数分後、香ばしい香りとともに、食べられる状態になった。
「そろそろ食べてもいいわよ」
「よーし!」
とエヴィ。
ふーふーと息を吹きかけ、一気にかぶりつく。
「ふわふわしてて美味しいぜー!」
それに皆が続く。
「美味しいね―」
「こういう食べ方もあるんだな」
夜の寒さを焚き火で補いながら座談を行った。
「明日は、トランヴィニア・コロニーに戻る。
HoMEに報告をした後、大陸の最北端に向かって進むつもりだ。
最北端にはキャンプがあり、そこから船で400キロほど行くと、ヤマトのある場所に行けるはずだ」
「ふ…船かー!」
エヴィは肩を落とす。
「俺はまだあの揺れに慣れていないぜ!」
「移動手段はそれしかないからな。我慢してくれ」
「…しょうがないな、わかったぜ!」
「ヤマト…、懐かしいわ。
数年ぶりね」
そうして夜は更けていくのであった。
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拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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