# 50. 重砂縦断
一行は、トランスポーターに搭乗し、あとは出発を待つだけとなった。
暴風季のためか、若干強めの風が吹き荒れ、砂漠の砂が舞っていた。
他に数名の乗客がいるようだ。おそらくは探索者だろう。
皆デッキへ出ていたところに、アナウンスが流れる。
「ポーン!
ご搭乗の皆様。本日の天候は飛砂となっております。
車体が揺れることが予想されるため、デッキに出ているお客様は中へお入りください。ポーン!」
しふしぶ中へ入る4人であった。
しばらくして、トランスポーターは動き出す。
ドゴゴゴ…という地面をひっかくような音がする。
ゆっくりと前進し始め、時速30キロほどだろうか、巡航速度になった。
「ポーン!
ご搭乗の皆様。本日の当機のご利用、誠にありがとうございます。
当機は、南カラブールを出発して、重砂を縦断し、北カラブールへと参ります。北カラブールへは明日の午前8時到着予定です。
機内には飲食サービス、睡眠用の仮眠ベッドなどがございますので、到着までぜひおくつろぎいただきますようよろしくお願いいたします。
また、モンスターが出現したときは、タレットや迫撃砲で応戦する都合上、射撃音が聞こえてくることがございますが、運行上皆様には危険はございませんので、何卒ご安心して到着をお待ち下さい。ポーン!」
「おお!飲食サービスか!」
早速飲食サービスへと走っていくエヴィ。
「私は展望デッキにいるねー!」
「あたしも後から展望デッキに行く」
おそらくガールズトークをしたいのだろう。
ネイトは気を利かせて展望デッキへは行かないことにした。
ドクターは飲食スペースに立ち寄り、エヴィとなにか話した後、皿にこれでもかとてんこ盛りに料理を乗せ、展望デッキへと向かっていった。もちろん、キュリィも忘れない。
ネイトは少し眠かったので仮眠ベッドで寝ることにした。
キャシーとドクターは展望デッキにいた。
ドクターが持ってきてくれた料理とキュリィを嗜みつつ会話が進んでいるようだった。
「ふぃ~、食べながら景色を見るのって最高ねー!」
「そうね。でも砂ばかり見えるのに、そんなに楽しい?」
「いやいや、見てよあそこの砂丘!風でゆっくりと動いているように見えるんだよー!」
「確かに、液体みたいに揺れてるね。不思議な光景だね」
「でもさ、これどうやって動いているんだろうね?沈まないのかな?」
「さっきエヴィが話していたけど、スパイラルドライブ?っていう特殊な駆動系でそれが回ることによって先へ進むみたいよ」
「ドクターも詳しいねー!」
「実は機械のことはあまり詳しくないんだよね。診察するみたいに『見ればわかる』ことなら良いんだけど、構造のことは専門外なのよ」
「まさかの機械音痴仲間だねー!」
「でも、医療機械を弄ることが多いから、キャシーよりはわかっているつもりよ」
「ぐっ…、それは否定できない。私にはバイクの操縦で限界だよー」
「そうね。あたしたちは機械のことはよく知らないし、余計なことをしないのが一番よ」
「だね!ていうか、このスープ美味しい!なんていうの?」
「『コール卵のコンソメスープ』っていうみたいよ」
「そうなんだ!美味しいねー!」
などと話しているのであった。
突然、ズバババ…!という音が聞こえてきた。
タレットの起動音である。敵襲だ。
敵の種類はわからないが、数分後に起動音は止み、再び静寂が訪れた。
その音を聞いてネイトは飛び上がり、キョロキョロと周りを見て状況をなんとか理解したようである。
「腹減ったな…」
と、飲食スペースへと向かった。
エヴィは、まだ飲食スペースにいた。
合成肉のチキンを片手に持った状態で寝ていたのである。
「どんだけ食い意地張るんだ…」
とネイト。
機械のことには頼もしいが、それ以外では結構無様である。
「まぁ、俺も人のことは言えないが」
ネイトは、自分が怠け癖だったということを思い出していた。
キャシーからの幾度にも渡る「口撃」によって、やっと重い腰を上げて探索者に志願したこと、初めてM.A.C.S.に乗ったときの感動、ターゲットを駆逐したときの爽快感、エヴィの参加、ボーンズとの出会い、キャシーの負傷…、そしてドクター、様々なことを思い出しては感傷に浸っていた。
それが今では2,000キロほど走破して、重砂を渡り、船に乗ろうとしているのだ。
ビッグフットに籠もりっきりの頃から考えると大冒険と言える。
でもそれは、過酷な環境に対してしっかりとした準備をしてきたからこそできることであり、なんの準備もなく飛び出したら確実に死が待っていただろう。
カラブール・コロニーにはHoMEがある。
そこでドクターに探索者の再登録をしてもらい、スパークルスプリングスのメンバーとして迎えるつもりだ。
そして、皆自由に時間を過ごして到着を待ったのである。
読んでいただき、ありがとうございます!
拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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