# 44. 長距離を往く
「今日はここから北西200キロ先にある名も無いキャンプへ向かおうと思う。
途中、一度テント泊して二日目にキャンプに到着予定だ」
「了解だ」
「おっ!それがドクターのバギーかい?」
エヴィが、停めてあったバギーを指差す。
「そうだ、探索者時代から使っているバギーでね。
攻撃には向かないがその分軽くて足は早い。敵を振り切るのは楽勝だ。簡易的なリペアサージも付いているから、重症患者も治療することができるんだよ」
「なぁるほど!」
ドクターは、元探索者であるが、ドライビングライセンスを持っていない。なのでバギーかバイクあたりに乗るのだが、ドクターはバギーを選択したようだ。バイクに比べて積載量も多く、医療器具や彼女が言っていたように簡易型のリペアサージも積むことができた。
「隊列は俺が先頭、続いてキャシー、ドクターの後に殿をエヴィ、頼むぞ!」
「了解だぜ!」
「ドクターはアシストグループに入っていない。
移動中は短距離通信で会話する。皆、通信周波数を合わせてくれ」
一行は、北西方向に進路を定め、進み始めた。
現在、大陸のほぼ中心から少し南のところにいる。
ネイト達は、キャンプを転々としつつ北西方向へ向かい、大陸の北の果てにあるというカラブールへ向かっていた。
赤茶けた大地が広がる。
まだ昼前だと言うのに、灼熱の太陽は容赦なく降り注ぎ、地表は焼けるように熱い。
かつて栄えたと思われる都市は廃墟と化し、荒涼とした風景の中にその残骸だけがそびえている。
暴風季が近いとはいえ、昼間の気温は摂氏30度にもなる。夜になれば気温は急降下し、震えるほどの寒さが襲う。キャンプ以外の補給拠点は無く、ただ乾いた大地をひたすらに進むのであった。
やがて、山岳地帯へ入った。
かつての鉱山跡だろうか、洞窟のような大きな穴が開いている。
皆慎重に進む。このあたりは隠れられるところが多く、影からモンスターが襲ってくるかもしれない。
と思っていた矢先に。
「ピピピピピッ…!」
と警告音。
近くになにかいる!
エヴィのレーダーにその影を捉えた。
「俺達の後方、50メートルから近づいてくるぞ。
複数体いる。俺達が通り過ぎるのを待っていたんだ!」
「よし、隊列反転。迎え撃つ!」
ドクターを守るように周りを囲み、敵襲に備える。
「まもなくインターセクト!」
ピギーッ!という音とともにモンスターが襲ってきた。
「ガラバド変異種か!
俺とキャシーで応戦する。エヴィはドクターを守ってくれ!」
「わかったよー!」
「了解だぜ!」
ネイトの副砲が炸裂。
カカカカカッと、金属と金属がぶつかる音がする。
ガラバド変異種は、過酷な環境に適応するため、巨大化して身を守るために鉱物を取り込んだ昆虫の一種である。
「キャシー頼む!」
「いっくよー!
回転する力の軌跡!」
キャシーのジェットハンマーによる攻撃軌道が加速し、何度も回転して更に威力を増す。
ドガッという音とともに1体撃沈。間髪入れずに2体目にも攻撃。
スマッシュヒットしてガラバド変異種は倒れた。
「ピピッ…ガラバド ヘンイシュ 2タイ トウバツ シマシタ」
「やったー!」
と皆歓声を上げた。
「久しぶりに戦闘をみたよ。なかなか上手いじゃないか!」
とドクター。
「これくらいなら、俺とキャシーであっという間さ!」
「あたしの時代は『スキル』なんて無かったよ!」
「スキルっていうのは、皆それぞれ勝手に言っているだけで敵のクセや隙といったものを突くだけさ!
俺のストライカーにもスキルはあるんだぜ!」
「なるほど、時々すごい攻撃をするのを見てきたけど、あれが『スキル』の走りだったんだね!」
ドクターはなるほどなるほどと頷きながら、自分が当時探索者だった頃と今を比較していた。
と同時に、長生きはしてきたが、まだまだ覚えることはあるようだと思った。
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拙い文章ですが、一生懸命考えて書いたつもりです。
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